◆大阪の高校生12人と橋下府知事が懇談
「『子どもが笑う』とは、皆さんが笑うためではない」
「勉強は学校がなくてもできる」「高校は義務教育じゃない」
1950年代、米国の公民権運動が到達した成果にまるで無知な人が府知事になったらしい。「ジャングルの自由」時代に逆戻りしたようなすさまじいやりとりだ。
「今日では教育の機会を否定されれば、いかなる子どもでも人生において成功することはまずおぼつかない。そのような機会はすべての者に平等に与えられなければならぬ一つの権利である。」 (人種分離教育を違憲とした「ブラウン判決」1954から)
◆ 橋下知事と高校生の面談から
10月23日に「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」が橋下徹知事と面談した際の主なやりとりは次の通りです。
◇司会(私立高3年)橋下知事は、「子どもが笑う大阪」と掲げて知事に当選されましたが、私学助成削減や高校事務員の削減で、私たちは笑顔を持てません。私たちの声をぜひ政策に結び付け、大阪の未来につなげてください。
◆知事 こうして政治の場で政治的主張をする以上、僕も意見を言う。社会の実態を知った上で主張しないと。「子どもたちのたわ言」にならないよう、厳しく反論する。
◇Aさん(私立高1年)中学のとき勉強面、友達関係に悩み、学校に行けませんでした。父親は私が中学3年のときにリストラになり、両親は「学費の心配はいらない」と言ってくれましたが、申し訳ない気持ちでいっぱい。助成削減はやめてほしいです。
◆知事 不登校になって、学校を変わろうとしなかったのは、なぜか。いじめを認めるつもりはないが、公立に行きたいとは言わなかったのか。
◇Aさん そういう気力もありませんでした。
◇B君(私立高2年)僕の家は母子家庭です。私学でお金に迷惑をかけると悩みましたが、「あなたが決めるなら応援する」と言ってくれた母親を、これ以上苦しめたくないです。
◆知事 なぜ公立を選ばなかったのか。
◇B君 いまの高校なら、中学でできなかったことも補えると勧められました。
◆知事 いまの高校をいいと思うなら、いいものを選べばいい値段(学費)がかかる。
◇Cさん(府立高3年)私の高校は来年、統廃合でなくなります。在校生の文化祭や体育祭、伝統あるクラブがどうなるか、不安。非常勤補助職員の先生の職を奪わないで。
◆知事 日本で1年間にどれくらい失業者が出ているか、分かっているか。
◇Cさん 多くの若い人たちが非正規雇用で悩んでいるのは知っています。税金は教育、福祉、医療に使うべき。
◆知事 あなたが政治家になって、そういう活動をしてください。
◇Cさん いまの政治家が、国全体を視野広く見てやるべきです。
◆知事 僕も府民から選ばれた中で判断している。あなたのようにしっかりした考えがあるなら、いまの政治家を落とせばいい。
◇Cさん 私は有権者ではないし、私が政治家になってからでは遅いです。
◆知事 教務補助員は、他府県にはない制度で、大阪だけの特別の制度。
◇Cさん それは大阪のいいところとして、続けたらいいと思います。
◆知事 お金があれば、やる。
◇Cさん 無駄な道路を造ったりしているのに。
◆知事 どこが無駄な道路か。僕の考えがおかしければ、有権者に選ばれない。大阪のGDPがいくらで、ベイエリアにどんな産業が来るか、分かっているか。無駄な道路だと言うなら、調べてからに。(府立高校は)ちゃんと定員を定めて、高校は義務教育じゃないから。
◇Cさん これ以上つぶされたら、私学へ行かざるを得ない状況になり、私学助成も減らされたら、勉強したくても勉強できなくなる。
◆知事 入試制度があって、能力で選ばれてしまうのが高校。全員受け入れるという仕組みにはなっていない。もう少し幅広く勉強してほしい。
◇Cさん それなら私たちが安心して勉強できるようにしてください。
◆知事 勉強は学校がなくてもできる。
◇D君(定時制高校生の手紙を代読)定時制には低所得の家庭が多く、昼間働いて家にもお金を入れています。定時制の教科書無償制度がなくなると困るという人も多く、全日制でも学費のためにバイトしている子がいます。
