▲ 横浜で開催された学校と地域をむすぶ交流会
2月16日夜、関内の横浜技能文化会館で第17回「日の丸・君が代」反対!学校と地域をむすぶ交流会が開催された。例年、早稲田奉仕園で開催されていたが、昨年は大阪、今年は横浜へと会場を移した。1泊2日のプログラムだが、わたくしは1日目の夜の部のみ参加した。30人余りの小さな集会だが、東京以外の大阪、名古屋など各地の状況を聞くことができた(なお、過去には北海道、北九州、広島、埼玉などの状況が報告される年もあった)。
1 大泉ブラウス裁判の渡辺厚子さん
まずDVDで、昨年4月の停職1か月の間の北養護学校校門ビラまきの様子を見た。副校長とのやりとり、昼休みに校門まで出てきた若い同僚とのなごやかな会話、生徒を乗せた大型バス3台が脇を通り抜ける様子などの映像が続く。そのあとお話を聞いた。
昨年の卒業式では、着席するかどうか迷った。減給は自分だけの問題だが、停職となると生徒から引き離されてしまう。しかしせっかく9.21難波判決をもらった後だったので、同僚にも事前に伝えて着席した。復職してから小人数の職場なのでアップアップだったと聞かされた。
以前は、卒業式式次第の原案に教員自ら「国歌斉唱」を入れることはなかった。しかしいまでは「どうせ修正されるのだから、時間のムダ」と同僚がいう時代になった。生徒をスロープに上げているのも、前を向かせているのも教員だ。教員自身がミニアイヒマン化している。
2 大阪の高校教員
枚方市では1999年小中学校の卒業式に君が代が持ち込まれた。その後、ピアノ伴奏、舞台に国旗掲揚など市教委の指示が強化され2002年不起立教員調査が始まった。これに対し、2人の教員が市個人情報保護条例に違反しているので削除を求めたところ、2004年9月審査会は「氏名と理由を削除すべき」と答申した。しかし市教委は諮問に従わなかったので2005年2月に提訴した(ひらかた「君が代」訴訟=スミぬり裁判)。2007年4月の大阪地裁判決は一部認容、11月の高裁判決で「個人情報保護条例違反、原告2人に各10万円の慰謝料支払命令」を出し勝訴が確定した。
神奈川県教委のケースと似ているので連携していきたい。
京都市では、研究費の名目で市長が教員に5~15万円を渡すパイオニア委託研究に対する住民訴訟で、12月26日京都地裁は門川大作前教育長に7168万円の損害賠償を命じ、市民が勝訴した。
大阪府立高校の卒業式は、全員起立の学校がある一方、担任の過半数、生徒の一部が着席する学校もありバラつきは極端だ。なお担任以外の教員は君が代斉唱が終わってから入場することが多い。ただし知事選で橋下徹知事に変わったので、今後どうなるかわからない。
3 神奈川の高校教員
神奈川県では2006年不起立教員の「氏名」調査が始ままった。昨年、教員16人が県個人情報保護審査会に異議申し立てを行い、10月24日思想信条に該当する情報なので条例違反との答申が出た。県教委は過去3年分の収集情報は廃棄するが、条例6条の例外規定(正当な事務もしくは事業の実施のために必要があるもの)の適用を求め県個人情報審議会に諮問したが、1月17日「不適当」との答申が出た。それにもかかわらず県教委は今年も氏名収集の継続を決定し、2月12日高校長に通知を送った。
この通知には「答申では、最終的にどのような職権行使をするかは教育委員会に条例上委ねられていると言及している」とまるで審議会のお墨付きを得たかのような、答申の主旨を曲解しねつ造にも等しい説明が付け加えられている。また経過説明書の注意事項には思想信条に抵触するので「不起立の理由」を聞くなと書いている。枚方の訴訟では「不起立の理由」の記入で敗訴したので神奈川は違うとでも言いたいのかもしれない。
4 愛知の小学校教員
航空自衛隊小牧基地近くの学校で勤務している。イラクに派遣される隊員の子どもも通学しており、母親から「もし夫が帰ってこなかったらどうしよう」と相談を受けることもある。母親の不安は子どもに伝わり不安になっている。
