《大阪ネットワークニュースから》
◆ 再任用拒否国賠訴訟に不当判決
「意向確認」=思想調査は許される?!
梅原 聡
17年、定年の際に再任用を拒否されて、翌年起こした国賠訴訟に対して、11月26日、大阪地裁は訴えを全面棄却する不当判決を出しました。
判決は、府教委には再任用に関して大幅な裁量権があって実質的な首斬りも自由だとし、「意向確認」で思想信条に関わる質問に答えなかったことを再任用拒否の理由にしていることも問題なしとしています。
判決の中では、18年7月の東京の再雇用をめぐる最高裁判決を援用し、法的枠組みは当時と変わっていないとして再任用の合否についての大幅な裁量権を府教委に認めました。
最高裁判例の事案当時からの社会情勢の変化や、地方公務員にも雇用と年金の接続を求める総務副大臣通知が出されていることなどについては一顧だにしていません。
心身の状態が勤務に耐えない人以外は、重い懲戒処分を受けた人も採用を認める状況で、希望者の99・8%が採用されていても、原則全員を合格させる運用が確立されていたとは言えないとしているのです。
今回の裁判では、私達は「意向確認」をクローズアップして取り上げてきました。
これについて「職務命令が適法だから、まだ出てもいない将来の職務命令に従うかどうかという内心を告白させても当然適法だ」というのはあまりに乱暴な論法です。
さらに、私達の主張していた意向確認の文言変更の意味合いを全く無視して、府教委が後付けで主張した虚偽の理由を支持した上に、府教委でさえも主張していない形で平等原則違反の主張を切り捨てています。
私の再任用拒否以降の「意向確認」からは「起立斉唱の職務命令を含む」という文言が消え、起立斉唱の職務命令を特別視しない形の「意向確認」になりました。
この結果、奥野さんや井前さんは「意向確認」をクリアすることができ、藤岡さんは校長による「意向確認」を受けることなく再任用に合格したのです。
地裁判決はこのような事実を無視して「意向確認の文言の変更が回答に影響を与える筋合いのものではない」と、奥野さんや井前さんの陳述書などは読んでもいないのではないかと思わせることを述べ、平等原則違反はないと結論づけているのです。
まったく無茶苦茶です。
「意向確認」に答えないのは、自分自身の思想と言うよりは、生徒に思想信条に関わる質問には答えるなと指導してきた私が、まさにその質問に答えるなんてできないという「教師としての良心」に基づくものです。
そんな質問に答えよというのは、教師としての私達の仕事を全く否定してしまうものです。
私達の訴えを受けた府の商工労働部も「意向確認」が不適切であることを認めて府教委に助言し、だからこそ「意向確認」の文言が変更されたのです。
府教委自身それが解っていないはずがありません。
今回の判決は、初めに結論ありきで、最高裁判例の事案との違いは無視して結論だけを私の件にも適用し、再任用拒否は裁量権の範囲内としています。
その上で「意向確認」などはささいな問題としてろくに検討もしなかったというのが、今回の判決だと感じています。
今の司法は腐りきっていると言われますが、本当に行政べったりの判決にはあきれてしまいました。
こんな判決を許すことは到底できません。控訴して最後まで正当な判決を求めて闘いたいと思いますので、今後もご支援をよろしくお願いします。
『大阪ネットワークニュース』(2020年12月20日)
◆ 再任用拒否国賠訴訟に不当判決
「意向確認」=思想調査は許される?!
梅原 聡
17年、定年の際に再任用を拒否されて、翌年起こした国賠訴訟に対して、11月26日、大阪地裁は訴えを全面棄却する不当判決を出しました。
判決は、府教委には再任用に関して大幅な裁量権があって実質的な首斬りも自由だとし、「意向確認」で思想信条に関わる質問に答えなかったことを再任用拒否の理由にしていることも問題なしとしています。
判決の中では、18年7月の東京の再雇用をめぐる最高裁判決を援用し、法的枠組みは当時と変わっていないとして再任用の合否についての大幅な裁量権を府教委に認めました。
最高裁判例の事案当時からの社会情勢の変化や、地方公務員にも雇用と年金の接続を求める総務副大臣通知が出されていることなどについては一顧だにしていません。
心身の状態が勤務に耐えない人以外は、重い懲戒処分を受けた人も採用を認める状況で、希望者の99・8%が採用されていても、原則全員を合格させる運用が確立されていたとは言えないとしているのです。
今回の裁判では、私達は「意向確認」をクローズアップして取り上げてきました。
これについて「職務命令が適法だから、まだ出てもいない将来の職務命令に従うかどうかという内心を告白させても当然適法だ」というのはあまりに乱暴な論法です。
さらに、私達の主張していた意向確認の文言変更の意味合いを全く無視して、府教委が後付けで主張した虚偽の理由を支持した上に、府教委でさえも主張していない形で平等原則違反の主張を切り捨てています。
私の再任用拒否以降の「意向確認」からは「起立斉唱の職務命令を含む」という文言が消え、起立斉唱の職務命令を特別視しない形の「意向確認」になりました。
この結果、奥野さんや井前さんは「意向確認」をクリアすることができ、藤岡さんは校長による「意向確認」を受けることなく再任用に合格したのです。
地裁判決はこのような事実を無視して「意向確認の文言の変更が回答に影響を与える筋合いのものではない」と、奥野さんや井前さんの陳述書などは読んでもいないのではないかと思わせることを述べ、平等原則違反はないと結論づけているのです。
まったく無茶苦茶です。
「意向確認」に答えないのは、自分自身の思想と言うよりは、生徒に思想信条に関わる質問には答えるなと指導してきた私が、まさにその質問に答えるなんてできないという「教師としての良心」に基づくものです。
そんな質問に答えよというのは、教師としての私達の仕事を全く否定してしまうものです。
私達の訴えを受けた府の商工労働部も「意向確認」が不適切であることを認めて府教委に助言し、だからこそ「意向確認」の文言が変更されたのです。
府教委自身それが解っていないはずがありません。
今回の判決は、初めに結論ありきで、最高裁判例の事案との違いは無視して結論だけを私の件にも適用し、再任用拒否は裁量権の範囲内としています。
その上で「意向確認」などはささいな問題としてろくに検討もしなかったというのが、今回の判決だと感じています。
今の司法は腐りきっていると言われますが、本当に行政べったりの判決にはあきれてしまいました。
こんな判決を許すことは到底できません。控訴して最後まで正当な判決を求めて闘いたいと思いますので、今後もご支援をよろしくお願いします。
『大阪ネットワークニュース』(2020年12月20日)
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