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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教育出版道徳教科書は突出して国旗国歌の扱いが多い

2017年08月03日 | こども危機
  《被処分者の会通信から》
 ◆ 小学校「道徳」教科書の中の「日の丸・君が代」


 まことに、安倍総理こそは歩く道徳教材。嘘つき、依怙贔屓、責任転嫁、弱い者イジメ等々、「こうなったらお仕舞だよ」と、身を以って国民に道徳的覚醒を促している。
 さて、今年は小学校「道徳」教科書が初めて採択される年。育鵬社は参入していないが、教育出版という思わぬ伏兵がいた。著作者には道徳の教科化を推進した貝塚茂樹氏(日本教育再生機構理事)を始め、武蔵村山市立第八小学校校長・主任教諭・教諭の3人も名を連ねている。
 8社中6社が国旗を扱っているが、「日の丸」の写真のみで説明はしない社や、諸外国の国旗と並んだ写真を使う社もある中で、教育出版は突出している。
 2年生の教材「大切な国旗と国歌」には、「オリンピックのひょうしょうしきでも、国旗がかかげられ、国歌がえんそうされます」という誤った説明や、「どんな気もちで歌っているのかな」「国旗や国歌には、その国をきずいてきた人々の理そうや文か、ほこりがこめられているんだって」と発言する子どもの挿絵までがある。
 巻末の「みにつけようれいぎ・マナー」には、公きょうの場でのマナー・学校でのマナー(職員室への入退室の作法を絵入りで説明。まるでビジネスマナー!)・公きょうの場での心くばりと並んで、「国旗・国歌を大切にする」という項目がある。
 ①国旗(日の丸)のいみ、②国歌(君が代)のいみ、③なぜ国旗・国歌を大切にするか、④国旗や国歌を大切にする気もちのあらわし方に1頁を割いている。
 ④は当初「き立して国旗にたいしてしせいを正し、ぽうしをとって、れいをします。ほかの国の国旗けいようや国歌えんそうのときも同じようにします」という説明と、国旗を正面に掲げた卒業式の壇上写真だったが、無人の写真と説明との矛盾を検定で指摘され、卒業式で全員が起立している写真に替えたそうだ。
 説明の方も、「ほかの国の国旗…」以下は、「国歌がながれたら、みんなでいっしょに歌います」に替わった。
 5年生用には、大きな「日の丸」と米国旗を飾った青い目の人形歓迎会(1927年於日本青年館)の写真が載っている。
 米国との開戦後に多くの人形が焼却されたりしたが、挿絵の子どもに次のように言わせている。「人形が三百三十四体も残ったのはすごいね。本心から人形を燃やしたり海にしずめたりしたかった人は、少なかったのではないかな」
 しかし、12739体の内の334体は、334体「も」なのか?本心でないのなら、なぜ心ならずも処分したのか?人々にそうさせた力は何だったのか?あれこれ追及したくなる非常に興味深い文章だが、「心優しい日本人が大勢いた」と印象付ける狙いなのだろう。
 各社の教科書を読んでつくづく感じたのは、子どもたちに内心の表白を迫るお節介な教科だということだ。まして評価の対象にするのは度を越している。
 子どもたちは“道徳の授業用の私”を作って防御し、教える側は、教育上の指導と侵してはならない思想良心の自由との境目を見失っていくのではないだろうか。
 与えられた役割を引き受け、それらしく振る舞ってやり過ごす心性は、下手な愛国心教育以上に手ごわい相手だ。
 教科書展示会場で意見を書くことぐらいしかできないのがもどかしいが、下町ボブスレーに乗って「ポーズを決める安倍首しょう」(教育出版5年生掲載写真のキャプション)を、1日も早く「前首しょう」にすることで、現場の教職員を応援したい。(吉野典子)
『被処分者の会通信 第112号』(2017年7月25日)

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