原発事故から8年9ヶ月
▼ 虚構の帰還推奨
~放射線は放出され続けている (週刊新社会)
あの忌まわしい東京電力(株)福島第一原発の1~4号機の爆発事故から、早8年と9カ月が過ぎました。この間、福島を中心とした放射線汚染による被災地では、国を挙げて帰還困難地域の避難指示解除をめざし、税金をつぎ込んで除染作業をすすめてきています。しかし、そうした除染作業が終了し避難指示を解除された被災地の放射線測定をしてみると、驚くばかりの放射性物質が検出され、けっして人間が暮らせるような環境とは言えません。
国や自治体は”復興”の名のもとに、避難解除した土地に被災者を帰還させようと躍起になっていますが、被災した人びとは国や自治体の”期待”を裏切るかのごとく帰還を拒み続けているのです。帰還拒否は当然と言わなければなりません。
▼ 避難指示解除区域を放射線モニタリング
2011年3月の福島第一原発の爆発事故によって広く拡散された放射性物質による汚染状況を、その地の住民の方がたの生活実態に即した形で測定し記録することを目的として、私たちは2012年10月から毎月1週間にわたって南相馬市の山側8行政区を中心とした被災地に赴き、放射線のモニタリング活動を続けています。
測定方法は、環境省が奨める放射線測定器と測定方法に則り、空間線量率(地上高1m/50㎝/1㎝)と表面汚染計数率(地表1㎝高)に加え、土壌採取も行い放射性セシウム量の分析を実施しています。
2020年の東京オリンピック&パラリンピックの開幕に合わせ国を挙げての復興プロジェクトが立ち上がり、放射性物質による汚染のひどい福島第一原発周辺の帰還困難区域が続々と避難指示解除される中で、2017年の春以降は南相馬市の山側8行政区に加え、帰還困難区域から避難指示解除された区域にも活動範囲を広げて放射線測定をしてきました。
▼ 未だ“放射線管理区域”
避難指示解除区域の測定活動では、浪江町(2017年4~7月)を皮切りに、富岡町(2017年8~11月)、大熊町(2017年8月/11~12月)、葛尾村(2018年3~6月)、川俣町山木屋(2018年10~11月)、南相馬市小高(2019年3~5月)、飯舘村(2019年6~9月)の7地域を実施しました。
このモニタリング活動では375m×250mのメッシュで切ったほぼ中心点にあたる2159ポイント(地点)の測定を行い、国や自治体が行うモニタリングよりもさらにキメ細かなデータ収集を行っています。
表①の「避難指示解除区域の測定値」が7地域の測定データの概要としてまとめたものですが、驚くべきはそのほとんどの地域が放射線管理区域に指定する基準である「0・6μSv/hまたは4万Bq/㎡の汚染の恐れ」を上回っていたことでした。
放射線管理区域では「放射線業務従事者は10時間以上の滞在は許されず、飲食の禁止や18歳未満の立入りも禁止」されています。
しかし、それ以上の放射線が測定されている環境下にも関わらず、国は避難指示解除して、避難していた被災者を仮設住宅から追い出し帰還させ、成人はもとより乳幼児や妊婦に対してまで「生活せよ!」と命じているのです。
▼ 被災者避難補償に必要な土壌汚染密度の評価基準
表②は、チェルノブイリ原発事故の被災者に対する“チェルノブイリ法”の評価基準と、福島第一原発事故の被災者に対する日本の評価基準を対応比較したものです。
この二つで明らかなことは、チェルノブイリ法では空間線量率とともに土壌汚染密度の評価基準が示されていますが、日本では土壌汚染密度については全く触れずに、空間線量率も年間20μSv以上と高い値に設定されていることです。
表①でもわかるように、先の7地域での測定で土壌中に含まれた放射性物質(主にセシウム137)を分析した結果、ほとんどの地域が20万Bq㎡以上の汚染密度を示していました。
これは、チェルノブイリ法に当てはめてみると、これらの地域が「移住の権利」を保障した地域として認められることになります。
原発事故における日本の被災者政策では、土壌汚染密度の評価基準が全く反映されず被災者に非人間的な生活を強いています。
日本においても、一刻も早く被災者に対する保障基準として土壌汚染密度の基準導入の法制化が喫緊な問題としてあるように思います。
なお、7地域の空間線量率や土壌汚染分析の結果を可視化したカラー画像は、私たちのWebサイトで公開していますので、ぜひご覧ください。
〈ふくいち周辺環境放射線モニタリング・プロジェクト〉
※ WebサイトURL= http://f1-monitoring-project.jp/index.html
また、モニタリングの様子については、Facebookにて公開中です。
※ Facebook url= http://www.facebook.com/fukuichi.mp/
『週刊新社会』(2019年12月17日)
▼ 虚構の帰還推奨
~放射線は放出され続けている (週刊新社会)