◆知事 まず府の借金を止める。10年後に君たちが医療や福祉に税金を使いたいと思ったときに、お金を使えるような大阪を目指している。このままでは、小さな子どもたちも借金を負わされる。どこかで我慢しないと借金はなくならない。借金してばらまくのは簡単。「子どもが笑う」とは、皆さんが笑うためではない。
◇Eさん(私立高3年)保育士になるのが夢ですが、授業料の高い短大への進学はあきらめ、いまの高校にしました。
◆知事 公立で保育士を目指す人もいる。
◇Eさん 勉強がついていけなくなるので、いまの高校しかないと言われました。
◆知事 そういう道をあなた自身が選択した。なぜいまの高校だけに限ったのか。
◇Eさん そこにしか行けないと言われました(涙ぐむ)
◆知事 人生のルートは大学がすべてではない。読み書き、計算以上の化学式や歴史は、僕は何も覚えていない。絵だって、音楽だっていい。僕の同級生でも、高校に行かずに社長になった人も、いっぱいいる。
◇Cさん 勉強はもちろんだが、一人一人の個性を生かした教育をするのが本当の学校。
◆知事 それは社会人になっても生かせるから。高校に行かなくても個性を伸ばしていけるルートを準備しなければ。
◇Fさん(私立高3年)私は看護師になりたいのですが、あきらめる子もいます。
◆知事 看護師になるのに高校行かなくてもいい道もある。公立になぜ行かなかったか。
◇Fさん 受験で落ちました。
◇司会 世間ではみんなが同じスタートラインではありません。そういう子どもたちがたくさんいることを分かった上で、それを重点化する教育を考えなければ。
◇Gさん 奨学金を借り、アルバイトで学費を払っている子もたくさんいます(涙ぐむ)。
◇司会 財政を切り詰め、我慢を強いられることで、人間らしい生活ができない人は、これから出てくる。それは見捨てていくのですか。
◆知事 人間らしいとは、どれくらいのことか。
◇司会 生活保護を受けている人や、母子家庭の人たちも、一生懸命生き、学校に行きたい子もいます。生活費を切り詰めているのに、私学助成が削られ学費が上がると、通えない子も出てきます。
◆知事 公立に入れるよう、頑張らなきゃ。
◇Cさん 落ちるのは私たちの自己責任ですか(涙ぐむ)。
◆知事 社会に出ると、全部定数があり、自分たちで乗り越えないといけない。義務教育までが、みんなを平等に扱う最後の年限。16歳なら女性は結婚できる。半分大人扱いされることを、もっと自覚しなきゃ。
◇Cさん そこで倒れた人はどうすればいいのですか。
◆知事 最後の最後のところは救うのがいまの世の中。生活保護制度がある。
◇司会 受けられずに餓死した人もいるではありませんか。
◆知事 それは申請の仕方が悪かったり。いまの日本は、自己責任がまず原則。
◇Cさん その自己責任がおかしい。
◆知事 なら、国を変えるか、日本から出るしかない。私学助成が削られたというが、ゼロじゃない。府立高校生1人当たりの経費は90万円くらい。医療費助成もある。何でもかんでも自己責任じゃない。
◇司会 思いは伝えきれていません。またこういう機会を設けてください。
◆知事 いいですよ。義務教育を終えて大人になるための第一の壁が高校入試。その壁から逃げちゃいけない。訓練だ。
◇Cさん だからといって競争させるのですか。
◆知事 競争でなく、訓練。
◇Cさん 生きていく上で、勉強は不可欠です。
◆知事 足し算、引き算、掛け算、割り算、読み書きくらいで十分、世の中生きていける。化学式なんていらない。あとで自分でやろうと思えば勉強できる。
◇Cさん みんなに学ぶ権利があります。
◆知事 ある。中学校までは保障している。
◇司会 憲法にはそうは書いていません。
◆知事 高校まで保障するとも書いてない。どうするかは有権者の選択の中で政治が決めていく。有権者が賢くなければ、政治家がちゃんと行動できない。高校に行っても、社会のことなんて学べない。先輩面するようだが、5年、10年たてば分かる。続きはやりましょう。納得するまで。
◇司会 ではまた要請します。
◆知事 してください。
◇司会 きょうはありがとうございました。
(大阪民主新報11月2日付より)
『大阪教職員組合HP』
http://www.daikyoso.net/wp-content/uploads/2008/11/bw-uploadsi7sjupjtjpacxo2cjvqqtolmlsqsa4kpgucucgrm.pdf
