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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

高校学習指導要領改訂と教科書<6>

2019年04月17日 | こども危機
  =高校学習指導要領改訂と教科書(出版労連 教科書レポート) 2 各教科ごとの分析=
 ◆ (5)外国語(英語)の特徴


 1.説得力のない二分割

 現行の4領域(技能)のうち、「話すこと」が義務教育同様「話すこと〔やり取り〕」と「話すこと〔発表〕」に二分割された。
 しかしその根拠は、中央教育審議会(中教審)答申などで「国際的な基準」であるとしてCEFR(Common European Framework of Reference for languages。ヨーロッパ言語共通参照枠)に言及している以外、特に示されていない。
 海外の言語環境の異なる状況下での言語習得理論を援用しているが、日本における外国語教育でも有効なのかどうかについては検証されておらず、説得力を欠く。
 外国語(英語)の学習指導要領は、改訂のたびに、依拠する言語習得理論も変更されてきた。しかしそれらの理論はいずれも言語環境が日本とは著しく異なる国で作られたものだ
 2.英語嫌いに拍車がかかるのでは?

 また、「英語コミュニケーションⅠ」は2単位履修も可能としたうえ、いわゆる「英会話」的な「コミュニケーション」に偏った科目であり、これだけを履修する生徒は英語を総合的に学習することを放棄し、学力格差を容認する科目設定なのではないか。
 一方、小学校高学年における外国語(実質的には英語)の教科化に伴い、小学校から高校までで取り扱う語数が最大で2,800語も増えている
 特に高校段階では小学校からの「しわ寄せ」がすべて押しつけられることになり、英語嫌いの生徒の増加にさらに拍車をかけることになるのは明白である。
 さらに、中学校に続いて英語学習は英語で行うことを基本とするとしているが、言語(外国語)習得に関するいかなる知見に基づいているのか不明である。
 もしこの方針をストレートに受け止めれば、日本語が一切書かれてない教科書が学習指導要領の方針に最も忠実で良いものだということになるが、それは教室の実態に照らせば、およそ現実離れした話であるというほかない。
『出版労連 教科書レポート No.61』(2018)




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