=自由権規約第7回日本政府報告審査=
◆ カウンターレポートを完成させました (『リベルテ 60号』)
◆ 国旗国歌を強制する「10・23通達」が国際社会で名指しで取り上げられた
第7回審査は、NGOのレポート提出から始まり(私たちも提出=2017年『リベルテ』48号)、次いで自由権規約委員会から日本政府に事前質問リスト30項目が示され、その中には私たちの課題も「公共の福祉」(第23項)と「10・23通達」(第26項)の2項目が取り上げられた(2018年『リベルテ』50号)。
政府回答が提出されたのは2020年4月、審査日程が10月に設定された。国際人権プロジェクトチームは、審査に向けて総力を挙げてカウンターレポート(英文)を完成させたところ、提出直前にコロナの影響で審査は延期となり、新たな日程設定を待つことになった。
ここでは、私たちのレポートの概要を紹介する。
◆ 「公共の福祉」概念による基本的自由の制約は許されるか
そもそも「公共の福祉」は人権制約概念として不適切であるとして、第3回審査から毎回懸念と勧告が繰り返されており、今回の事前質問23でもこれまでの勧告に対して「講じた対策」が問われた。
しかし、政府回答は「前回定期報告で述べられているとおりである」という素っ気ない、対話拒否ともとれる一言だけだった。なお、前回の日本政府報告では板橋高校卒業式事件最高裁判決も判例として引用されていた。
私たちのレポートでは、前回審査から6年間担当も決めず放置してきた政府の怠慢を批判しつつ、国際基準外の人権制約解消のため、1日も早く責任部局と期限を決め具体的検討を始めるようにとの勧告を求めた。
◆ 「10・23通達」は自由権規約に適合しているか
事前質問26は、そのものズバリ「10・23通達」の自由権規約適合性だった。政府は、最高裁判決(2011.6.6)では、人権制約を許容しうる必要性及び合理性があるとしているから規約にも適合している、と国内判例を引用して答えた。
私たちのレポートでは、東京都は法令によらず職務命令違反という外形で内心の自由を侵害していること、真の目的は生徒を起立斉唱させることにあることを国際基準の枠組みから反論した。
最新の出来事としてコロナ禍の卒業式でも飛沫感染防止よりも国歌斉唱を優先した都教委の異常なこだわりも紹介し、自由権規約に適合しない「10・23通達」は撤回すべきとの勧告を求めた。
◆ 都教委は自由権規約を遵守する義務がある
事前質問に「10・23通達」が取り上げられてから、所管である都教委に何度となく質問をぶつけてきたが、いつも「国が批准した条約について答える立場にない」などと答をはぐらかし、国際人権に関して国とやりとりした文書の開示請求も「不存在」だった(『リベルテ』59号)。
ところが文科省側から都とやりとりした文書が出てきた。これまでの都教委の嘘を糾すため目下不服審査請求中である。
外務省は「東京都教育委員会には自由権規約を遵守する義務がある」と明解に言い切った。最早言い逃れは許されない。都教委は締約国の自治体の責務として、自由権規約に則り学校に国際水準の人権を保障せよ。
『リベルテ 60号』(2020年11月6日)
◆ カウンターレポートを完成させました (『リベルテ 60号』)
すすめる会国際人権プロジェクトチーム 花輪紅一郎
◆ 国旗国歌を強制する「10・23通達」が国際社会で名指しで取り上げられた
第7回審査は、NGOのレポート提出から始まり(私たちも提出=2017年『リベルテ』48号)、次いで自由権規約委員会から日本政府に事前質問リスト30項目が示され、その中には私たちの課題も「公共の福祉」(第23項)と「10・23通達」(第26項)の2項目が取り上げられた(2018年『リベルテ』50号)。
政府回答が提出されたのは2020年4月、審査日程が10月に設定された。国際人権プロジェクトチームは、審査に向けて総力を挙げてカウンターレポート(英文)を完成させたところ、提出直前にコロナの影響で審査は延期となり、新たな日程設定を待つことになった。
ここでは、私たちのレポートの概要を紹介する。
◆ 「公共の福祉」概念による基本的自由の制約は許されるか
そもそも「公共の福祉」は人権制約概念として不適切であるとして、第3回審査から毎回懸念と勧告が繰り返されており、今回の事前質問23でもこれまでの勧告に対して「講じた対策」が問われた。
しかし、政府回答は「前回定期報告で述べられているとおりである」という素っ気ない、対話拒否ともとれる一言だけだった。なお、前回の日本政府報告では板橋高校卒業式事件最高裁判決も判例として引用されていた。
私たちのレポートでは、前回審査から6年間担当も決めず放置してきた政府の怠慢を批判しつつ、国際基準外の人権制約解消のため、1日も早く責任部局と期限を決め具体的検討を始めるようにとの勧告を求めた。
◆ 「10・23通達」は自由権規約に適合しているか
事前質問26は、そのものズバリ「10・23通達」の自由権規約適合性だった。政府は、最高裁判決(2011.6.6)では、人権制約を許容しうる必要性及び合理性があるとしているから規約にも適合している、と国内判例を引用して答えた。
私たちのレポートでは、東京都は法令によらず職務命令違反という外形で内心の自由を侵害していること、真の目的は生徒を起立斉唱させることにあることを国際基準の枠組みから反論した。
最新の出来事としてコロナ禍の卒業式でも飛沫感染防止よりも国歌斉唱を優先した都教委の異常なこだわりも紹介し、自由権規約に適合しない「10・23通達」は撤回すべきとの勧告を求めた。
◆ 都教委は自由権規約を遵守する義務がある
事前質問に「10・23通達」が取り上げられてから、所管である都教委に何度となく質問をぶつけてきたが、いつも「国が批准した条約について答える立場にない」などと答をはぐらかし、国際人権に関して国とやりとりした文書の開示請求も「不存在」だった(『リベルテ』59号)。
ところが文科省側から都とやりとりした文書が出てきた。これまでの都教委の嘘を糾すため目下不服審査請求中である。
外務省は「東京都教育委員会には自由権規約を遵守する義務がある」と明解に言い切った。最早言い逃れは許されない。都教委は締約国の自治体の責務として、自由権規約に則り学校に国際水準の人権を保障せよ。
『リベルテ 60号』(2020年11月6日)
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