昨年、犬山市教委は5人の委員全員一致で全国学テに参加しなかった。しかしその後、委員のうち2人が学テ賛成派の委員に入れ替わり、さらに学テ賛成派の市長は委員会の定数を2人増やし4対3で逆転賛成するよう条例を変更しつつある。
5 花崎皋平さん(哲学者)のコメント
いま日の君不起立などで闘っている人の運動は、抵抗という側面のほかに新しい歴史をつくっているという創造的な側面もある。
ラテンアメリカで調査すると、表面的には貧困などの問題が出てくるが、深く分析すると、市民が心の内面に支配者を置き、それが恐怖心を起こさせているのが真の問題との報告がある。本当はそんなに恐れなくてもよいのに、自分の内面から発する恐怖が必要以上に自分の行動を規制してしまうのである。
日本でも一般教員が内面の恐怖からだんだん引いて行っている状況があるので、こういう創造的な側面をアピールし、明るい闘いを展望できるようにするとよいのではないか。
また、若い先生は「自由の味」を知らない。どんなに小さくても自分たちの領域をつくるようにし、「自由の味」を覚えていくようにするとよいのではないか。
この集会は討論の時間を長く取っていることが特徴の一つである。討論では
「論拠として思想信条の自由が多く述べられているが、君が代斉唱は天皇主権の天皇賛美の歌を公務員が歌わせられているという問題だ」
「2月15日に学習指導要領改訂案が発表された。3月16日までパブリックコメントを受け付けているので『国を愛する態度』の強化や君が代強制へ反対の声を送ろう」
「向こう側は新しい運動も多くやり、天皇制は再編強化されている。89年以降この20年の問題を一度中間総括してはどうか」
「立川反戦ビラ弾圧事件の支援運動では『チラシを配って何が悪い』と言っている。不起立の問題でも『イスがあるのに座って何が悪い』と、バカバカしいことをバカバカしいというような運動をしてはどうか」
など活発な意見が出た
『多面体F』
http://blog.goo.ne.jp/polyhedron-f/
2月16日夜、関内の横浜技能文化会館で第17回「日の丸・君が代」反対!学校と地域をむすぶ交流会が開催された。例年、早稲田奉仕園で開催されていたが、昨年は大阪、今年は横浜へと会場を移した。1泊2日のプログラムだが、わたくしは1日目の夜の部のみ参加した。30人余りの小さな集会だが、東京以外の大阪、名古屋など各地の状況を聞くことができた(なお、過去には北海道、北九州、広島、埼玉などの状況が報告される年もあった)。
1 大泉ブラウス裁判の渡辺厚子さん
まずDVDで、昨年4月の停職1か月の間の北養護学校校門ビラまきの様子を見た。副校長とのやりとり、昼休みに校門まで出てきた若い同僚とのなごやかな会話、生徒を乗せた大型バス3台が脇を通り抜ける様子などの映像が続く。そのあとお話を聞いた。
昨年の卒業式では、着席するかどうか迷った。減給は自分だけの問題だが、停職となると生徒から引き離されてしまう。しかしせっかく9.21難波判決をもらった後だったので、同僚にも事前に伝えて着席した。復職してから小人数の職場なのでアップアップだったと聞かされた。
以前は、卒業式式次第の原案に教員自ら「国歌斉唱」を入れることはなかった。しかしいまでは「どうせ修正されるのだから、時間のムダ」と同僚がいう時代になった。生徒をスロープに上げているのも、前を向かせているのも教員だ。教員自身がミニアイヒマン化している。
2 大阪の高校教員
枚方市では1999年小中学校の卒業式に君が代が持ち込まれた。その後、ピアノ伴奏、舞台に国旗掲揚など市教委の指示が強化され2002年不起立教員調査が始まった。これに対し、2人の教員が市個人情報保護条例に違反しているので削除を求めたところ、2004年9月審査会は「氏名と理由を削除すべき」と答申した。しかし市教委は諮問に従わなかったので2005年2月に提訴した(ひらかた「君が代」訴訟=スミぬり裁判)。2007年4月の大阪地裁判決は一部認容、11月の高裁判決で「個人情報保護条例違反、原告2人に各10万円の慰謝料支払命令」を出し勝訴が確定した。
