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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

子どもの権利の4つの柱が「危機」に瀕している

2021年03月20日 | こども危機
 ◆ 危ない子どもたち
   コロナ禍で子どもの権利が危機に
(『週刊新社会』)
鹿児島県立短大 田口康明

 国連・子ども権利条約(1994年日本政府批准)は、大きく分けると「4つの柱」(①生きる権利、②育つ権利、③守られる権利、④参加する権利)がある。
 今、新型コロナ感染症の流行下において、これらが「危機」にある。

 まずは、何の根拠もなく安倍首相(当時)から発せられた「学校一斉休校」である。2020年2月27日木曜の夕方に、翌週の月曜から学校を休校にせよという指令である。何ら科学的根拠を示さない強権政権であったが、それに従わざるをえない市町村等の学校設置者は、翌3月2日から98%の公立小中高を休校にした。
 卒業式に向けてその日まで、練習を重ねていた子どもたちの意見は聴取されたのであろうか。
 学年末でクラスがもうすぐバラバラになる。そのために「お楽しみ会」を企画し、楽しみにしていた子どもたちに意見はどこで保障されたのであろうか。
 すべての答えは「ノー」である。

 今回も子どもの意見表明権(参加する権利)は無視された。教職員とともに議論し、子どもたちの意見を尊重し最大の利益を図る試みはまったくなされなかった。
 一見、ヨーロッパも同じように見えるが、ヨーロッパは街全体がロックダウンされた。例えばドイツでは、保育施設・幼稚園から大学まですべて閉鎖された。
 日本は就労を可能とするために幼稚園・保育所、学童保育までもが継続された。子どもの安全のためでもなく、社会的な感染防止が目的なのではなく、商業化されたオリンピック実施のための国民への「恫喝」として最も弱い部分を「いじめ」たに過ぎない
 二つ目は、生きる権利・育つ権利の危機である。
 子どもの自死の増加について2月15日に開かれた文科省の「自殺予防についての有識者会議」は、2020年に自殺した小中高校生は統計のある1980年以降最多の479人(前年比140人増)だつたとのデータが示し、特に8月は前年同月の2倍を超える64人で、会議は早急に対策を提言する方針を確認した、という(日経電子版2月15日版)。
 その対策は、現在配布が進められている小中学生1人1台のタブレットを活用した「ストレスチェック」の実施、SNS(交流サイト)を活用した相談体制の整備などだ。
 しんぐるまざあず・ふおーらむ(赤石千衣子理事長)が2020年5月に行った調査では、コロナ禍で「シングルマザーの6割は収入減、11%の人は収入がない」という衝撃な数字が出された。
 ますます深刻化するシングルマザー世帯の貧困化で若干の改善が見られた子どもの貧困も今年は別の様相を見せるだろう。
 さらに
   子ども食堂の閉鎖、
   家庭内での育児放棄を含む児童虐待、
   学校を失って行き場のない子どもの増加、
   先の見通せない閉塞感など、
 社会は子どもを自死へと追い込んでいる
 今こそ社会的にすべての子どもの生きる権利を保障しなければならない。

『週刊新社会』(2021年3月9日)

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