パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「日の丸・君が代」強制の「10・23通達」は国際規約違反

2014年10月23日 | 人権
 ◎ 日本政府の人権感覚に国連が勧告!
   思想・良心・宗教の自由の制約に厳格な条件!


 本年7月24日、国連の自由権規約委員会は、日本の人権状況について、きわめて強い表現を含んだ最終見解を出し、22の項目で勧告が出されました。この勧告には法的拘束力はないものの、日本の人権状況が国際社会から危機感を持って見られていることの証しです。
 これらの項目に対して、日本政府は2018年7月31日までに報告書を提出するように求められていますが、特に次の4項目に関しては、1年以内の改善報告の提出が求められています。
  ①先進国ではほとんど廃止されている「死刑制度」
  ②えん罪の温床と指摘されている「代用監獄」
  ③安倍政権になってから強制運行などなかったかのような政府答弁をくり返す「慰安婦問題」
  ④人身売買にもつながる「外国人技能実習生」

 また、ヘイトスピーチ特定秘密保護法福島原発の被災者への支援、精神障害者への人権配慮、琉球・アイヌ先住民の権利、日本国内ムスリムに対する警察の監視、DV・子どもへの体罰、難民に対する適切な対応などの他、日の丸・君が代強制問題に関わるものとしては、「公共の福祉」を根拠とした思想・良心・宗教および表現の自由の制約に対して懸念と勧告が示されています。
 そして、これらの情報が一般市民や司法、立法、行政機関にも広く普及されることを要求しています。日本の人権状況を改善するためには、日本政府の対応だけに任すのではなく、多くの市民やNGO・NPOの活動も問われていると考えます。
 ◎ 「日の丸・君が代」強制の「10・23通達」は国際規約違反

 現在東京都の教員は、2003年10月に東京都教育委員会が出した「10.23通達」により、学校の卒業式や入学式などの式典で、国旗・国歌への起立斉唱が強制されています。
 すべての学校で、都の指導の下、教員一人一人の席が指定された一律の式が実施され、一部の特別支援学校では、おむつを着けてでも国歌斉唱時にはトイレに行かせるなという校長がいたり、軍隊さながらの「規律」が強制されています。
 私たち「東京・教育の自由裁判をすすめる会」では、この強制は生徒への強制につながり、日の丸と君が代の前ではもの言えぬ生徒を作り出すものである。そして、その先には、上からの命令に忠実に従う若者を生み出すことだ、と考えてきました。
 これに反対し、斉唱時の不起立により処分された教員は、すでに463人(2014年4月30日現在)に及んでいます。
 このような事態に対し、私たちは国内世論への訴えだけでなく、国連の場にも働きかけを行ってきました。その結果今回の最終見解では以下のような懸念と勧告を得ることが出来たのです。
 22.「公共の福祉」を根拠とした基本的自由の制約
 ◎「本委員会は『公共の福祉』の概念が曖昧で無制限であり、自由権規約(2条・18条・19条)の下で許される範囲を超える制約を許す可能性があることに重ねて懸念を表明する。
 ◎「本委員会は、前回の総括所見(CCPR/C/JPN/5,para10)を想起し、第18・19条の第3項目における厳しい条件を満たさない限り、思想・良心・宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約も押しつけることを控えるよう、締約国に要求する。」

 この懸念と勧告は、2013年11月に出されたリスト・オブ・イシュー(検討課題一覧表)にある「日の丸・君が代」強制についての項目に対応しています。
 17.委員会の前回の最終見解(CCPR/C/JPN/5,para10)に照らし、「公共の福祉」概念を定義し、かつ「公共の福祉」を理由に、宗教・意見および表現の自由に課される制約が、本規約の下で許容されている制約を超えることがない旨明記する立法をとることを予定しているか否かを明らかにしていただきたい。教員及び学校職員が、学校行事の際、国歌の起立斉唱を拒んだために減給・停職および解雇を含む制約の対象となったという報告についてコメント願いたい。
 今回の最終見解には、具体的に「日の丸・君が代」の強制に対して踏み込んだ見解は示されなかったものの、思想・良心・宗教そして表現の自由に対する制約に関して今一度日本政府に警告したものであり、通達による国旗・国歌の強制に対する懸念の表明と受け取ることができます。
 ◎ 東京の教育・日本の教育の危うさ

 「日の丸・君が代」の強制が始まってからの10年余、この問題が教職員の問題だけでなく、生徒に対する統制であることがよりはっきりとしてきました。
 高等学校の序列化/執拗な競争原理の追求/「防災」に名を借りた自衛隊との共同宿泊体験/「学力スタンダード」による生徒の締め付け/生活指導の厳罰化/都教委の意に沿わない教科書の採択の禁止、等々。
 集団的自衛権の行使や秘密保護法の成立など、戦争前夜の準備は整えられつつあります。また、街には国連の人種差別撤廃委員会でも批判が続出しているヘイトスビーチの一団が、警官隊に守られるように跋扈しています。
 私たちは今後とも、教え子を戦場に送る過ちをくり返さぬように、「日の丸・君が代」の強制に反対し、子どもたちのための教育の実現、日本の人権状況の改善を求めていきます。
東京・教育の自由裁判をすすめる会・国際人権プロジェクトチーム
東京都新宿区三栄町6 小椋ビル401 FAX:03-6423-8420

コメント    この記事についてブログを書く
« 10.29田畑再雇用拒否撤... | トップ | 11.29東京・教育の自由... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

人権」カテゴリの最新記事