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◆ 自由権規約第7回日本政府報告審査「総括所見」(2022年11月3日)
2022年10月13日~14日ジュネーブで行われた日本政府報告審査の「総括所見」が11月3日に公表されました。その中に君が代不起立処分問題について踏み込んだ勧告があります。日本政府、関係省庁、地方公共団体は、国連勧告を尊重し、直ちに全国の学校に国際水準の人権保障を適用すべきです。
◎ 君が代不起立処分は、規約18条に適合していない(パラ38)
◎ 君が代を強制する「10・23通達」は控えるべきである(パラ39)
38 当委員会は締約国における思想良心の自由の制約に関するレポートに懸念を持って留意する。当委員会は学校の儀式において国旗にむかって起立し国歌を斉唱することに対する静かで破壊的でない不服従の結果、教師が最高6ヶ月の停職を含む処分を受けたことを懸念する。更に儀式において生徒に起立を強制するために物理的な力が用いられたという申し立てに対しても懸念を抱く。
39 締約国は思想良心の自由の実質的な行使を保証し、規約18条で許容された制約の厳密な解釈を越えてその自由を制約するいかなる措置をも控えるべきである。締約国は自国の法律とその運用を規約第18条に適合させるべきである。 (東京・教育の自由裁判をすすめる会 国際人権プロジェクトチーム仮訳)
パラグラフ38では、不起立教員に対する停職6ヶ月処分などに懸念が表明され、パラグラフ39では、「思想良心の自由」の制約が規約18条で許容される制約の厳密な解釈を超えてなされることがないよう、自国の法律とその運用を規約に適合させるべきであるとしています。
◆ 2021年1月「東京・教育の自由裁判をすすめる会」がNGOレポートで、国連に申し立てた内容
「東京都の公立学校における国旗・国歌の強制
~人権侵害は繰り返されている(18,19条違反)」
○現在も教職員への強制、処分は進行中
19年前の「10.23通達」(2003)以来、毎年卒・入学式のたびに処分される教職員の数は累計484名に上る。教職員の責務に忠実であろうとして、子どもたちの思想・良心の自由の侵害に手を貸すわけにはいかないと考え、不利益覚悟で不服従を貫く教職員は後を絶たない。
○被処分者に対する過酷な制裁
再発防止研修という精神的圧迫、処分による経済的不利益、昇進・昇給延伸など職務上の不利益、担任外し・望まぬ移動など人事上の不利益、退職後の再雇用拒否など身分上の不利益など差別的取扱いを受け続ける。
○真のターゲットは生徒である。
不起立の教員に懲戒処分を科すことは同調圧力と委縮効果を持ち、実質的に生徒への国旗国歌の強制になっている。通達の真の目的は愛国心を生徒の心に植え付けることである。
※ 『総括所見』「思想・良心・宗教の自由と表現の自由」のセクションは、4つのパラグラフからなり、38・39が「君が代不起立」に関する勧告です。36・37の「公共の福祉」に関する勧告は裏面に掲載してあります。
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