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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「人権先進国」を目指せ

2010年05月15日 | 人権
 《憲法記念日 社説》 神奈川新聞
 ◎ 「人権先進国」を目指せ


 強まる閉塞(へいそく)感、危機感の中で63回目の憲法記念日を迎えた。日本は高齢化、人口減が本格化する一方、経済は低迷し、国の借金は世界でも類のない規模に拡大した。政治は混迷の度を増している。衰亡といった言葉が現実味を帯びている。日本が再び活力ある社会を築くため、あらためて憲法の理念を再確認し実現する努力を払いたい。
 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、そして地方自治など、憲法の理念は今も日本の針路を明確に示している。しかし残念ながら、その理想と現実には少なからぬ距離が存在する。憲法の基盤である基本的人権でも危機が見て取れる。
 憲法は、表現の自由などの自由権のほかに「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(生存権、25条)などと社会権も規定した。
 しかし、表現の自由では反戦ビラを配っただけで逮捕されるという事件も起きた。そして生存権では、今回の経済危機によって「貧困」の実態が表面化した。「一度転んだらどん底まですべり落ちていってしまう『すべり台社会』」(湯浅誠氏)が日本の現状である。
 医療や介護、年金、失業対策など社会保障全般の立て直しが叫ばれてきたが、政治の動きは遅々としている。応分の負担について国民に理解を求め、早急に改革を遂行すべきだ。
 人権が守られ、弱者がしっかり支えられる社会こそが憲法の要請であり、国民の願いだ。
 また外国人の人権保障も日本の将来を占う重要な要素だ。永住外国人への地方選挙権付与問題を契機に排外主義的な言動が増したのは気掛かりだ。
 日本が激動する世界で生き抜くには、グローバル化に対応した*多様性ある社会を築く必要がある。外国人労働者の受け入れもこれまで以上に求められよう。日本社会は外国人との共生に努力する必要がある。台頭する中国の人権状況を考えれば、日本は「人権先進国」となることで、アジアでのリーダーシップを発揮できるはずだ。
 今月18日には、憲法改正手続きを定めた国民投票法が施行される。憲法改正で国のかたちを大きく変えようという主張も与野党双方から聞かれる。しかし、国民の間に改正の機運は高まっていない。現在の憲法の下で、なすべきことをせよというのが国民の意思であろう。
 『カナコロ』(2010年5月3日【社説】)
http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1005030001/

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