◆ インターン充実 遠く
~学生と溝 現実は5割がグループワーク (東京新聞)
大学生が企業での職場体験を通じ、働く意味や自分に向く職種を考えるためのインターンシップ。だが期間が短く、働く現場を見る機会がないなど、学生にとって効果に疑問符が付く内容も多い。無給でアルバイトまがいの仕事をさせられたり、損害賠償を請求されたりした学生もいる。
◆ 暴行、「学費」請求・・・悪質企業も
私大四年の男子学生(22)は昨年六月、大手就職サイトで見つけたコンサルティング会社でインターンを始めた。
早朝から深夜まで、無給で掃除や雑用をさせられたが「つらいと思うのは自分が甘いからで、会社が正しいと思っていた」。その後、あいさつをしなかったなどの理由で殴る蹴るの暴行を受けた。七月末に辞めようとすると「(インターンでなく)ビジネススクールだった」として学費二十六万円などを請求された。
労働相談に応じるNPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京)には、賃金未払いや不当に賠償請求をされたという相談が学生から寄せられている。
しかし「内定に不利になるのを恐れ、泣き寝入りする学生も多い」(担当者)。
暴力など極めて悪質なケースはそれほど多くないが、学生が有益だと感じられないインターンは多い。
「社員の普段の働き方など、知りたいことを聞く時間もなかった」。
私大四年の女子学生(21)は、大手人材会社の一日インターンを受けた経験を振り返る。学生だけ一室に集められ、会社説明を三十分ほど受けた後「将来どう成長したいか」などを発表しただけ。進行役の社員以外とは接触がなかった。
就職情報会社マイナビ(東京)によると、インターンを経験する大学生は増えており、現在就職活動中の三年生では32・7%に上る。
だが参加期間は一日が33・8%。内容も、主に学生同士で企画の立案や発表などをするグループワークが全体の51・5%を占める。
法政大キャリアデザイン学部の児美川(こみかわ)孝一郎教授は「大人が本気で働く現場に触れ、考え方を知るのがインターンの眼目。短期間、学生だけで課題をこなしても効果は薄い」と指摘する。
文部科学省は学生の自立を促すのに有効だとして、インターンを後押ししている。一部の企業では、学生に実際の業務を担当させたり、海外支社で就業体験や調査活動をさせたりと、充実したプログラムを用意する動きも出てきている。
ただ、こうした企業はまだ少なく「倍率三十~四十倍」(マイナビ)の狭き門だ。
インターンを積極的に社員に採用する欧米と違い、日本の主要企業は経団連の定める指針で、インターンを採用選考に利用しないよう求められている。採用に直接結びつかない活動には手間や費用を掛けづらいのが企業の本音で、安易なインターンが増える一因となっている。
『東京新聞』(2014/1/20【夕刊】)
~学生と溝 現実は5割がグループワーク (東京新聞)
大学生が企業での職場体験を通じ、働く意味や自分に向く職種を考えるためのインターンシップ。だが期間が短く、働く現場を見る機会がないなど、学生にとって効果に疑問符が付く内容も多い。無給でアルバイトまがいの仕事をさせられたり、損害賠償を請求されたりした学生もいる。
◆ 暴行、「学費」請求・・・悪質企業も
私大四年の男子学生(22)は昨年六月、大手就職サイトで見つけたコンサルティング会社でインターンを始めた。
早朝から深夜まで、無給で掃除や雑用をさせられたが「つらいと思うのは自分が甘いからで、会社が正しいと思っていた」。その後、あいさつをしなかったなどの理由で殴る蹴るの暴行を受けた。七月末に辞めようとすると「(インターンでなく)ビジネススクールだった」として学費二十六万円などを請求された。
労働相談に応じるNPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京)には、賃金未払いや不当に賠償請求をされたという相談が学生から寄せられている。
しかし「内定に不利になるのを恐れ、泣き寝入りする学生も多い」(担当者)。
暴力など極めて悪質なケースはそれほど多くないが、学生が有益だと感じられないインターンは多い。
「社員の普段の働き方など、知りたいことを聞く時間もなかった」。
私大四年の女子学生(21)は、大手人材会社の一日インターンを受けた経験を振り返る。学生だけ一室に集められ、会社説明を三十分ほど受けた後「将来どう成長したいか」などを発表しただけ。進行役の社員以外とは接触がなかった。
就職情報会社マイナビ(東京)によると、インターンを経験する大学生は増えており、現在就職活動中の三年生では32・7%に上る。
だが参加期間は一日が33・8%。内容も、主に学生同士で企画の立案や発表などをするグループワークが全体の51・5%を占める。
法政大キャリアデザイン学部の児美川(こみかわ)孝一郎教授は「大人が本気で働く現場に触れ、考え方を知るのがインターンの眼目。短期間、学生だけで課題をこなしても効果は薄い」と指摘する。
文部科学省は学生の自立を促すのに有効だとして、インターンを後押ししている。一部の企業では、学生に実際の業務を担当させたり、海外支社で就業体験や調査活動をさせたりと、充実したプログラムを用意する動きも出てきている。
ただ、こうした企業はまだ少なく「倍率三十~四十倍」(マイナビ)の狭き門だ。
インターンを積極的に社員に採用する欧米と違い、日本の主要企業は経団連の定める指針で、インターンを採用選考に利用しないよう求められている。採用に直接結びつかない活動には手間や費用を掛けづらいのが企業の本音で、安易なインターンが増える一因となっている。
『東京新聞』(2014/1/20【夕刊】)
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