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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

2017年1月五者卒業式・入学式対本部の都教委要請文

2017年01月28日 | 日の丸・君が代関連ニュース
2017年1月25日
◎ 卒・入学式を前に起立斉唱伴奏の
職務命令を出さないこと等を求める要請

 2003年の「10.23通達」以来、子どもの学習権確保のために不利益覚悟で不服従を貫き懲戒処分を受けた教員の数は延べ478名にのぼります。最高裁は、職務命令が「思想及び良心の自由」の「間接的な制約」に当たることを認め、累積加重処分は「裁量権の範囲を超えるものとして違法の評価を免れない」との判断を示しました(2012年1月16日)。
 2016年にはその判例に沿った3つの判決が、最高裁及び東京高裁で確定しました。
 5月31日、河原井さん・根津さん07年処分取消裁判の最高裁決定では、都の上告が棄却され、重すぎる処分は憲法が保障する「思想及び良心の自由の実質的な侵害につながる」として原告2人の停職処分取消と損害賠償を認めた東京高裁判決が確定しました。
 7月12日、東京「君が代」裁判第3次訴訟の最高裁決定では、都は高裁段階で既に上告を断念していましたが、累積加重処分は裁量権の逸脱濫用であるとした東京高裁判決が確定しました。
 7月19日、小学校音楽教諭停職処分取消裁判控訴審では、原処分と人事委員会の修正裁決をいずれも取り消した地裁判決が維持され、都は上告を断念したので、原告の処分取消が確定しました。
 いずれも「累積加重処分」を取り消した判決で、これで2012年の最高裁判決以降8つの裁判で争われてきた67件57人のすべての処分取消が確定しました。これら判例の積み重ねから、短期間に反復継続的に不利益が拡大する累積加重処分が許されないことは明らかです【資料1】。
 2012年最高裁判決を誤って解釈し、「不起立行為等に対する懲戒においては・・・戒告を超えて減給以上の処分を選択することが許容される」と判決直後に校長宛に示すなど、誤った解釈の下に執行されてきた都教委の処分方針は、速やかに改められなければなりません。そして、処分取消が確定した現職教員に対して戒告処分を出し直した「再処分」も、直ちに是正されるべきです。
 さらに、国連自由権規約委員会「思想・良心・宗教の自由に対していかなる制約も差し控えるよう」勧告したことを、締約国の一行政機関として東京都も積極的に尊重すべきことは、わが国が国際社会で尊敬され信用されるために当然のことです【資料2】。
 東京都教育委員会が、普遍的な人権を尊重しつつ教育の目的を実現するために、司法の判断を守り、国際レベルの人権水準に立ち、自らの職責を正しく果たすことを求め、下記の諸点を要請します。
1,「10・23通達」を撤回すること。
2,教職員の思想及び良心の自由を制約する「職務命令」を発令しないこと。

3,教育上の信念ないし自らの歴史観・世界観に基づき行動した教職員に対して「懲戒処分」を発令しないこと。
4,司法判断を謙虚に受けとめ、これまで行った累積加重処分は取り消し、今後は二度と累積加重処分を行わないこと。
5,これまで取り消しが確定した処分について、違法な処分を行ってきた責任の所在を明らかにすること。
6,違法な処分により、様々な不利益と精神的苦痛を被ってきた全原告に対し、謝罪すること。
7,過去の処分を取り消された教職員に対し、処分に伴う一切の不利益な取扱いを原状回復し、損害を賠償し、名誉回復措置をとること。
8,過去の処分を取り消された教職員に対し、同一の理由に基づく再処分を行わないこと。
9,不起立行為等に対する懲戒処分を理由とした再雇用拒否及び合格取消を撤回し、損害を賠償すること。そして今後、二度とこのような違法行為を行わないこと。
10,これまでの判例の積み重ねを踏まえ、2012年最高裁判決直後に校長宛に発出された「不起立行為等に対する懲戒においては・・・戒告を超えて減給以上の処分を選択することが許容される」との誤った解釈を載せた『卒業式・入学式における職務命令違反による懲戒処分の考え方』を撤回すること。
11.これまでの判例の積み重ねを踏まえ、最高裁判決の解釈を誤り、「教育の目的」を歪曲し、「教員の責務」を矮小化した、『入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について』(都教委2012.1.24議決)を撤回すること。
12,生徒の思想及び良心の自由の侵害を教員に強いる「3.13通達」を、撤回すること。
13,都立高には、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見を持つ多様な生徒が通っていることを踏まえ、各々の尊厳と権利とを尊重し、画一的な日の丸・君が代への起立斉唱の強制は行わないこと。
14,生徒に「内心の自由」を事前に伝えることは「各学校における創意工夫の一つ」であるとした文科省の見解と、都教委も同じ立場と理解しても良いか。【資料3】
15.「思想及び良心の自由」に関わる理由で教育活動の一部または全部に参加できない意思を示す生徒がいた場合の「適正な指導」とは何か、示されたい。
16,わが国が批准した国際人権条約を遵守する義務と国際人権機関からの勧告を尊重し誠実に実行する責務は、中央政府はもちろん地方自治体にもあることを確認されたい。
17,国連自由権規約委員会第6回日本政府報告審査の『最終見解』(2014/7/24)に関して、外務省から東京都総務局人権部に送付され、教育庁総務部教育政策課が受け取ったとされる文書(2014/10/3)に指示されている「この『最終見解』を広く関係者に周知するとともに、人権の一層の保護・推進に向けた施策として活用するように」に従って、『最終見解』を人権教育の最前線であるすべての学校に漏れなく周知すること。【資料4】
18,2015年3月20日の当団体からの要請に対する、同年4月14日付の指導部指導企画課及び人事部職員課の「日本政府の見解について答える立場にない」とした回答は、上記外務省文書に示された国の方針に明らかに反している。人権条約への無理解と、外務省からの要請を無視し、条約締結国の地方自治体の責務を放棄したことを反省し、当該回答を撤回すると同時に、要請団体に謝罪されたい。【資料5】
19,同『最終見解』パラグラフ22について、日弁連は【資料6】のように、この勧告は「学校における日の丸の掲揚,君が代斉唱時に起立しなかった教員に対する懲戒処分が,思想,良心,宗教の自由を侵害するものと指摘したことについて,考慮されたもの」との見解を示している。法律の専門家集団の見解に耳を傾け、東京都において自由権規約18条3項の「厳しい条件」を満たさない「思想・良心・宗教の自由」に対するいかなる制約をも課すことを控えられたい。
以上
東京都教育委員会 教育長 中井敬三  殿
           委員 遠藤勝裕  殿
           委員 山口 香  殿
           委員 宮崎 緑  殿
           委員 大杉 覚  殿
           委員 秋山千枝子 殿

五者卒業式・入学式対策本部
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団
東京「再雇用拒否」第三次訴訟原告団
「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をひきつぐ会
「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会
対策本部長:川村佐和(都立美原高校)
(回答期限) 2月15日(水)


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