東京都教育委員会 教育委員長 木村孟様
教育長 比留間英人様
東京都立板橋特別支援学校校長 真下智様
1.卒業式・入学式で「君が代」起立を拒否した教職員に対し、処分をしないことを求めますという私たち要請を踏みにじり、4月30日、都立高校の井黒豊さんに対し行った「減給十分の一、六ケ月」の不当処分、及び、田中聡史さんへの「減給十分の一、一ケ月」、また、卒業式で戒告処分された都立工芸高校のSTさん、調布市立第三中学校のSAさんたちへの都教委による不当処分を即時撤回することを求める。
2.6月10日、東京都教育委員会は、板橋特別支援学校の田中聡史さんに対し、板橋特別支援学校に出かけて「服務事故再発防止研修」という名の「思想転向研修」を予定していると聞いた。東京都教育委員会は、この間、卒業式処分に関する研修センターでの「服務事故再発防止研修」(1回目)を4月4日に、また、入学式処分に関する研修センターでの「服務事故再発防止研修」(1回目)を5月13日に強行している。
3.さらに、田中聡史さんに対して、都教委は、板橋特別支援学校での「訪問指導」を、6・7・8・9月の4回、管理主事・総括指導主事ほか数名によって行う。また、10月には、最終回とされる「センター研修」を、10月17日に行うと連絡してきている。都立高校教諭・井黒豊さんにも、田中さんと同様の「研修」強要が行われている。また、卒業式で戒告処分された都立工芸高校のSTさん、調布市立第三中学校のSAさんへも、田中さんと同様の「研修」強要が行われている。
4.このような「研修」を受けることは、田中聡史さん(井黒さんたち3名もほぼ同様に)は、4月から始まって10月半ばまで(一昨年は、8月まで、昨年は9月までだった「研修」が一段と強化され、長期にわたる「研修」・「訪問指導」を受け、「研修」・「訪問指導」の度に、田中さんたちは、日本国憲法で保障された内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由を侵害されて、「反省」を求められることになる。
5.また、都教委は不起立を続ける田中聡史さん(井黒さんたち3名も同様に)に対し、「『反省』の機会を与えたのに『反省』がなく、職務命令違反を繰り返した」と、すなわち、「不起立前後の態度」がよくないとして、さらに重い処分をするために「再発防止研修」を考えているとも考えられる。
6.東京都教育委員会が教育に支配介入し、「子どもの最善の利益」を保障する教育を破壊し、都教委の政治介入である都教委による「10.23通達」を発出し、「君が代」起立を拒否する教職員を処分すること、全教職員が起立する姿を見せることによって、子どもたちに「日の丸・君が代」の尊重を刷り込むことは、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求する人間の育成」を目的とする教育条理に反し到底許されるものではない。都教委による教育支配介入が国際社会に通用するものではないことは自明の理である。
7.なお、再発防止研修に関しては、2004年7月、不起立・不伴奏者対象に初めて再発防止研修が行われる直前の執行停止申立に対して東京地裁・須藤裁判官は、7月23日、本件研修が未実施であることから現段階では却下と決定したものの、実際に実施される研修が「例えば、研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性があるといわなければならない」として、やり方によっては「違憲・違法」の問題が生ずることを指摘していたことを改めて確認しなければならない。
8.東京地裁須藤決定直後の8月に行われた当時の再発防止研修では、「地方公務員法を中心とする解説がなされたに過ぎず」、「『受講報告書』は、受けた研修の内容及びその所感について記載させるものに過ぎず、原告らが主張するような『反省の実質を有する文書』でもない」(研修命令取消訴訟における都教委代理人の主張)として、須藤決定の範囲に留まることを意識したような内容で行われ、以降このやり方が継承されていったが、2012年3月の通知から変更された今のやり方は、実施時期・回数とその研修内容において「合理的に許容されている範囲を超えるもの」となっている。実施期間が半年の長きに及び実施回数も大幅増したのみならず、内容において「地方公務員法違反」の処分事案にも関わらず、「学習指導要領国旗国歌条項」を持ち出して起立斉唱を強要するやり方は、「起立斉唱命令」が「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある」と判示した『最高裁判決』(2011/6/6)にも明らかに抵触するものである。自らの歴史観ないし世界観および教育的信念に基づく不起立者に対して、その行為を禁止したり反省を迫ったり変更を強いるような研修は、思想転向強要の実質を有する憲法違反の人権侵害と言わなければならない。
9.8月27日には、田中聡史さんに対して、3回目の訪問指導が実施されようとしている。都教委及び校長は、法令に基づき公務を執行する行政の責任者として、司法の決定を遵守し、違憲違法の問題を生ずる可能性がある研修はただちに中止し、同時に現行の『研修実施要領』を抜本的に見直し、田中さんの思想及び良心の自由を尊重し侵害することのないように求めるものである。
