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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

オンライン授業は「出席停止」扱いするのが適切である、といえる理由

2021年09月14日 | こども危機
  《尾形修一の紫陽花(あじさい)通信から》
 ◆ オンライン授業、「出席」の扱いはどうすべきか


 新型コロナウイルスの感染拡大で各学校で「オンライン授業」が行われることも多い。テレビで見たところでは、生徒が学校に行くか、家でオンライン授業を受けるかを家庭が選択出来る学校もあるという。
 ところで、「オンライン授業」を家で受ける場合、その扱いは「出席」になるのかと思っていたら、公立小中学校のオンライン授業は「出席停止」にするようにという文科省の通知があるという。
 東京新聞9月7日付記事では「出席扱い割れる 保護者不安 一部自治体が独自判断」と大きく一面で報じていて、僕はそのことを初めて知った。
 この問題をどう考えるべきだろうか。最初に新聞を読んだときは、記事に引きずられるように「出席で良いのでは」と思ったのだが、その後さらに考えてみたら「文科省の通知の通り出席停止で良い」と思うようになった。
 まあ世の中全体にとってはそれほど大きな問題とも思えないが、こういう問題も学校にはあるのである。
 まず最初に書いておくが、法的には「出席扱い」にして問題はないと思う。今は「不登校」の生徒がフリースクールに通った場合なども「出席」扱いするようになっている。
 「オンライン授業」の場合、授業に参加していることを授業者が確認できるのだから、むしろ「出席」の方が納得できる感じもする。何も勝手に家にいるわけではなく、学校長の方針で家庭で「オンライン授業」を受けられるというから家にいるのである。
 そういう意味では「オンライン授業」を「出席停止」とするのは確かに違和感もあると思う。
 「出席停止」というのは「出席」でも「欠席」でもなく、「出席を要しない日」である。
 普通は「忌引き」「インフルエンザ」なので、出席停止はゼロという生徒が大部分である。
 「忌引き」は児童・生徒の場合、祖父母の場合が多いから、遠い地方に行っても3日ぐらい。インフルエンザは結構長く掛かる場合もあるが、学校保健安全法の施行規則に決められた伝染病の場合、勝手に学校に来られては困る。でも、まあ1週間ぐらいだろう。
 だから僕は「オンライン授業」を「出席」扱いにしても良いとは思うのだが、その場合「欠席」の扱いが難しくなる。
 「オンライン授業」に参加しない生徒は「欠席」なのか。
  その場合、体調が悪くて寝ているのか。
  それとも経済的にICT環境を整備できないため「オンライン授業」に参加できないのか。
  それとも一家に何人も子どもがいて、一度に全員が「オンライン授業」を受けられないのか。
  はたまた、もともとずっと「不登校」の生徒なのか。
  あるいは「新型コロナウイルス」に感染して本当に「出席停止」になるべき生徒なのか。
  あるいは単にサボっているのか。
 これらを授業者が的確な判断を下すことが出来るのだろうか

 「オンライン授業」をどう扱うか、技術的に難しい問題も多々あるだろう中で、一人一人の児童・生徒が何故「オンライン授業」に参加できないのか教師に判断出来るとは僕には思えない。
 それとも「オンライン授業」の場合、受けてなくても一斉に出席扱いするべきなのだろうか。それはかえっておかしいだろう。
 そうすると、「オンライン授業」を受けたことを確認出来た生徒だけを「出席扱い」にすることになる。
 それでは「出席停止」の日数が他の生徒に比べてダントツに多い生徒は、家庭に問題があるのではないか、「オンライン授業」を受けられない環境にあるのではないかと思われかねない。
 ところで記事の中では「出席日数が内申点や成績にどう影響するか不安。特に受験生は気がかりだと思う」という「小学生の母」という意見が載っている。僕にはこれは意味不明だ。
 確かに僕の今までの教員生活を通して、就職や私立学校への推薦では「欠席日数」が一定程度以下であることを求められたことはある。でも「出席日数」を問題にする学校や会社があるだろうか。
 「小学生の母」だから、高校受験や就職ではない。私立中学や公立中高一貫校ならば、相手も「オンライン授業」やってるんだから事情はよく判っているはずだ。
 「私立学校では出席停止が多いと不利になりますか」と取材してみれば、そんなバカなことはないのがすぐ判るだろう。
 ところで「出席日数が内申点や成績にどう影響するか」という不安は、「課題提出」などの面では成績に影響することもあるだろう。実際に教室に出席している方が質問もしやすいと思う。
 しかし、全員ではなくても相当数の生徒がオンラインで受けている場合、配慮がされるはずだ。どちらかを選択できる場合にオンラインを選択した生徒が不利にならない工夫は必要だ。
 そのことを含めた上で、オンライン授業は「出席停止」という方針そのものはそれでいいように思う。
『尾形修一の紫陽花(あじさい)通信』(2021年09月09日)
https://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180
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