《interschool journal》
★ 健康診断で児童の裸を『診』るのは妥当か 各地で抗議の声
小学校の健康診断で児童を上半身裸にする、パンツをずらして下腹部を視診する検診が行われ、各地で抗議の声が上がっている。
★ 横浜市・小学校の健康診断 小6女子児童を上半身裸にしての検診が問題に
横浜市では5月、市内東部の小学校で男性医師が小6の女子児童に対し、1人ずつ上半身裸で対面させて検診を行い、SNS上で炎上。
市教委によると学校は文書で説明し、検診会場では、着替え・診察・着衣スペースは仕切りで区切り、他の児童から見えないようにしていましたが、児童が不快感を抱く事態になった。
★ 男性医師が「性徴の確認」「腸の音を聞く」として下腹部を視触診
群馬県みなかみ町では、町立水上小学校と藤原小学校で、70代男性医師が児童の下着を引っ張り、下腹部を視診。
内分泌学が専門のこの医師は「性徴を確認している」「思春期早発症を確認するため」「必要な診察だった」などと主張した。
福岡県北九州市八幡西区の小学校では、小学2年生と5年生に対し、60代男性医師が「腸の音を聞くため」として児童の下腹部に聴診器を当てていたことが発覚。
児童18人がアンケートで不快感を示し、うち男子児童2人が「陰部に指が当たった」と訴えた。
★ 日本医師会「事前に保護者に説明する必要」
これらの問題を受け、日本医師会の渡辺弘司常任理事が6月19日、定例会見で言及。
群馬県みなかみ町の事例について「当該医師が小児内分泌の専門医であり医学的に診察を行ったという妥当性はある」としたものの、一般的な学校健診では児童生徒全例に二次性徴の診察は想定されていないとして、
「事前に保護者に説明する必要があった」
「この点についての学校設置者と学校医の連携、共通認識と共通理解が必要であったのではないか」
と指摘した。
そのうえで、渡辺氏は
「法令に定める検診項目以外を実施する場合や、プライバシーや心情に関わるようなケースでは、事前に学校を介して保護者に説明し同意を得ておく必要がある」
と述べた。
★ 文科省は「原則着衣」を通知も 追加検査は校医の自由?
学校健康診断をめぐっては、文部科学省が今年1月、体操服や下着等などを着用する「原則着衣」を原則とする通知を出し、児童生徒のプライバシーへの配慮を求めている。
しかしその一方で、文部科学省は「検査項目は規則で決まっているが、それ以外の項目を追加して実施することは学校と学校医の相談のもと可能」(同省健康教育・食育課)ともしていて、学校と学校医の判断いかんでこうした検査が行われる余地が残されている。
文科省は、児童を脱衣させたり、下腹部を視触診するなどの追加検査を行う場合は、
「学校と学校医が共通認識を持ったうえで、さらにそれをなぜやるかということを子どもや保護者に説明をして、きちんと理解を得られたうえで実施してほしい」(同)
と話しているが、今回炎上した3事案すべてで児童や保護者の理解は得られていない。
児童生徒の疾患や虐待事案の早期発見という点で重要な学校健診ですが、医師の裁量次第で児童が上半身裸にさせられたり、下腹部を視触診されるのは人権侵害と言わざるを得ない。
児童のプライバシーを守りつつ、健康診断の本来の目的を達成するために国がより明確な基準を定める必要性がありそうだ。
『interschool journal』(2024年07月22日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/36328974archives/20240722html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます