《月刊救援から》
◆ 無住民無視の米軍の横暴を許すな!
◆ 米軍に対する日本政府の甘い姿勢がコロナ感染を悪化させた
沖縄ではコロナ感染者数のリバウンド状況が続いている。一月一五日にこれ迄の最多一八二九名を数えて以降減少傾向にあったが、二月二五日(金)には一週間前に比べ七二名増の七五三名、二六日(土)には一八八名増の八五四名、三月一日には一週間前の一・五倍の一〇二九名となった。
その原因として、いくつかの病院でのクラスター発生や、二〇日で「まん延防止措置」が解除されたことによる規制の緩みが指摘されているが、米軍の影響もあるのではないか?
米軍関係者の感染数も決して減少傾向にはない。米軍の感染を巡っては、在日米軍への出入国時の検査免除通知の有無について日本政府と在日米軍の「認識の齟齬」が表面化してきている。
昨年一二月、それまで落ち着いていたコロナ感染者がキャンプハンセンでのクラスターを契機に一気に「第6波」に突入したが、実は同年九月に日本入国時のPCR検査を免除していたのだ。
米軍側はその時点で日本政府に通知したとしていたが、当初日本政府は、通知は受けておらず米軍の認識は誤りだとしていた。しかし、後にその判断を撤回している。
批判を受けて、日米合同委員会は一月九日米軍関係者の外出制限措置を取った。しかし、米軍に対する日本政府の甘い姿勢が事態を悪化させたと言われてもやむを得ない。実際、一月中の米軍関係の感染者数は六三一三名とこれ迄の最多数となっていた。
ところが米軍関係者の外出制限は一月末で解除となり、米兵がノーマスクで飲み屋街に繰り出す姿も再び目立っているという。
日本政府が誰の都合、生活を優先しているのか、愕然とするばかりだ。
◆ 住民無視の那覇軍港での米海兵隊の訓練
その米軍の住民無視の傍若無人さがまたもや露わになっている。
米軍那覇港湾施設(那覇軍港)で在沖海兵隊によるMVオスプレイやCH53大型輸送ヘリなどを使った「退避訓練」が二月八、九日に強行された。
米軍基地などの使用条件を定めた「5・15メモ」によれば、同港の使用目的は「港湾施設および貯油所」となっており、これ迄訓練に使用されたことはない。
米軍は、「海外での人道支援や大使館の警備、非戦闘員の退避」のためとしているが、同月三~七日、米海兵隊と海軍は沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡で、「台湾有事」を想定した「遠征前方基地作戦(EABO)」訓練を行っており、それと連動していることは間違いない。
ニール・オーウェンズ海兵隊政務外交部長は、船や航空機の運用に関する訓練が一か所で出来る同軍港は「理想的な場所」としており、今後、同港使用の常態化が考えられる。これもまた基地負担の強化だ。
◆ 高校生の失明事件で、沖縄ヘイト攻撃
一方、沖縄への差別、ヘイト攻撃がまたもや発生。
一月二七日未明に沖縄市宮里の路上でバイクを運転していた高校生と巡回中の巡査が接触し、高校生が右眼球破裂で失明した。
この事故直後から、「高校生は暴走族」「ノーヘルでバイクを運転」「盗難車・無免許運転の可能性」というデマ、中傷がツイッターなどで続いていた。
いずれも事実ではないと沖縄県警も否定しているが、警察自身が率先して事実関係を明らかにしないことも要因だ。
ツイッターの中には沖縄へのあからさまな差別、ヘイトスピーチもが含まれているという。
こうした中、沖縄県がヘイトスピーチ対策条例の新たな素案を公表した。
旧案にあった氏名公表規定がなくなり、「表現内容の公表」に留めている。この案に対しては、差別をなくすための具体策が欠けている、高校生が失明した事件を契機に発生したヘイトスピーチ、差別の噴出という現状に対応できていない、という批判が出ている。
これは沖縄だけの問題ではなく、私たちにとって無関係ではない。
◆ 辺野古へのサンゴ移植申請を、県は不許可処分
コロナ感染が収束せず、米軍の住民無視の訓練が連日行われる中でも、辺野古での埋め立て、土砂投入は継続している。
二月一〇日、沖縄防衛局が昨年一二月に申請していた大浦湾側のサンゴ約三万五千三百五十群体などの特別採捕(移植)許可申請に対し、県は不許可処分を決めた。
埋立て承認後に軟弱地盤が確認されたこと、改良工事のための設計変更申請が不承認になり工事の実施が不可能になったことなどが理由だ。
全く正当な判断だが、防衛局はまたもや、「私人」に成りすました「不服審査」を司法へ提訴するのだろうか?
