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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

10・23院内集会報告

2006年10月26日 | 平和憲法
教育基本法の改悪をとめよう!10・23院内集会

  10月23日は16時30分から、衆議院第2会館第1会議室で院内集会を開催しました。
 この日は、教育基本法に関する特別委員会の初めての理事懇談会が16時から開催され、今後の審議日程について与野党のつばぜり合いが行われる最中の緊迫感あふれる集会となりました。
 参加者は、呼びかけ人4名を含む140名でした。忙しく全国を飛び回っている呼びかけ人が揃うのは久しぶりです。

【レポート:いしだ@あんころチーム】
http://www.kyokiren.net/_report/061023report

  はじめに日本共産党の井上さとしさんに発言をいただきました。
 井上さんは、理事懇談会に向かう野党の方針を説明。自民党が民主党に修正協議を持ちかけたが、民主党はそれを拒否して、野党は十分な議論を求める点で結束して対応しているとのこと。
      
 また、内閣の中から核武装の議論をすべきという意見が出てきたことや、自民党の中川昭一政調会長が教員免許の更新制度に関連して「日教組の一部活動家は(教育基本法改正反対の)デモで騒音をまき散らしている」としたうえで「下品なやり方では生徒たちに先生と呼ばれる資格はない。免許はく奪だ」と公然と発言していることを強く批判。
 いじめの原因も、教育委員会が強圧的なため、学校がいじめを隠そうとすることにつながっていて、今の改悪ではいっそういじめなどの問題が地下にもぐって深刻化すると指摘しました。

  つづいて、呼びかけ人の小森さんから発言がありました。
 井上さんの発言を次いで、今の教育基本法の改悪が、子どもを自殺に追い込む改悪なんだということをはっきりさせる必要があると指摘し、文部科学省が如何に無責任な官庁かをはっきりさせ、教員が悪いとか、学校が悪いということにしてしまえば、免許制などの方向にぶれさせないようにすべき、また、数値目標で学校を評価して、格差をつけることをやめるべきだと訴えました。

  次に集会に駆けつけてくれた社民党の辻元清美さん、日本共産党の赤峰政賢さんにお話していただきました。
 辻元さんからは、その時点での理事懇談会での議論についての解説がありました。
 赤峰さんからは、11月19日に行われる沖縄県知事選で、日本共産党、社民党、民主党、沖縄社会大衆党、自由連合の野党5党の共闘が実現していて、その政策協定の中に米軍再編反対に加えて、教育基本法の改悪反対が明確に掲げられていることを紹介し、この知事選で勝利することができれば、全国で始めて教育基本法の改悪反対を明確に掲げた知事が誕生することになるので、是非、連帯して頑張りたいと挨拶されました。

  続いて、呼びかけ人の大内裕和さんのお話です。 大内さんは、8月19日に全国連絡会が主催した学習会を元にした論文を雑誌『世界』の寄稿したところ、教育基本法「改正」に賛成する社説を掲げたこともある読売新聞の時評で肯定的に取り上げられたことを紹介。教育基本法の改悪が格差社会の拡大につながる点がさらに明確になって広がっていけば、運動が大きく盛り上がる可能性を持っていることを明らかにしました。
 また、市場原理主義に反対する反グローバリゼーションの運動の中の「世界は売り物ではない!」というスローガンを紹介し、わたしたちも「教育は売り物ではない!」「子どもは売り物ではない!」と訴えようとアピールしました。

  その次に、同じく呼びかけ人の高橋哲哉さんからお話がありました。
 高橋さんは、今私たちが何をしているのかを考えてみようと問題提起され、教育基本法作成の中心人物の一人、新制東京大学初代総長の南原繁氏の文章から、南原氏が歴史的な観点から説き起こして、「近代日本は、国家的精神に基づく教育を行い、それによって興り、それによって滅びた。新しく定められた教育理念にいささかに誤りもない。なんぴとも根本的に書き換えることはできないであろう。これを書き換えることは歴史の流れに反する。」といった主旨のことを1950年代に書いていたことを紹介。高橋さんは、「現在は南原氏も予想しなかった反動の嵐であり、また南原と同様に真理と言い切ることには抵抗があるが、書き換えられようとしている教育基本法の最良の部分はどこにあったのか、それを踏みしめてたたかっていきたい。」というように歴史的思想的観点から、今の闘いの意味を解説されました。
 また、解説の中で、9月21日の難波判決、そして、院内集会当日に判明した北海道での「日の丸・君が代」処分取り消しの勝利裁決を紹介し、その教育理念、教育基本法第10条の不当な支配の禁止が、このように生かされていると指摘しました。