「『子どもが笑う』とは、皆さんが笑うためではない」
「勉強は学校がなくてもできる」「高校は義務教育じゃない」
1950年代、米国の公民権運動が到達した成果にまるで無知な人が府知事になったらしい。「ジャングルの自由」時代に逆戻りしたようなすさまじいやりとりだ。
「今日では教育の機会を否定されれば、いかなる子どもでも人生において成功することはまずおぼつかない。そのような機会はすべての者に平等に与えられなければならぬ一つの権利である。」 (人種分離教育を違憲とした「ブラウン判決」1954から)
◆ 橋下知事と高校生の面談から
10月23日に「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」が橋下徹知事と面談した際の主なやりとりは次の通りです。
◇司会(私立高3年)橋下知事は、「子どもが笑う大阪」と掲げて知事に当選されましたが、私学助成削減や高校事務員の削減で、私たちは笑顔を持てません。私たちの声をぜひ政策に結び付け、大阪の未来につなげてください。
◆知事 こうして政治の場で政治的主張をする以上、僕も意見を言う。社会の実態を知った上で主張しないと。「子どもたちのたわ言」にならないよう、厳しく反論する。
◇Aさん(私立高1年)中学のとき勉強面、友達関係に悩み、学校に行けませんでした。父親は私が中学3年のときにリストラになり、両親は「学費の心配はいらない」と言ってくれましたが、申し訳ない気持ちでいっぱい。助成削減はやめてほしいです。
◆知事 不登校になって、学校を変わろうとしなかったのは、なぜか。いじめを認めるつもりはないが、公立に行きたいとは言わなかったのか。
◇Aさん そういう気力もありませんでした。
◇B君(私立高2年)僕の家は母子家庭です。私学でお金に迷惑をかけると悩みましたが、「あなたが決めるなら応援する」と言ってくれた母親を、これ以上苦しめたくないです。
◆知事 なぜ公立を選ばなかったのか。
◇B君 いまの高校なら、中学でできなかったことも補えると勧められました。
◆知事 いまの高校をいいと思うなら、いいものを選べばいい値段(学費)がかかる。
◇Cさん(府立高3年)私の高校は来年、統廃合でなくなります。在校生の文化祭や体育祭、伝統あるクラブがどうなるか、不安。非常勤補助職員の先生の職を奪わないで。
◆知事 日本で1年間にどれくらい失業者が出ているか、分かっているか。
◇Cさん 多くの若い人たちが非正規雇用で悩んでいるのは知っています。税金は教育、福祉、医療に使うべき。
◆知事 あなたが政治家になって、そういう活動をしてください。
◇Cさん いまの政治家が、国全体を視野広く見てやるべきです。
◆知事 僕も府民から選ばれた中で判断している。あなたのようにしっかりした考えがあるなら、いまの政治家を落とせばいい。
◇Cさん 私は有権者ではないし、私が政治家になってからでは遅いです。
◆知事 教務補助員は、他府県にはない制度で、大阪だけの特別の制度。
◇Cさん それは大阪のいいところとして、続けたらいいと思います。
◆知事 お金があれば、やる。
◇Cさん 無駄な道路を造ったりしているのに。
◆知事 どこが無駄な道路か。僕の考えがおかしければ、有権者に選ばれない。大阪のGDPがいくらで、ベイエリアにどんな産業が来るか、分かっているか。無駄な道路だと言うなら、調べてからに。(府立高校は)ちゃんと定員を定めて、高校は義務教育じゃないから。
◇Cさん これ以上つぶされたら、私学へ行かざるを得ない状況になり、私学助成も減らされたら、勉強したくても勉強できなくなる。
◆知事 入試制度があって、能力で選ばれてしまうのが高校。全員受け入れるという仕組みにはなっていない。もう少し幅広く勉強してほしい。
◇Cさん それなら私たちが安心して勉強できるようにしてください。
◆知事 勉強は学校がなくてもできる。
◇D君(定時制高校生の手紙を代読)定時制には低所得の家庭が多く、昼間働いて家にもお金を入れています。定時制の教科書無償制度がなくなると困るという人も多く、全日制でも学費のためにバイトしている子がいます。
