パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

藤田支援集会報告(2)

2007年11月19日 | 応援する会の運動
 ● 板橋高校「日の丸君が代」威力業務妨害事件 控訴審第2回
 11月20日(火)
13時30分~ 東京高裁102号法廷
  目撃保護者証人が証言台に立ちます。田中教頭の偽証を覆します。


 ● 卒業式の"君が代"時、保護者にも起立求める校長に抗し、開式前、保護者に語り掛けをし、起訴された刑事裁判で闘う、元教員の激励会(11/10)から
     
  ☆ 藤田さんの刑事告訴は、都教委と都議の政治的策略


 2002年3月、都立板橋高校を定年退職した社会科教員の藤田さんは、都教委の"10・23通達"発出後の2004年3月11日、同校の卒業式に招待状を受け来賓として参加し、開式15分以上前に、式場の体育館で『サンデー毎日』掲載の「東京都教委が強いる『寒々とした光景』」のコピーを配布し、「今日は異常な卒業式で、国歌斉唱時に教職員は必ず立って歌わないと処分されます。ご理解願って、国歌斉唱のときは、できたら着席をお願いします」と語り掛けた(【注1】参照)。この後、体育館に来た同校の田中一彦・教頭の有形力を行使した"退場要求"に、藤田さんは言葉で抗議しつつ退場した。
 "民主"党の土屋敬之・都議(自民党衆院議員秘書出身)は、2004年3月16日の都議会予算特別委員会で、この藤田さんの言動を"批判演説""式典妨害"と決め付け、「厳しく法的措置をとるべきだ」と主張。

 当時の横山洋吉・都教育長(65歳)は、「卒業式に対する重大な業務妨害行為でございまして、法的措置をとる」と、鸚鵡返し(エール交換)の答弁をし(【注2】参照)、北爪幸夫・校長から警視庁板橋署に"建造物侵入"の"被害届"を出させ、2004年12月3日、東京地検は"威力業務妨害"(刑法第234条)事件にでっち上げ、藤田さんを在宅起訴。
 2006年5月30日に東京地裁刑事第九部(村瀬均・裁判長)は、藤田さんに対し、罰金二十万円の不当判決を出し、藤田さんは即日、控訴した。

【注1】 板橋高校の北爪幸夫・校長は、教職員に加え生徒や保護者、来賓にも、"君が代"時の起立を求める進行を記載した、"卒業式実施要綱"を策定していた。故に、生徒入場の15分以上前の、藤田さんのこの語り掛けは、"君が代"が嫌だと感じたり、"君が代"(の強制)に反対の意見を持っていたりする保護等者の、思想・良心の自由を擁護するための表現活動なのである。
【注2】 田中一彦・教頭は、藤田さんの語り掛けが終わった後の時点で"退場要求"している。しかし横山洋吉氏は、"威力業務妨害"事件にでっち上げる意図を持って、「校長などの制止にかかわらず元教員が週刊誌の記事のコピーを保護者に配布して、この卒業式は異常であるなどと大声で叫んだ」と、時系列を偽る都議会答弁をしている。


 ● 現場から「裁判と闘争は車の両輪」。元朝日記者の山本さんも"政商"と自民党との癒着を指摘

 こういう経緯で、東京高裁での2007年11月20日の第2回公判、12月6日の第3回公判を前に11月10日夕刻、「逆転無罪を目指して~藤田さんを応援する会」が開かれた。
 最初に「被処分者の会」のKさんが「都教委が強行導入した”主幹”職は、選考試験の受験者が減り続け、87名の受験者で86名合格と、誰でも受かる状態。都教委は2006年4月13日の”職員会議の挙手・採決禁止”の”通達”発出後、ある都立高校で生徒指導が議題の時、指導内容がまとまらないので、『皆さんの意見を』と、挙手で確かめた校長を呼び出し”厳重注意”する等で、職場は閉塞状態。定年まで5年以上ある教員が早期退職する一方で、副校長になろうとする”主幹”は生徒を出世の踏み台にしている」と、都教委の施策の実態を報告。Kさんは同時に「しかし、仲間を一人一人説得し、『校長にこう言われ困っている』等、相談に来る若い教員も出て来た。裁判と闘争は車の両輪」と、職場の取り組みの成果も語った。
 続く激励講演で、元朝日新聞記者の山本博さんは、政府や政治家と特殊な関係を持ち、利権を得る"政商"の典型、福島交通会長(福島交通不動産社長)だった小針暦二氏(こばりれきじ、1914年~1993年)と自民党との癒着を、取材体験をもとに、以下のように暴いた。
(1) 栃木県那須高原の国有地払い下げでエージェントとして働き、河野一郎氏への政治工作を行った。
(2) 1982年秋の自民党総裁選で、故中川一郎氏に"総裁選費用"の4千万円を渡し、3千万円は返されていない。
(3) 1975年春の都知事選に落選した石原慎太郎氏に"選挙の後始末資金"として5千万円を貸し、返しているかどうかは分からない。
 山本博さんはこの後、守屋武昌・前防衛事務次官と軍需産業との癒着にも触れながら、裏金や闇金で政財界は権力を掌握し操作して来ていると指摘し、藤田さんの行為への権力(政治家・都教委・警察・検察等)の強権的姿勢も厳しく批判した。

