☆ 韓国の政変 逆立ちした日本メディアの論調 (週刊新社会)
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布(昨年12月3日)に始まる韓国の政変について『朝日新聞』(1月16日付)は、「険悪化していた日韓関係を改善に導いた最大の立役者は尹氏」で、「徴用工問題の政治決着」で「日本側に歴史問題の鎮静化への期待をいだかせた」と主張した。
同紙の同日付「社説」は、「北朝鮮はミサイル発射を繰り返し日米韓への対抗姿勢を隠さない。…(韓国の)与野党に問われていることは…政治の安定だ」と強調した。
メディアは、尹政権の「日韓関係改善」を評価し、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の動向に危機感を煽る報道・論調が大勢だ。しかし、この認識は転倒している。
文在寅・前大統領の時代に南北関係は改善され、トランプ政権(第一次)すら朝鮮戦争の終結を検討したほどだった。
この流れを一気に逆転させたのが、尹政権だ。
23年4月の韓米日首脳会談を機に3国の軍事的連携、共同訓練などが具体化された。北朝鮮はこれに強く反発、半島の緊張がかつてなく高まった。
障害だった「徴用工」など戦争責任問題は日韓両国の支配者間で勝手に「解決」された。
しかし、政権基盤が危うくなった尹大統領が、軍事宣伝放送やドローンで北朝鮮を挑発し、非常戒厳を企んだことは明らかだ。
野党の1回目の「大統領弾劾案」には、
「北朝鮮と中国、ロシアを敵視し、日本中心の奇異な外交政策に固執した」
ことも弾劾の理由に明記されていた。与党の造反を促すため2回目の案では削除されたが、これは韓国野党の共通認識だ。
韓国政治の「不安定化」とは朝鮮半島の危機ではなく、半島の平和と日韓民衆の連帯再構築の展望を切り開くもので、大いに歓迎されるべきものである。
(石河康国)
『週刊新社会』(2025年1月29日)
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