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北海道新聞社説 懸念が残る最高裁判断

2011年06月05日 | 日の丸・君が代関連ニュース
   ≪北海道新聞社説(2011年6月1日)≫
 ◎ 君が代起立 懸念が残る最高裁判断


 最高裁は、卒業式などの君が代斉唱の際、学校長が起立を命じることは思想、良心の自由を保障する憲法19条に違反するとはいえない-との判決を下した。
 校長の起立・斉唱の職務命令は合憲とする初の最高裁判断である。
 憲法が「侵してはならない」とする内心の自由は、最大限に保障されるべきである。判決が一定の条件の下では制約できるとしたのは、納得できない。
 この判断が、とりわけ教育現場で独り歩きすることに懸念を持たざるを得ない。

 判決は、校長の職務命令に反し、卒業式で1度だけ起立せず戒告処分を受けた元都立高教諭に対するものだ。定年退職後、再雇用を拒んだ東京都教委の処分取り消しなどを求めていたが、上告は棄却された。
 職務命令について判決は、元教諭の「歴史観や世界観自体を否定するとはいえない」としつつも、思想、良心の自由を「間接的に制約する」と認めた。
 そのうえで《1》慣例上の儀礼的な行為《2》国旗国歌法や学習指導要領の規定《3》地方公務員の職務《4》式典の円滑な進行-などを総合的に比較すれば、制約は「許容できる程度の必要性と合理性が認められる」とした。
 各地で下されている教職員の処分の追認にほかならない。
 教育委員会の処分は、心の問題に踏み込むのではなく、起立を命じた校長の職務命令に違反したという枠組みをつくり、行われてきた。
 「強制はしない」と説明された国旗国歌法が1999年に施行され10年余り。道内を含む約700人の教職員が懲戒処分されている
 判決は、第2小法廷の4人の裁判官が全員一致したものだ。だが、注目すべきは「思想信条に関する微妙な領域の問題」との認識を示した補足意見である。
 ある裁判官は「裁量を逸脱した処分は違法となることもあり得る」と指摘した。
 別の裁判官は、司法が職務命令を合憲、有効と決着させても「最終的な解決へと導くことになるとはいえない」と補足意見で述べた。
 さらに、日の丸君が代は強制的ではなく、「自発的な敬愛の対象となるような環境を整える」ことの重要性にまで触れた。
 最高裁判断は職務命令を合憲としつつも、これだけの補足意見を付けた。異例なことだ。恣意(しい)的な処分など行き過ぎた動きにならないようにとの判断があると受け止めたい。
 校長の命令に黙々と従う教師が増えることが、学校という場にふさわしいのだろうか。教育現場が萎縮し、窮屈になることを何よりも憂う。
『北海道新聞』(2011/6/1)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/296290.html

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