第179国会 第3次補正予算案 消費税増税へレール
◆ 大企業に「春風」
過去2番目の規模となる第3次補正予算案が10月28日、第179臨時国会に提出され、野田首相が補正予算案成立を「希望づくり」と位置づける所信表明演説を行った。同時に提出された復興財源確保法案や復興増税法案など関連法案は、その財源確保へ所得税などの臨時増税を求めるもので、将来の消費税増税をにらんだものとなる。 (略)
◆ 野田首相の所信表明 TPPへ意欲 沖縄に二枚舌
野田政権の命運が懸かった第3次補正予算案は、総額12兆1025億円。
その75%を占める復興費は9兆2438億円、第1次補正約4兆円と第2次補正約2兆円を合わせると15兆円を超える。
政府は今後5年間の復興費を19兆円、10年間で23兆円と見積もり、その8割、6割超が注入される。
それでも被災3県が独自に積み上げ試算した復興費(福島は想定)30兆円には足りない。
11年度の一般会計は3次の補正込みで106兆3987億円に上り、過去最大規模となる。
第3次補正予算案の歳出項目は被災自治体から高台への集団移転など新しい町づくり、農漁業集落整備の復興基金、防災・インフラ整備が中心の雇用創出、放射能汚染対策としての除染など原子力災害復興費、国内立地企業への補助金などの円高・空洞化対策を盛り込んだ。
その他、年金基金から1次補正に流用した2兆4897億円の補填などに充当される。
第3次補正予算案にみる復興政策は、公共投資によるケインズ型景気刺激策と、復興特区制度に見られる新自由主義型ショック・ドクトリンの併用だ。
問題はその財源手当て。補正予算案は復興債11兆5500億円、その他に税外収入と歳出削減などで5525億円を賄う。
今回の復興債と過去の国債発行額の累計は749兆938億円。これに政府短期証券と政府の借入金を合計した国の借金は1024兆1047億円になる(財務省)。数字上、日本の財政はギリシャ以上に「国家の信用」危機にある。
政府は復興債を担保する確実な財源として、不確実な景気回復策よりも増税を選択した。それが法人税、たばこ税、所得税、個人住民税による復興増税だ。
5%引き下げて10%引き上げるまやかしの法人税増税は期間を3年間に限定。だが、所得税増税はたばこ税増税にリンクして15年間に延長する。
しかも増税の総仕上げ(アンカー)として、消費税増税が控えている。
所信表明演説は企業には「春風」をもって、庶民には「秋霜」をもって接すると通告したようなものだ。
なお、首相は補正予算案の成立にトゲとなっている消費税増税には触れず、TPP(環太平洋連携協定)についても「しっかり議論し、早期に結論」と参加へ決意を示した。
普天間基地移設問題では「沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け」、「移設実現に全力で取り組みます」と二枚舌を使った。
『週刊新社会』(2011/11/8)
◆ 大企業に「春風」
過去2番目の規模となる第3次補正予算案が10月28日、第179臨時国会に提出され、野田首相が補正予算案成立を「希望づくり」と位置づける所信表明演説を行った。同時に提出された復興財源確保法案や復興増税法案など関連法案は、その財源確保へ所得税などの臨時増税を求めるもので、将来の消費税増税をにらんだものとなる。 (略)
◆ 野田首相の所信表明 TPPへ意欲 沖縄に二枚舌
野田政権の命運が懸かった第3次補正予算案は、総額12兆1025億円。
その75%を占める復興費は9兆2438億円、第1次補正約4兆円と第2次補正約2兆円を合わせると15兆円を超える。
政府は今後5年間の復興費を19兆円、10年間で23兆円と見積もり、その8割、6割超が注入される。
それでも被災3県が独自に積み上げ試算した復興費(福島は想定)30兆円には足りない。
11年度の一般会計は3次の補正込みで106兆3987億円に上り、過去最大規模となる。
第3次補正予算案の歳出項目は被災自治体から高台への集団移転など新しい町づくり、農漁業集落整備の復興基金、防災・インフラ整備が中心の雇用創出、放射能汚染対策としての除染など原子力災害復興費、国内立地企業への補助金などの円高・空洞化対策を盛り込んだ。
その他、年金基金から1次補正に流用した2兆4897億円の補填などに充当される。
第3次補正予算案にみる復興政策は、公共投資によるケインズ型景気刺激策と、復興特区制度に見られる新自由主義型ショック・ドクトリンの併用だ。
問題はその財源手当て。補正予算案は復興債11兆5500億円、その他に税外収入と歳出削減などで5525億円を賄う。
今回の復興債と過去の国債発行額の累計は749兆938億円。これに政府短期証券と政府の借入金を合計した国の借金は1024兆1047億円になる(財務省)。数字上、日本の財政はギリシャ以上に「国家の信用」危機にある。
政府は復興債を担保する確実な財源として、不確実な景気回復策よりも増税を選択した。それが法人税、たばこ税、所得税、個人住民税による復興増税だ。
5%引き下げて10%引き上げるまやかしの法人税増税は期間を3年間に限定。だが、所得税増税はたばこ税増税にリンクして15年間に延長する。
しかも増税の総仕上げ(アンカー)として、消費税増税が控えている。
所信表明演説は企業には「春風」をもって、庶民には「秋霜」をもって接すると通告したようなものだ。
なお、首相は補正予算案の成立にトゲとなっている消費税増税には触れず、TPP(環太平洋連携協定)についても「しっかり議論し、早期に結論」と参加へ決意を示した。
普天間基地移設問題では「沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け」、「移設実現に全力で取り組みます」と二枚舌を使った。
『週刊新社会』(2011/11/8)
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