神奈川県教委のケースと似ているので連携していきたい。
京都市では、研究費の名目で市長が教員に5~15万円を渡すパイオニア委託研究に対する住民訴訟で、12月26日京都地裁は門川大作前教育長に7168万円の損害賠償を命じ、市民が勝訴した。
大阪府立高校の卒業式は、全員起立の学校がある一方、担任の過半数、生徒の一部が着席する学校もありバラつきは極端だ。なお担任以外の教員は君が代斉唱が終わってから入場することが多い。ただし知事選で橋下徹知事に変わったので、今後どうなるかわからない。
3 神奈川の高校教員
神奈川県では2006年不起立教員の「氏名」調査が始ままった。昨年、教員16人が県個人情報保護審査会に異議申し立てを行い、10月24日思想信条に該当する情報なので条例違反との答申が出た。県教委は過去3年分の収集情報は廃棄するが、条例6条の例外規定(正当な事務もしくは事業の実施のために必要があるもの)の適用を求め県個人情報審議会に諮問したが、1月17日「不適当」との答申が出た。それにもかかわらず県教委は今年も氏名収集の継続を決定し、2月12日高校長に通知を送った。
この通知には「答申では、最終的にどのような職権行使をするかは教育委員会に条例上委ねられていると言及している」とまるで審議会のお墨付きを得たかのような、答申の主旨を曲解しねつ造にも等しい説明が付け加えられている。また経過説明書の注意事項には思想信条に抵触するので「不起立の理由」を聞くなと書いている。枚方の訴訟では「不起立の理由」の記入で敗訴したので神奈川は違うとでも言いたいのかもしれない。
4 愛知の小学校教員
航空自衛隊小牧基地近くの学校で勤務している。イラクに派遣される隊員の子どもも通学しており、母親から「もし夫が帰ってこなかったらどうしよう」と相談を受けることもある。母親の不安は子どもに伝わり不安になっている。
昨年、犬山市教委は5人の委員全員一致で全国学テに参加しなかった。しかしその後、委員のうち2人が学テ賛成派の委員に入れ替わり、さらに学テ賛成派の市長は委員会の定数を2人増やし4対3で逆転賛成するよう条例を変更しつつある。
5 花崎皋平さん(哲学者)のコメント
いま日の君不起立などで闘っている人の運動は、抵抗という側面のほかに新しい歴史をつくっているという創造的な側面もある。
ラテンアメリカで調査すると、表面的には貧困などの問題が出てくるが、深く分析すると、市民が心の内面に支配者を置き、それが恐怖心を起こさせているのが真の問題との報告がある。本当はそんなに恐れなくてもよいのに、自分の内面から発する恐怖が必要以上に自分の行動を規制してしまうのである。
日本でも一般教員が内面の恐怖からだんだん引いて行っている状況があるので、こういう創造的な側面をアピールし、明るい闘いを展望できるようにするとよいのではないか。
また、若い先生は「自由の味」を知らない。どんなに小さくても自分たちの領域をつくるようにし、「自由の味」を覚えていくようにするとよいのではないか。
この集会は討論の時間を長く取っていることが特徴の一つである。討論では
「論拠として思想信条の自由が多く述べられているが、君が代斉唱は天皇主権の天皇賛美の歌を公務員が歌わせられているという問題だ」
「2月15日に学習指導要領改訂案が発表された。3月16日までパブリックコメントを受け付けているので『国を愛する態度』の強化や君が代強制へ反対の声を送ろう」
「向こう側は新しい運動も多くやり、天皇制は再編強化されている。89年以降この20年の問題を一度中間総括してはどうか」
「立川反戦ビラ弾圧事件の支援運動では『チラシを配って何が悪い』と言っている。不起立の問題でも『イスがあるのに座って何が悪い』と、バカバカしいことをバカバカしいというような運動をしてはどうか」
など活発な意見が出た
『多面体F』
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