◎ 「服務事故再発防止研修」強行に抗議する声明
本日(5月11日)、都教委は、被処分者の会による「中止の申し入れ」(4月22日)にも拘わらず、3月の石神井特別支援学校卒業式での「君が代」斉唱時の不起立を理由として懲戒処分(減給10分の1・1月)を受けた教員に対する「服務事故再発防止研修」を強行した。この「研修」は、「思想・良心の自由」と「教育の自由」に基づく信念から不当にも処分された教職員に対して、セクハラや体罰などと同様の「服務事故者」というレッテルを貼り、反省や転向を迫るもので、日本国憲法の精神を踏みにじる暴挙である。
同研修については、研修執行停止申立に対する東京地裁決定(2004年7月 須藤典明裁判長)で「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」という警告が発せられている。
しかるに都教委は、毎年「再発防止研修」を繰り返してきたのみならず、2012年度より、7月に行われていた研修を4月又は5月に繰り上げ、内容を「地方公務員法(服務規律)について」から「教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教職員の責務について」に変更した。
そして、事前課題(受講前報告書)の作成、当日の研修時間の延長、2ヶ月の長期に亘る所属校研修の導入、2回目のセンター研修の義務付けなど、再発防止研修を質量ともに強化した。
しかも「研修」に先立って課された「受講前報告書」の内容は、「君が代」斉唱時に起立しなかったことを一方的に「服務事故」と決めつけ、「原因・理由」を述べること、職務命令に従うこと、入学式・卒業式で「国旗・国歌」を指導することを記述させようとするものである。
このような「研修」は、明らかに受講者に思想転向を強要するもので、上記東京地裁決定(2004年7月)に反して「思想・良心の自由」を真っ向から踏みにじるものであり、断じて許すことができない。
そもそも10・23通達関連の処分事件は、最高裁判決(2012年1月、2013年9月)及び東京「君が代」裁判三次訴訟の東京地裁判決、東京高裁判決で減給以上の処分が取り消され、三次訴訟では、都教委は上告を断念して判決が確定している。2012年1月の最高裁判決以来、延べ65件・55名もの減給以上の処分が取り消されているのである。
にもかかわらず、都教委は、原告団との話し合いの席に着こうともせず、10・23通達に基づく「日の丸・君が代」強制を見直すことなく処分を出し続け、再発防止研修の受講を命令しているのである。当該教員は、東京「君が代」裁判四次訴訟原告及び都人事委員会審理の請求人であり、東京地裁及び都人事委員会で処分取り消しを求めて係争中である。係争中の事案について「服務事故」と決めつけ、命令で「研修」を課すことは、学校教育法・教育公務員特例法に定める「研修」の趣旨から著しく逸脱するだけでなく、司法の判断をないがしろにするものである。
受講対象者は、すでに不当にも処分を受け、「思想・良心の自由」を圧迫され、著しい精神的苦痛と経済的損失を与えられている。これに加えて強行された「再発防止研修」は、「研修」という名を借りた実質的な二重の処分行為であり、「懲罰・イジメ(精神的・物理的脅迫)」により被処分者に思想転向を強要するものである。
加えて、教員を本来の職場である学校から引きはがし、「不要不急」の研修を課することは、現場の実情に対する都教委の無理解と教育的配慮のなさを示すものと言わざるを得ず、この点からもこの研修は断じて容認できるものではない。
本日の研修の中止、及び今後に「予定」している所属校研修、センター研修などすべて中止を要求する。
私たちは、決して都教委の「懲罰・弾圧」に屈しない。
東京の異常な教育行政を告発し続け、生徒が主人公の学校を取り戻すため、広範な人々と手を携えて、自由で民主的な教育を守り抜く決意である。
「日の丸・君が代」強制を断じて許さず、「再発防止研修」強行に抗議し、不当処分撤回まで闘い抜くものである。
2016年5月11日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木 俊一 星野 直之
【連絡先】近藤 徹(事務局長)
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木 俊一 星野 直之
【連絡先】近藤 徹(事務局長)
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