  同じく呼びかけ人の三宅晶子さんからは、OECDが出した教育に関する調査の日本に関するブリーフィング・ノートという統計資料と、千葉大学の教員と学生有志が出した千葉大学アピール(「平和の砦アピール」)についてのお話がありました。
 この日本に関するブリーフィング・ノートを見ると、1)教育支出の対GDP比が非常に低い水準になっている、2)各学級の規模が非常に大きい、3)教員の授業時間数が少ないのに、勤労時間が長い、4)女性の大学卒業率が比較可能なデータがある中で最低など、今の日本の教育の何が問題かがはっきり示されていて、まず、そのデータを検証し、公的支出を増やして、教育の機会均等を拡大すること、少人数の学級を実現し、教員の勤労時間を減らすことによって教室に本当のゆとりと自由を取り戻すこと、男女の平等の教育施策を強化して、社会全体に男女平等を実現していくことを実現すべきであることがわかる。また、文部科学省が行ったゆとり教育は、授業時間数を減らしても、同時に「心のノート」配って、愛国心通知票を配る「ゆーとーり教育」であり、教員に対しても生徒に対しても、「言うとおり教育」をやってきたことが問題と指摘されました。
 さらに、この調査でトップになっているフィンランドは、日本の憲法・教育基本法と同様の教育理念を持ち、それを政府が誠実に実施し、授業時間数や休日がもっとも多いのに、子どもの考える力は世界一で、しかももっともその格差が小さいという結果が出ていることも合わせて紹介されました。
 また、三宅さん自身が千葉大学有志でアピールを出し、大学の中で研究者自身が、自分たちの教育研究の場から教育基本法改悪の問題を学生、若い世代と一緒に教育の場から発信していこうとしていること、また、このアピールを「平和の砦アピール」と呼んで、教育という平和の砦を子どもたちを戦場に送り出す場所にしてしまいたくないとの思いを語られました。

  会場からは、リレーハンスト参加者に発言していただきました。リレーハンストも土日を挟んで5日目で、本日は大阪からも参加者が来ているなど、全国の人々がバトンをつないでいることや、ハンスト参加を決意した思いを語っていただきました。
 また、今日は呼びかけ人の大内さんにも応援の座り込みに参加してもらったのことです。
  最後に、直前に特別委員会の理事懇談会を終えた社民党の保坂展人さんが駆けつけて、理事懇談会の様子を報告してくれました。保坂さんは、理事懇談会の様子をご自身のブログ「どこどこ日記」で紹介されているので、そちらも合わせてお読みください。

 刻一刻と、情勢が動く中での緊迫した院内集会でした。

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私のハンスト宣言

◆河原井純子(都立養護学校教員被処分者)

 ふり返ると施設労働者を経て今年で教員生活32年めになります。
 この間、憲法・教育基本法そして子どもの権利条約を大切にして過ごしてきました。
 教育基本法の第10条の1は教育労働者としてだけではなく、人と人と向き合う時に絶えず意識してきました。「支配(差別)しないj「支配(差別)されない」「強制しない」「強制されない」です。
 しかし、2003・10・23通達以降、この素朴な教育活動のひとつ「君が代不起立jを貫いて、なんと停職1ケ月という重たい処分を科せられました。「なぜ?」
 すでに教育基本法の改悪の実態化が加速化しています。しかし、あきらめずに、いま、ここに、ひとりひとりの手で教育基本法改悪案に「STOP」を!

◆T.T(干葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」代表)
 オイラが小さい頃、渡哲也が「東京流れ者」の中で、次のように唱った。
 「曲りくねった道だって、こうと決めたらまっすぐに。嘘とお世辞のご時世に、いてもいいだろこんな奴。あ一東京流れ者」
 「安倍チャンチャン教育クーデター政権」は教育基本法改悪で人間の心の自由を奪おうとしている。
 そんなご時世だとしても、オイラは自分の思っている道をまっすぐに進んでいく。
 (奇しくも)3年前のこの日、10・23通達が出された。3年後の今日、通達の誕生日を命日に変えることをプチ宣言する。)

◆渡部秀清(千葉県高校教員)
 昨日、神奈川と大阪の衆院補欠選挙でどちらも自民党が民主党に勝った。これによって今国会での教育基本法改悪の動きは強まるだろう。いま教育基本法は戦後最大の危機を迎えている。
 しかし、私たちの運動は戦後一貫して続けられてきた。レッドパージ、教育二法、勤務評定、学カテスト、検定教科書、主任制、学習指導要領、中教審・臨教審路線といった教育反動との闘争。そして最近の「日の丸・君が代」強制反対闘争である。
 否、闘いはすでに戦前から続けられていた。教育労働運動、生活綴方運動、教育科学研究運動などである。
 これらの運動があって、教育基本法は成立し、これまで守られてきた。また、これらの運動の成果として、1970年の杉本判決があったし、今年9月の予防訴訟の難波判決があった。
 私たちの闘いは決して底の浅いものではない。私たちの闘いは連綿として続いてきた日本における教育闘争の伝統と蓄積の上に立っている。これは何人にも否定することは出来ない。
 この間の教育基本法改悪反対闘争も多くの人々が立ちあがってきた。そうしたなかで勝ち取られた9・21予防訴訟判決は、私たちに「希望の風」をもたらした。教育基本法の改悪を阻止するために、私もまたハンストの隊列に加わる。

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