 「憲法上の諸権利を、校門で捨て去れない」

 弁護団の加藤文也弁護士は、学校での表現の自由に関し、市民側(生徒)が行政当局に勝訴した米連邦最高裁の、以下の2つの判決を紹介した。
(1) 「エホバの証人」の子どもが公立学校で、国旗に敬礼し忠誠を誓う儀式を拒否し退学処分となった、バーネット事件の1943年6月14日の判決→ 「国旗への敬礼と忠誠の宣誓」を強制する州・州教育委員会の行為は、修正憲法に違反する(【注3】参照)。
(2) 公立学校の生徒が、ベトナム戦争反対の意思表明をするために黒い腕章を着けて登校したことを理由に停学処分を受けた、ティンカー事件の1969年2月24日の判決→ 「修正憲法第1条の諸権利は、学校という環境の特質に照らして適用されるにしても、教師および生徒に対して認められている。生徒あるいは教師が、言論ないし表現の自由に対する各自の憲法上の諸権利を校門の所で捨て去るのだとは、とうてい主張できない」と判示し、国家主導の教育を否定して教育の自由に理解を示した。
 加藤文也弁護士は、藤田さんの語り掛けという表現の自由への行政当局による弾圧で、無罪判決を勝ち取る、と決意表明した。
 この後、市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー、Oさん(「自衛官・ご家族の皆さんへ 自衛隊のイラク派兵反対! 一緒に考え、反対の声をあげよう!」というビラを自衛隊の立川官舎の郵便受けに投函しただけで、2004年2月に"住居侵入容疑"で不当逮捕され、現在、最高裁で審理中)が、自衛隊の情報保全隊と警視庁立川署(公安警察)が共謀して、逮捕を仕組んだことを示す内部文書が自衛隊関係者から出た旨、2007年10月12日付『しんぶん赤旗』が報じたことを紹介(【注4】参照)。Oさんは「自衛隊の情報保全隊は消費者運動まで対象にしている」と、警鐘を鳴らした。
 「予防訴訟の会」のNさんは、「都教委の"君が代"強制は違憲・違法」の東京地裁判決を勝ち取っているけれど、名古屋地裁が11月1日、「”愛国心通知表”で原告敗訴」の不当判決を出していることに触れ、一進一退だが油断大敵、と訴えた。またNさんは、都教委が2000年度から強行導入している"人事考課制度"で近年、「生徒が作る学校新聞への管理職による"検閲"を拒否した教員がC評価。勤務時間外に組合のビラを配布した教員がD評価」等、思想・信条の問題に入り込む不当な"業績評価"が罷り通っている実態を語った(【注5】参照)。

【注3】 バーネット事件の判決は、「わが国の憲法という星座に恒星があるとすれば、それは地位の高低を問わず公務員が、政治、ナショナリズム、宗教その他思想的問題について、何が正統であるかを決めたり、市民に言葉や行動によって自己の信念を告白することを強制することはできない、ということである。/国旗敬礼と宣誓を強制する地方当局の行為は、その権限について憲法上の制約を超えており、わが憲法修正第1条がすべての官憲の統制から守ろうとしている知性と精神の領域を侵すものである、と考える」と明言している。
【注4】 具体的には逮捕約2か月前、立川署が自衛隊側に「配布・投入している者を見たら110番」「自衛隊からビラを配布・投入され困っているという形で被害届け」の2点の「現行犯逮捕の協力依頼」をしている。
【注5】 愛知県西部の海部地区校長会は2002年、小学校6年生の通知表に"愛国心"の評価項目を追加した雛型を作成。05年度まで使用させていた。このため、同県津島市の市立小学校の男性教諭が、「”愛国心”の評価項目は思想・良心の自由を保障した憲法19条に違反する」などとして国や市、校長会などに10万円の支払いを求めた裁判で、名古屋地裁は1日、訴えを棄却する不当判決を出した。/田近年則裁判官は、「評価項目はやや情緒的で客観性に議論がある」としつつ、「教諭は”愛国心”の評価に関わる6年生の社会科担当ではなく、利益の侵害は受けていない」と決め付け、「児童の心の内面自体を評価するものではない。違憲性もない」と述べた。

 (永野厚男)

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