設計変更申請に対する不承認を覆す「不服審査請求」についても現在、県が防衛局の反論書に対する意見書を国土交通省の審理員に提出している。
民間業者であれば公有水面埋め立て地の所有には知事の「認可」が必要なのに、防衛局(国)は知事への「通知」だけで済むという、「一般人(私人)では立つことができない」法的地位(固有の地位)にある。そうした立場にある防衛局が「私人」の資格にないことは明らかだ。
にもかかわらず国交相は脱法判断をまたもや下すのか?権力の乱用以外の何物でもない。
◆ 「ノーモア沖縄戦 命どう宝の会」が発足
一月三一日、「台湾有事」を口実に自衛隊基地建設が琉球弧で強行されている中で、自衛隊基地の日米共同使用や戦争に反対する「ノーモア沖縄戦命どう宝の会」が発足した。
共同代表には、沖縄平和運動センター顧問の山城博治さんや、沖縄戦の遺骨収取に取り組んでいる具志堅隆松さんなどが就いた。
キャンプシュワブゲート前では、オール沖縄会議の監視行動も二月二一日再開された。コロナ禍で活動の制限を余儀なくされた沖縄の基地反対運動も活性化してきている。
五〇年目の「5・15」も近い。沖縄と連帯し、構造的沖縄差別を撃つ「本土」での運動の拡大、広報・宣伝の活性化が求められている。
『月刊救援 635号』(2022年3月10日)
◆ 無住民無視の米軍の横暴を許すな!
中村利也/辺野古への基地建設を許さない実行委員会
◆ 米軍に対する日本政府の甘い姿勢がコロナ感染を悪化させた
沖縄ではコロナ感染者数のリバウンド状況が続いている。一月一五日にこれ迄の最多一八二九名を数えて以降減少傾向にあったが、二月二五日(金)には一週間前に比べ七二名増の七五三名、二六日(土)には一八八名増の八五四名、三月一日には一週間前の一・五倍の一〇二九名となった。
その原因として、いくつかの病院でのクラスター発生や、二〇日で「まん延防止措置」が解除されたことによる規制の緩みが指摘されているが、米軍の影響もあるのではないか?
米軍関係者の感染数も決して減少傾向にはない。米軍の感染を巡っては、在日米軍への出入国時の検査免除通知の有無について日本政府と在日米軍の「認識の齟齬」が表面化してきている。
昨年一二月、それまで落ち着いていたコロナ感染者がキャンプハンセンでのクラスターを契機に一気に「第6波」に突入したが、実は同年九月に日本入国時のPCR検査を免除していたのだ。
米軍側はその時点で日本政府に通知したとしていたが、当初日本政府は、通知は受けておらず米軍の認識は誤りだとしていた。しかし、後にその判断を撤回している。
批判を受けて、日米合同委員会は一月九日米軍関係者の外出制限措置を取った。しかし、米軍に対する日本政府の甘い姿勢が事態を悪化させたと言われてもやむを得ない。実際、一月中の米軍関係の感染者数は六三一三名とこれ迄の最多数となっていた。
ところが米軍関係者の外出制限は一月末で解除となり、米兵がノーマスクで飲み屋街に繰り出す姿も再び目立っているという。
日本政府が誰の都合、生活を優先しているのか、愕然とするばかりだ。
◆ 住民無視の那覇軍港での米海兵隊の訓練
その米軍の住民無視の傍若無人さがまたもや露わになっている。
米軍那覇港湾施設(那覇軍港)で在沖海兵隊によるMVオスプレイやCH53大型輸送ヘリなどを使った「退避訓練」が二月八、九日に強行された。
米軍基地などの使用条件を定めた「5・15メモ」によれば、同港の使用目的は「港湾施設および貯油所」となっており、これ迄訓練に使用されたことはない。
