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教師は公権力による教育内容への介入を阻止する職責を負う

2012年02月23日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 《再雇用拒否撤回2次訴訟第11回口頭弁論(2012/2/16)陳述》<3>
 ◎ 教師は公権力による教育内容への介入を阻止する職責を負う
代理人弁護士 重成大毅

 第3章 教師の教育の自由及び生徒の学習権について

 一連の「仕組み」が教師の教育の自由を侵害すること、教師である原告らは、生徒のためその学習権侵害を主張する適格を有することについて述べます。
 原告らは、すでに公権力による教育内容への介入は、子どもの学習権を充足させるために必要かつ相当と認められる範囲内に限られ、このような目的や範囲を逸脱した公権力による介入は、教師の教育の自由を侵害するとの主張を行っています。
 この点、被告は、種々の理由をあげ、一連の仕組みが教師の教育の自由を侵害しないとの反論をしています。しかし、被告の上記各反論は、「子どもの学習権」の充足・保障という観点を考慮しない形式論にとどまり、「子どもの学習権」の充足・保障という観点から教育の自由を論じている原告らの主張に対する反論の体をなしていません。
 学テ判決は、教育が子どもの学習権充足を基軸としてなされるべきものであり、都教委を含めた公権力による教育内容への介入は「子どもの学習権」の充足・保障を目的として必要かつ相当な範囲においてのみ認められることを明らかにしています。
 このように公権力による教育内容への介入が「子どもの学習権」の充足・保障を目的として必要かつ相当な範囲内に限られるとしても、公権力によるかかる目的や範囲を逸脱した教育内容への介入を阻止できなければ意味がありません。
 そして、子どもはその未成熟さゆえに、周囲からの影響を受けやすく批判能力を十分に有しないことがあり、子ども自身に公権力による介入阻止を要求することは現実的ではないこと、子どものほか公権力による介入を直接体験する唯一の存在が教師であることからすると、このような公権力による介入を阻止できる者は教師をおいてほかに存在しないといえます。
 したがって、教師は「子どもの学習権」の充足・保障を無視した公権力による教育内容への介入を阻止する職責を負うものと解すべきでしょう。
 教師に対し憲法上保障された教育の自由には、かかる公権力による介入を阻止し対抗するための手段であるとの対公権力的側面をあるのです。
 以上のとおり、公権力による教育内容への介入は、子どもの学習権の充足・保障の点から制約を受け、かつ、教師の教育の自由の保障は、この制約を担保するために存在するのですから、「子どもの学習権」の充足・保障を目的とせず、また、かかる学習権の充足・保障のために必要かつ相当と認められる範囲を超えた公権力による教育内容への介入に対し、教師はその教育の自由の侵害を主張できるのです。
 次に、一連の仕組みが教師の教育の自由を侵害することについて述べます。
 一連の仕組みにより、国旗が掲揚され、すべての教師が起立して国歌を斉唱させられることになると、生徒自身が自分の頭で考え起立斉唱を拒否することは実際上不可能です。生徒は卒業式などにおいて起立斉唱を強制されているのです。
 教師が国旗・国歌には多様な価値観が存在することや内心の自由について生徒に伝えたうえで、起立斉唱をするかしないかめ自己決定を生徒に促すという過程を踏まない限り、常に起立斉唱が強制されていると言わなければなりません。
 一連の仕組みにより、教師を統制することは、生徒に対し端的に国旗・国歌に対する敬意を表する態度のみを植え付けることになり、生徒の自由かつ独立の成長を阻害することになるのです。一連の仕組みは、このような生徒の学習権の充足・保障に反した教育を行うことを教師に強要するものですから、教師の教育の自由を侵害するというべきです。
 最後に、教師が生徒の学習権の侵害を主張できることについて述べます。
 最高裁判例などによれば、一定の要件を満たした場合には、第三者の権利侵害を援用することができますが、生徒の学習権保障のため教師の存在が不可欠であること、前述のとおり子ども自らの権利擁護が困難であること、公権力による介入の防波堤となり生徒の学習権を確保することができるのは、教育の現場にいる教師を措いてほかに存在しないことからすれば、生徒の学習権の実効的保障のため、教師は生徒の学習権侵害を援用できるというべきです。
 一連の仕組みは、前述のとおり、最終的に、国旗・国歌に対する生徒の自己決定の機会を奪い、生徒の自由かつ独立の成長を阻害するもので、学習権を侵害することは明白です。したがって、被告の一連の仕組みは、子どもの学習権を侵害するものとして違憲というほかなく、教師たる原告らはこれを援用します。

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