ふくいち周辺環境放射線モニタリング・プロジエクト 岡本達志
あの忌まわしい東京電力(株)福島第一原発の1~4号機の爆発事故から、早8年と9カ月が過ぎました。この間、福島を中心とした放射線汚染による被災地では、国を挙げて帰還困難地域の避難指示解除をめざし、税金をつぎ込んで除染作業をすすめてきています。しかし、そうした除染作業が終了し避難指示を解除された被災地の放射線測定をしてみると、驚くばかりの放射性物質が検出され、けっして人間が暮らせるような環境とは言えません。
国や自治体は”復興”の名のもとに、避難解除した土地に被災者を帰還させようと躍起になっていますが、被災した人びとは国や自治体の”期待”を裏切るかのごとく帰還を拒み続けているのです。帰還拒否は当然と言わなければなりません。
▼ 避難指示解除区域を放射線モニタリング
2011年3月の福島第一原発の爆発事故によって広く拡散された放射性物質による汚染状況を、その地の住民の方がたの生活実態に即した形で測定し記録することを目的として、私たちは2012年10月から毎月1週間にわたって南相馬市の山側8行政区を中心とした被災地に赴き、放射線のモニタリング活動を続けています。
測定方法は、環境省が奨める放射線測定器と測定方法に則り、空間線量率(地上高1m/50㎝/1㎝)と表面汚染計数率(地表1㎝高)に加え、土壌採取も行い放射性セシウム量の分析を実施しています。
2020年の東京オリンピック&パラリンピックの開幕に合わせ国を挙げての復興プロジェクトが立ち上がり、放射性物質による汚染のひどい福島第一原発周辺の帰還困難区域が続々と避難指示解除される中で、2017年の春以降は南相馬市の山側8行政区に加え、帰還困難区域から避難指示解除された区域にも活動範囲を広げて放射線測定をしてきました。
▼ 未だ“放射線管理区域”
避難指示解除区域の測定活動では、浪江町(2017年4~7月)を皮切りに、富岡町(2017年8~11月)、大熊町(2017年8月/11~12月)、葛尾村(2018年3~6月)、川俣町山木屋(2018年10~11月)、南相馬市小高(2019年3~5月)、飯舘村(2019年6~9月)の7地域を実施しました。
このモニタリング活動では375m×250mのメッシュで切ったほぼ中心点にあたる2159ポイント(地点)の測定を行い、国や自治体が行うモニタリングよりもさらにキメ細かなデータ収集を行っています。
表①の「避難指示解除区域の測定値」が7地域の測定データの概要としてまとめたものですが、驚くべきはそのほとんどの地域が放射線管理区域に指定する基準である「0・6μSv/hまたは4万Bq/㎡の汚染の恐れ」を上回っていたことでした。
放射線管理区域では「放射線業務従事者は10時間以上の滞在は許されず、飲食の禁止や18歳未満の立入りも禁止」されています。
しかし、それ以上の放射線が測定されている環境下にも関わらず、国は避難指示解除して、避難していた被災者を仮設住宅から追い出し帰還させ、成人はもとより乳幼児や妊婦に対してまで「生活せよ!」と命じているのです。
▼ 被災者避難補償に必要な土壌汚染密度の評価基準
表②は、チェルノブイリ原発事故の被災者に対する“チェルノブイリ法”の評価基準と、福島第一原発事故の被災者に対する日本の評価基準を対応比較したものです。
この二つで明らかなことは、チェルノブイリ法では空間線量率とともに土壌汚染密度の評価基準が示されていますが、日本では土壌汚染密度については全く触れずに、空間線量率も年間20μSv以上と高い値に設定されていることです。
表①でもわかるように、先の7地域での測定で土壌中に含まれた放射性物質(主にセシウム137)を分析した結果、ほとんどの地域が20万Bq㎡以上の汚染密度を示していました。
これは、チェルノブイリ法に当てはめてみると、これらの地域が「移住の権利」を保障した地域として認められることになります。
原発事故における日本の被災者政策では、土壌汚染密度の評価基準が全く反映されず被災者に非人間的な生活を強いています。
日本においても、一刻も早く被災者に対する保障基準として土壌汚染密度の基準導入の法制化が喫緊な問題としてあるように思います。
なお、7地域の空間線量率や土壌汚染分析の結果を可視化したカラー画像は、私たちのWebサイトで公開していますので、ぜひご覧ください。
〈ふくいち周辺環境放射線モニタリング・プロジェクト〉
※ WebサイトURL= http://f1-monitoring-project.jp/index.html
また、モニタリングの様子については、Facebookにて公開中です。
※ Facebook url= http://www.facebook.com/fukuichi.mp/
『週刊新社会』(2019年12月17日)
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