◆知事 まず府の借金を止める。10年後に君たちが医療や福祉に税金を使いたいと思ったときに、お金を使えるような大阪を目指している。このままでは、小さな子どもたちも借金を負わされる。どこかで我慢しないと借金はなくならない。借金してばらまくのは簡単。「子どもが笑う」とは、皆さんが笑うためではない。
◇Eさん(私立高3年)保育士になるのが夢ですが、授業料の高い短大への進学はあきらめ、いまの高校にしました。
◆知事 公立で保育士を目指す人もいる。
◇Eさん 勉強がついていけなくなるので、いまの高校しかないと言われました。
◆知事 そういう道をあなた自身が選択した。なぜいまの高校だけに限ったのか。
◇Eさん そこにしか行けないと言われました(涙ぐむ)
◆知事 人生のルートは大学がすべてではない。読み書き、計算以上の化学式や歴史は、僕は何も覚えていない。絵だって、音楽だっていい。僕の同級生でも、高校に行かずに社長になった人も、いっぱいいる。
◇Cさん 勉強はもちろんだが、一人一人の個性を生かした教育をするのが本当の学校。
◆知事 それは社会人になっても生かせるから。高校に行かなくても個性を伸ばしていけるルートを準備しなければ。
◇Fさん(私立高3年)私は看護師になりたいのですが、あきらめる子もいます。
◆知事 看護師になるのに高校行かなくてもいい道もある。公立になぜ行かなかったか。
◇Fさん 受験で落ちました。
◇司会 世間ではみんなが同じスタートラインではありません。そういう子どもたちがたくさんいることを分かった上で、それを重点化する教育を考えなければ。
◇Gさん 奨学金を借り、アルバイトで学費を払っている子もたくさんいます(涙ぐむ)。
◇司会 財政を切り詰め、我慢を強いられることで、人間らしい生活ができない人は、これから出てくる。それは見捨てていくのですか。
◆知事 人間らしいとは、どれくらいのことか。
◇司会 生活保護を受けている人や、母子家庭の人たちも、一生懸命生き、学校に行きたい子もいます。生活費を切り詰めているのに、私学助成が削られ学費が上がると、通えない子も出てきます。
◆知事 公立に入れるよう、頑張らなきゃ。
◇Cさん 落ちるのは私たちの自己責任ですか(涙ぐむ)。
◆知事 社会に出ると、全部定数があり、自分たちで乗り越えないといけない。義務教育までが、みんなを平等に扱う最後の年限。16歳なら女性は結婚できる。半分大人扱いされることを、もっと自覚しなきゃ。
◇Cさん そこで倒れた人はどうすればいいのですか。
◆知事 最後の最後のところは救うのがいまの世の中。生活保護制度がある。
◇司会 受けられずに餓死した人もいるではありませんか。
◆知事 それは申請の仕方が悪かったり。いまの日本は、自己責任がまず原則。
◇Cさん その自己責任がおかしい。
◆知事 なら、国を変えるか、日本から出るしかない。私学助成が削られたというが、ゼロじゃない。府立高校生1人当たりの経費は90万円くらい。医療費助成もある。何でもかんでも自己責任じゃない。
◇司会 思いは伝えきれていません。またこういう機会を設けてください。
◆知事 いいですよ。義務教育を終えて大人になるための第一の壁が高校入試。その壁から逃げちゃいけない。訓練だ。
◇Cさん だからといって競争させるのですか。
◆知事 競争でなく、訓練。
◇Cさん 生きていく上で、勉強は不可欠です。
◆知事 足し算、引き算、掛け算、割り算、読み書きくらいで十分、世の中生きていける。化学式なんていらない。あとで自分でやろうと思えば勉強できる。
◇Cさん みんなに学ぶ権利があります。
◆知事 ある。中学校までは保障している。
◇司会 憲法にはそうは書いていません。
◆知事 高校まで保障するとも書いてない。どうするかは有権者の選択の中で政治が決めていく。有権者が賢くなければ、政治家がちゃんと行動できない。高校に行っても、社会のことなんて学べない。先輩面するようだが、5年、10年たてば分かる。続きはやりましょう。納得するまで。
◇司会 ではまた要請します。
◆知事 してください。
◇司会 きょうはありがとうございました。
(大阪民主新報11月2日付より)
『大阪教職員組合HP』
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