米軍は、「海外での人道支援や大使館の警備、非戦闘員の退避」のためとしているが、同月三~七日、米海兵隊と海軍は沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡で、「台湾有事」を想定した「遠征前方基地作戦(EABO)」訓練を行っており、それと連動していることは間違いない。
ニール・オーウェンズ海兵隊政務外交部長は、船や航空機の運用に関する訓練が一か所で出来る同軍港は「理想的な場所」としており、今後、同港使用の常態化が考えられる。これもまた基地負担の強化だ。
◆ 高校生の失明事件で、沖縄ヘイト攻撃
一方、沖縄への差別、ヘイト攻撃がまたもや発生。
一月二七日未明に沖縄市宮里の路上でバイクを運転していた高校生と巡回中の巡査が接触し、高校生が右眼球破裂で失明した。
この事故直後から、「高校生は暴走族」「ノーヘルでバイクを運転」「盗難車・無免許運転の可能性」というデマ、中傷がツイッターなどで続いていた。
いずれも事実ではないと沖縄県警も否定しているが、警察自身が率先して事実関係を明らかにしないことも要因だ。
ツイッターの中には沖縄へのあからさまな差別、ヘイトスピーチもが含まれているという。
こうした中、沖縄県がヘイトスピーチ対策条例の新たな素案を公表した。
旧案にあった氏名公表規定がなくなり、「表現内容の公表」に留めている。この案に対しては、差別をなくすための具体策が欠けている、高校生が失明した事件を契機に発生したヘイトスピーチ、差別の噴出という現状に対応できていない、という批判が出ている。
これは沖縄だけの問題ではなく、私たちにとって無関係ではない。
◆ 辺野古へのサンゴ移植申請を、県は不許可処分
コロナ感染が収束せず、米軍の住民無視の訓練が連日行われる中でも、辺野古での埋め立て、土砂投入は継続している。
二月一〇日、沖縄防衛局が昨年一二月に申請していた大浦湾側のサンゴ約三万五千三百五十群体などの特別採捕(移植)許可申請に対し、県は不許可処分を決めた。
埋立て承認後に軟弱地盤が確認されたこと、改良工事のための設計変更申請が不承認になり工事の実施が不可能になったことなどが理由だ。
全く正当な判断だが、防衛局はまたもや、「私人」に成りすました「不服審査」を司法へ提訴するのだろうか?
設計変更申請に対する不承認を覆す「不服審査請求」についても現在、県が防衛局の反論書に対する意見書を国土交通省の審理員に提出している。
民間業者であれば公有水面埋め立て地の所有には知事の「認可」が必要なのに、防衛局(国)は知事への「通知」だけで済むという、「一般人(私人)では立つことができない」法的地位(固有の地位)にある。そうした立場にある防衛局が「私人」の資格にないことは明らかだ。
にもかかわらず国交相は脱法判断をまたもや下すのか?権力の乱用以外の何物でもない。
◆ 「ノーモア沖縄戦 命どう宝の会」が発足
一月三一日、「台湾有事」を口実に自衛隊基地建設が琉球弧で強行されている中で、自衛隊基地の日米共同使用や戦争に反対する「ノーモア沖縄戦命どう宝の会」が発足した。
共同代表には、沖縄平和運動センター顧問の山城博治さんや、沖縄戦の遺骨収取に取り組んでいる具志堅隆松さんなどが就いた。
キャンプシュワブゲート前では、オール沖縄会議の監視行動も二月二一日再開された。コロナ禍で活動の制限を余儀なくされた沖縄の基地反対運動も活性化してきている。
五〇年目の「5・15」も近い。沖縄と連帯し、構造的沖縄差別を撃つ「本土」での運動の拡大、広報・宣伝の活性化が求められている。
『月刊救援 635号』(2022年3月10日)
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