10.また、田中さんの所属校である板橋特別支援学校の校長に対する田中さんの支援者たちによる憲法16条及び請願法の規定に基づく穏やかな要請に対して、憲法16条及び請願法の規定に反して、国民からの要請に対しては差別待遇することなく「これを受理し誠実に処理」すべきとされているにもかかわらず、校長並びに都教委は、学校教育の現場に警察力を導入して正当な権利行使を警察力によって二度にわたり排除したことは、官公署の責任者としての責務と憲法に保障された権利を踏みにじるものであり、ここに強く抗議するものである。
同時に、8月27日を含めて、今後、二度とこのような暴挙を繰り返さないように強く要望するものである。
11.「10.23通達」から11年。「君が代」不起立教員は、処分をされ、不利益を受けようとも、間違った職務命令には従ってはならないという、子どもたちへの直接に教育責任を負う教員としての良心からの行動は、どのような処分や脅しを以ってしても、これからも絶えることはないだろう。
12.私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は、全国各地の現職教員や退職教員、保護者、市民、労働者とともに、全国各地で、今回の都教委の不当処分を撤回させるまで、また、日本国憲法で保障された内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由を侵害する、被処分者への不当な「研修」・「訪問指導」という名の「思想転向研修」を止めさせるまで、東京都民・全国の教員・保護者・市民とともに、徹底して抗議行動を行っていくものである。
13.東京都教育委員会及び板橋特別支援学校校長に対し、以下のことを強く要請する。
また、連絡先宛に回答を求めるものである。
(1)卒業式・入学式の「君が代」斉唱に関わる井黒豊さん・田中聡史さん、都立工芸高校のSTさん、調布市立第三中学校のSAさんへの不当処分を撤回すること。
(2)田中聡史さん、井黒豊さん、STさん、SAさんへの「服務事故再発防止研修」を即刻中止すること。
(3)板橋特別支援学校校長並びに東京都教育委員会は、官公署の責任者としての責務と憲法に保障された権利を踏みにじり、学校教育の現場に警察力を導入して正当な権利行使を二度にわたり排除したことを、要請当事者と田中さんに謝罪すること。また、今後、8月27日を含めて、二度とこのような憲法違反の人権侵害を繰り返さないこと。
教育長 比留間英人様
東京都立板橋特別支援学校校長 真下智様
2014年8月26日
許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク
連絡先:「全国ネット」世話人・小野政美(FAX 052-916-7655)
許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク
連絡先:「全国ネット」世話人・小野政美(FAX 052-916-7655)
◎ 要 請 書
1.卒業式・入学式で「君が代」起立を拒否した教職員に対し、処分をしないことを求めますという私たち要請を踏みにじり、4月30日、都立高校の井黒豊さんに対し行った「減給十分の一、六ケ月」の不当処分、及び、田中聡史さんへの「減給十分の一、一ケ月」、また、卒業式で戒告処分された都立工芸高校のSTさん、調布市立第三中学校のSAさんたちへの都教委による不当処分を即時撤回することを求める。
2.6月10日、東京都教育委員会は、板橋特別支援学校の田中聡史さんに対し、板橋特別支援学校に出かけて「服務事故再発防止研修」という名の「思想転向研修」を予定していると聞いた。東京都教育委員会は、この間、卒業式処分に関する研修センターでの「服務事故再発防止研修」(1回目)を4月4日に、また、入学式処分に関する研修センターでの「服務事故再発防止研修」(1回目)を5月13日に強行している。
3.さらに、田中聡史さんに対して、都教委は、板橋特別支援学校での「訪問指導」を、6・7・8・9月の4回、管理主事・総括指導主事ほか数名によって行う。また、10月には、最終回とされる「センター研修」を、10月17日に行うと連絡してきている。都立高校教諭・井黒豊さんにも、田中さんと同様の「研修」強要が行われている。また、卒業式で戒告処分された都立工芸高校のSTさん、調布市立第三中学校のSAさんへも、田中さんと同様の「研修」強要が行われている。
4.このような「研修」を受けることは、田中聡史さん(井黒さんたち3名もほぼ同様に)は、4月から始まって10月半ばまで(一昨年は、8月まで、昨年は9月までだった「研修」が一段と強化され、長期にわたる「研修」・「訪問指導」を受け、「研修」・「訪問指導」の度に、田中さんたちは、日本国憲法で保障された内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由を侵害されて、「反省」を求められることになる。
5.また、都教委は不起立を続ける田中聡史さん(井黒さんたち3名も同様に)に対し、「『反省』の機会を与えたのに『反省』がなく、職務命令違反を繰り返した」と、すなわち、「不起立前後の態度」がよくないとして、さらに重い処分をするために「再発防止研修」を考えているとも考えられる。
