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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

第8回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会資料から(16)

2018年08月08日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ★ 私たちを取り巻く情勢と日常的なビラまき活動について
渡部秀清(東京都)

 1、情勢の変化(組合運動の後退、日本社会の右傾化、その背景)
 (1)「連合」(総評解散)と「全労連の結成」(1989年)
   →御用組合化と組合運動の分裂

 (2)「日教組」のパートナー路線への転落と「教育基本法の改悪」
 1995年「日教組」は文部省と「五項目合意」をし、反対の旗を降ろしパートナー路線(労使協調)を歩むようになった。
 「五項目」とは、①「日の丸・君が代」、②学習指導要領、③職員会議、④官製研修、⑤主任制である。
 その結果、1999年には「日の丸・君が代」が法制化され、2006には「教育基本法」まで改悪された。
 現在では①~⑤まですべて文科省の言いなりとなり、教育現場は「民主教育」の場から「国家主義教育」の場へと変わってしまった。
 また、分裂した組合はいずれも組合員を大きく減少させ闘えなくなった。いかにパートナー路線が犯罪的なものだったかが分かる。
 ただ、そうした中で、危機感を持つ教員や市民が、2003年以来、党派・組織を超えて連帯し、『教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会』を結成、全国闘争を展開した。
 しかし「教育基本法」の改悪(2006年12月)を止めることは出来なかった。

 (3)その後、日本社会の右傾化は段階を画して進行した。
 2013年12月に、「特定秘密保護法」が強行採決された。しかし、既存の労働組合はなんら大きな反対運動を組織できなかった。そこで、危機を抱いた市民運動の団体が連帯し、2014年12月に『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委会』を結成、その後の全国的な大衆の運動の結節点になり、諸行動に取り組むこと忙なった。
 しかし、いずれも強行採決を止めるに至らなかった。(「集団的自衛権の閣議決定」(2014年7月)、「戦争法」(2015年9月)、「盗聴法」(2016年5月)、「共謀罪」(2017年6月))。
 そして現在、安倍政権による「9条改憲」が目前に迫るところまで来ている。
 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げるが、「9条改憲」はまさにその完成であり、新たな「戦前回帰」(反革命クーデター?)となるだろう。
 それはこの間の諸法律も示しているが、最近では「道徳」の教科化、つまり戦前の「修身科」の復活である。
 これは子どもたちを再び戦前のような「少国民」に育てようということである。

 (4)日本社会の右傾化の背景にあるは、この間の日本社会の変化ある。
 この間、日本社会は生産的な社会から消費的な社会、他国に依存するような社会に変化してきている(腐敗・寄生的な社会へ)。
 企業の海外に進出によって、産業は空洞化し、輸出で儲けるより海外投資からの利益の還流で儲ける方がはるかに大きくなっている。
 その権益を守るために、自衛隊を強化し海外派遣もできるようにした。

 一方、これまで主流だった正規労働者が減少し、非正規労働社が増加した(4割に)。
 そのため、働く人々の仕事と生活はどんどん不定になる。その不満を抑えるために治安機構が強化され、現体制に従順な子どもを作る必要が出て来る。また、外に敵を作ることが必要になって来る。これは、本質的には戦前同様のことが起きている、ということである。
 2、日常的なビラまき活動について
 (1)我々の闘いには、「経済闘争」、「政治闘争」、「イデオロギー闘争」がある。「日の丸・君が代」強制反対闘争は「イデオロギー闘争」の重要な一環である。なぜなら「日の君」は主権者は誰か、に関わる問題だからである。
 ちなみに、ナポレオン「三つの敵意ある新聞は千の銃剣よりも怖ろしい」と言っている。彼はイデオロギー闘争の重要性を十分にわかっていたのである。
 (2)では誰が「日の丸・君が代」の強制を一番望んでいるのか。それは、日本社会を実的に支配している金融独占資本である。(「経団連」がその経済的代表者、「自民党」がその政治的代表者である。)
 それ以外は、中間派(中小企業、中間管理職、農民など)と反対派(一般の勤労〈正規・非正規含む〉)だろう。
 だから、われわれは反対派と連帯し、中間派を分断し、「日の丸・君が代」強制の勢力を孤立化させていくことが重要だろう。
 しかし、支配者はそこに絶えず楔を打ち込む(「分断して支配せよ!」)ので、ややもするとお互い反目し合い、本当の敵(支配者)を見失うことになる。
 「日・君」強制反対派でもそういう事が起きる。だから敵・味方を見間違わないことが重要である。
 (3)現在、「改悪教育基本法」により、「幼児教育」から「大学教育」、「生涯教育」まで、徹底した「国家主義教育」になってきている。そうして「職員会議」は単なる伝達機関となり、「学習指導要領」が法的性格を強め、更には「業績評価」や、「教育の中立性」と言う名の下に、教育内容への監視が強化され、自由な教育活動は極めて困難な状況に置かれている。国家主義教育に反する教員は現場から排除される。「日の丸・君が代」強制はその突破口になった。
 一方では、失効・排除された「教育勅語」が容認されるまでに至っている。しかし、こうしたことに心を痛めている現場教職員や保護者・市民はいる。
 (4)こうした中で、どのようにして子どもたちや若者に真実を伝えていくのか。これが大きな課題になってきた。
 これまでは、卒・入学式での「日の丸・君が代」強制反対のビラまきが行われていた。しかし、年に一回のビラまきでは、とても伝えきれない。
 そこで、「戦争法」が強行採決された2015年12月から有志で日常的なビラまきを追及するようになった。
 その後、「ビラまき交流実行委会」というものを立ち上げ、都教委が「五輪教育」始めた2016年度からは「オリンピック教育批判」ビラまきを開始した。これまで、11弾のビラがまかれた。反応はいまいちだが、これまでのビラまきで明らかになってきたことをいくつか上げたい、
 ①ビラまきにより生きた情勢を掴むことが出来る。ビラまきに対する反応は情勢を敏感に反映する。情勢が発展している時はビラの受け取りもよい。しかし、後退している時は悪くなる。
 ②ビラの内容を絶えず改善していく必要がある。情勢に応じて、生徒たちでも分かるような問題を取り上げ、そのことを通じて全体の状況を明らかにすることが重要だと思われる。また、文章はなるべく少なくして、マンガや写真を入れる事、タイトルを大きく分かりやすくすることも大事だと思う。最近では、漢字にルビを振り、「チャレンジ問題」をいくつか入れるようにした。すると、「じゃ、やってみる」などという反応も返って来た。また、弁護士の連絡先も入れてある。
 ③繰り返しやることが重要である。そうすることで一種の市民権を得るし、管理職や警察との対応にも慣れて来る。また、ビラを受け取る教職員や生徒も分かるようになる。大抵の学校では、「ありがとうございます」「ご苦労様です」と言う生徒や教職員が必ずいる。協力してくれる方も出て来る。
 ④生徒たちとの連帯が求められている。この間、高校でビラまきをしている生徒たちとのつながりを持つことが出来た。このことは新たな一歩である。高校生たちも独自に動き始めているのである。
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