◆ 「君が代」処分を理由とした再任用不合格に抗議する声明
1月17日、東京都教育委員会(都教委)は、1名の都立高校教員の再任用の不合格を通知した。当該教員が定年を迎えるに当たり再任用を申し込んだ2020年以来4回にわたって、毎年繰り返されてきた「懲戒処分歴がある職員に対する事前告知」の内容を強行したものである。これは以下のように幾重にも許しがたい暴挙であり、私たちは断固として抗議するとともに再任用不合格の撤回を要求する。
まず、「事前告知」において問題として挙げられている処分は、2017年の卒業式における不起立に対する戒告処分であるが、当該処分については現在その撤回を求めて裁判を行っている係争中の案件であるにもかかわらず任用を打ち切ることは、裁判の結果如何によっては都教委が回復不能の過ちを犯すことにもなりかねない。
また、すでに戒告処分によって不利益を被っている者に対して任用をも奪うことは、二重罰と言っても過言ではなく、これが容認されるならば行政処分の中で最も軽いとされる戒告処分が免職にも相当することになる。
しかも、校長からの残留具申を一顧だにせず、都教委は「校長の意向は関係ない」と突っぱねた。都教委の言う「校長の人事権の強化」は真っ赤なウソという他はない。
該当校は今年、大量の人事異動で教育活動の継続性が危ぶまれ、生徒の不安と動揺は想像するに余りある。と同時に、それは生徒と教員の人間的関係をもとに成立する教育を破壊し、保護者=都民の信頼を裏切るものでもある。
卒業式での不起立は、過去の植民地支配や侵略戦争、それに伴うアジア各国の人々と日本国民の犠牲と人権侵害の歴史を繰り返さないため、憲法と教育基本法の精神に基づいてなされた行為であると同時に、憲法が規定する思想良心の自由によって守られなければならない。
「10・23通達」発出以来今日までの20年半の間に、通達に基づく職務命令によってすでに484名もの教職員が処分されてきた。
この大量処分は東京の異常な教育行政を象徴するものであり、命令と処分によって教育現場を意のままに操ろうとする不当な処分発令と再任用の不合格に満身の怒りを込めて抗議し、その撤回を求める。
都教委は再三にわたる被処分者の会、原告団の要請を拒んで紛争解決のための話し合いの席に着こうともせず、この問題を教育関係者自らの力で解決を図るべく話し合いを求めた最高裁判決の趣旨を無視して「職務命令」を出すよう各校長を指導し、結果として全ての都立学校の卒業式・入学式に際して各校長が「職務命令」を出し続けている。
ましてや、二次~四次訴訟の判決によって減給処分を取り消された現職教員に、改めて戒告処分を発令する(再処分)という暴挙を繰り返し、再任用の打ち切りまで強行するに至っては、司法の裁きを軽んずるものである。
さらに、こうした教育行政を続けることは、2019年および2022年にILO/ユネスコの合同専門家委員会、2022年に国連自由権規約委員会から出された是正勧告に背くものであり、国際社会の人権尊重の流れに挑戦するものと言わざるを得ない。
東京の学校現場は、「10・23通達」はもとより、2006年4月の職員会議の挙手採決禁止「通知」、主幹・主任教諭などの職の設置と業績評価制度によって、閉塞状況に陥っている。
いま都立高校は未曽有の教員不足に悩まされている。都立高校が“もの言えぬ職場”とされ、教師の職の魅力を失わせたことと不可分の問題である。
私たちは、東京の学校に自由で自主的な教育を甦らせ、生徒が主人公の学校を取り戻すため、全国の仲間と連帯して「日の丸・君が代」強制に反対し、不当処分撤回・再任用打切りの撤回を求めて闘い抜く決意である。
この国を「戦争をする国」にさせず、「教え子を再び戦場に送らない」ために!
2024年3月27日
四者卒業式・入学式対策本部(被処分者の会、再雇用2次訴訟を語りつぐ会、予防訴訟をひきつぐ会、解雇裁判をひきつぐ会)
連絡先:対策本部長 川村佐和
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