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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

日中間は日中共同声明など歴史認識を共有した「四つの基本文書」によって律せられるべきだ

2022年01月04日 | 平和憲法
  =日中国交正常化50年 「反中国」に惑わされるな=
 ◆ 「平和資源」としての日中間の四つの基本文書
(週刊新社会)
弁護士 内田雅敏

 中国の膨脹主義・覇権主義を理由に「台湾有事」の「可能性」がまことしやかに語られ、今や「反中国」は時代の「トレンド」です。
 実際、人権派弁護士に対する弾圧、中国共産党幹部との関係を取りざたされた有名女子テニス選手の失踪事件など中国における人権弾圧には憂慮されるべきものが多々あります。
 他方日本国内では、防衛費二倍論、憲法「改正」などが声高に語られています。
 軍需産業を背景とする軍拡・改憲論者たちにとって「台湾有事」なる語句は、反対論を抑え、彼らの野望を実現するための「ジョーカー」となっています。
 この点は中国の軍拡派にとっても同様です。

 台湾海峡における米国らの「航行の自由作戦」と称する威嚇行動、それと連動した敵基地攻撃能力保有論、沖縄辺野古の米軍新基地建設、南西諸島における自衛隊ミサイル部隊の展開は、中国の軍拡派に対する格好の「贈物」なのです。
 まさに「敵対的相互依存関係」です。

 力には力で対決するならば、ひたすら軍拡に励めばいいだけで外交、政策は不要です。
 その結果がどのような世界をもたらすかは想像力、それもわずかな想像力を働かせることによって視ることが出来ます。
 「歴史とは現在と過去との間に於ける尽きることのない対話」(E・H・カー)であり、その意味では人類にとっての「世界遺産」であるのです。
 ◆ 日中戦争について認識の共有

 今年2022年は、1972年9月29日に発せられた日中共同声明によって日中が国交正常化を果たしてから50周年という記念すべき年です。
 日中共同声明の前文において、「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」と謳い、「両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、またアジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである」と結んでいます。
 植民地支配について歴史認識の共有のない日韓関係と異なり、日中間には不十分ながらも日中戦争について歴史認識の共有があるのです。
 72年の「日中共同声明」の延長上に、
 78年の「日中平和友好条約」、
 98年の「21世紀に向けてのパートナーシップ日中共同宣言」、
 2008年の「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」、があり、
 この四つの文書が日中間の基本文書です。そこでは互いに覇権国家とはならないという反覇権主義が一貫して主張されています。
 78年の日中平和友好条約の締結に際しては、渋る日本側に対して、讃�ソは、反覇権条項は将来中国が覇権国家にならないためにも必要なのだと日本側を説得しました。
 彼は74年の国連総会でも「中国は覇権国家とならない。もし中国が覇権国家となったならば、世界の人民は、中国民衆と共にその覇権国家を打倒すべきでたんカある」と啖呵を切っています。
 98年の日中共同宣言では、日本側は95年の村山首相談話を遵守することを約束し、中国側は日本のODAに対する感謝の念を表明しています。
 2008年の「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明では、「日本側は中国の改革開放以来の発展が、日本を含む国際社会に大きな好機をもたらしていることを積極的に評価し、恒久の平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していくという中国の決意に対する支持を表明した。中国側は、日本が、戦後60年余り平和国家としての道を歩み堅持し、平和的手段により世界の平和安定に貢献していることを積極的に評価する」と互いにエールの交換をしています
 習近平国家主席も、日中間は日中共同声明などの「四つの基本文書」によって律せられるべきだと繰り返し言っています。
 習近平首席の真意はともかくとしても、安倍晋三首相(当時)と握手をする際に横を向いていても、四つの基本文書の遵守には言及しています。これが日中間での決定的な破局に対する歯止めになっています。
 その意味では日中間の四つの基本文書は「平和資源」なのです。

 ところで、日中間には「台湾有事」のほかに尖閣諸島問題、靖國神社参拝問題などの問題があります。
 尖閣諸島問題については、尖閣諸島周辺を武力行使以外に解決不能な「領土問題」とせず、「国際入会地」とし、日本・中国・台湾の三者による共同管理、共同開発によって、互いにウイン・ウインの関係にすべきです。(うちだ・まさとし)
『週刊新社会』(2022年1月1日)

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