6.東京都教育委員会が教育に支配介入し、「子どもの最善の利益」を保障する教育を破壊し、都教委の政治介入である都教委による「10.23通達」を発出し、「君が代」起立を拒否する教職員を処分すること、全教職員が起立する姿を見せることによって、子どもたちに「日の丸・君が代」の尊重を刷り込むことは、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求する人間の育成」を目的とする教育条理に反し到底許されるものではない。都教委による教育支配介入が国際社会に通用するものではないことは自明の理である。
7.なお、再発防止研修に関しては、2004年7月、不起立・不伴奏者対象に初めて再発防止研修が行われる直前の執行停止申立に対して東京地裁・須藤裁判官は、7月23日、本件研修が未実施であることから現段階では却下と決定したものの、実際に実施される研修が「例えば、研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性があるといわなければならない」として、やり方によっては「違憲・違法」の問題が生ずることを指摘していたことを改めて確認しなければならない。
8.東京地裁須藤決定直後の8月に行われた当時の再発防止研修では、「地方公務員法を中心とする解説がなされたに過ぎず」、「『受講報告書』は、受けた研修の内容及びその所感について記載させるものに過ぎず、原告らが主張するような『反省の実質を有する文書』でもない」(研修命令取消訴訟における都教委代理人の主張)として、須藤決定の範囲に留まることを意識したような内容で行われ、以降このやり方が継承されていったが、2012年3月の通知から変更された今のやり方は、実施時期・回数とその研修内容において「合理的に許容されている範囲を超えるもの」となっている。実施期間が半年の長きに及び実施回数も大幅増したのみならず、内容において「地方公務員法違反」の処分事案にも関わらず、「学習指導要領国旗国歌条項」を持ち出して起立斉唱を強要するやり方は、「起立斉唱命令」が「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある」と判示した『最高裁判決』(2011/6/6)にも明らかに抵触するものである。自らの歴史観ないし世界観および教育的信念に基づく不起立者に対して、その行為を禁止したり反省を迫ったり変更を強いるような研修は、思想転向強要の実質を有する憲法違反の人権侵害と言わなければならない。
9.8月27日には、田中聡史さんに対して、3回目の訪問指導が実施されようとしている。都教委及び校長は、法令に基づき公務を執行する行政の責任者として、司法の決定を遵守し、違憲違法の問題を生ずる可能性がある研修はただちに中止し、同時に現行の『研修実施要領』を抜本的に見直し、田中さんの思想及び良心の自由を尊重し侵害することのないように求めるものである。
10.また、田中さんの所属校である板橋特別支援学校の校長に対する田中さんの支援者たちによる憲法16条及び請願法の規定に基づく穏やかな要請に対して、憲法16条及び請願法の規定に反して、国民からの要請に対しては差別待遇することなく「これを受理し誠実に処理」すべきとされているにもかかわらず、校長並びに都教委は、学校教育の現場に警察力を導入して正当な権利行使を警察力によって二度にわたり排除したことは、官公署の責任者としての責務と憲法に保障された権利を踏みにじるものであり、ここに強く抗議するものである。
同時に、8月27日を含めて、今後、二度とこのような暴挙を繰り返さないように強く要望するものである。
11.「10.23通達」から11年。「君が代」不起立教員は、処分をされ、不利益を受けようとも、間違った職務命令には従ってはならないという、子どもたちへの直接に教育責任を負う教員としての良心からの行動は、どのような処分や脅しを以ってしても、これからも絶えることはないだろう。
12.私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は、全国各地の現職教員や退職教員、保護者、市民、労働者とともに、全国各地で、今回の都教委の不当処分を撤回させるまで、また、日本国憲法で保障された内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由を侵害する、被処分者への不当な「研修」・「訪問指導」という名の「思想転向研修」を止めさせるまで、東京都民・全国の教員・保護者・市民とともに、徹底して抗議行動を行っていくものである。
13.東京都教育委員会及び板橋特別支援学校校長に対し、以下のことを強く要請する。
また、連絡先宛に回答を求めるものである。
(1)卒業式・入学式の「君が代」斉唱に関わる井黒豊さん・田中聡史さん、都立工芸高校のSTさん、調布市立第三中学校のSAさんへの不当処分を撤回すること。
(2)田中聡史さん、井黒豊さん、STさん、SAさんへの「服務事故再発防止研修」を即刻中止すること。
(3)板橋特別支援学校校長並びに東京都教育委員会は、官公署の責任者としての責務と憲法に保障された権利を踏みにじり、学校教育の現場に警察力を導入して正当な権利行使を二度にわたり排除したことを、要請当事者と田中さんに謝罪すること。また、今後、8月27日を含めて、二度とこのような憲法違反の人権侵害を繰り返さないこと。
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