◆ "君が代"強制強化反対集会・学校と地域をむすぶ板橋の会
~澤藤弁護士「自民改憲案は、国権至上主義」 (週刊新社会)
講演する澤藤統一郎弁護士
東京都教育委員会は、卒業式等で"君が代"強制を強化する"10・23通達"(2003年)発出後、不起立・ピアノ不伴奏等教職員を延べ480人も懲戒処分にしてきている。
だが17年9月15日、処分取消第4次訴訟で田中聡史・都立特別支援学校教諭の「連続4・5回目の不起立」での減給処分取消判決を勝ち取り、「戒告→減給→停職」の機械的累積加重処分システムを、"減給超"については打ち崩している。
その原動力の1つになった「学校と地域をむすぶ板橋の会」が1月27日、東京・板橋区内で"君が代"強制反対集会を開いた(05年から毎年開催)。
始めに澤藤統一郎弁護士が、以下の3点を中心に講演した。
①安倍晋三首相の「第9条1項・2項を残し、3項に自衛隊を明記する加憲的改憲案」は、右翼のシンクタンク・日本政策研究センター代表の伊藤哲夫氏(改憲政治団体・日本会議常任理事)が機関誌『明日への選択』16年9月号で「(いわゆる加憲は)あくまでも現在の国民世論の現実を踏まえた苦肉の提案。まずはかかる道で『普通の国家』になることをめざし、その上でいつの日か、真の『日本』にもなっていくということだ」というのが種本。そして伊藤氏は、その狙いは護憲勢力の分断だ(自衛隊違憲論者と、専守防衛に徹する限り自衛隊は合憲と考える人たちとの間に、楔を打って分断する)と明言している。/安倍氏らは今国会中の改正原案発議を狙っており、勝負の年だ。
②都立学校教諭らへの減給以上の処分を「都教委は裁量権濫用で違法」と判じ取消した、12年1月の"君が代"第1次処分取消訴訟最高裁判決は、都教委・校長らによる起立強制は「教員の思想・良心を間接的に制約する」と認めつつ、「儀式的行事における儀礼的所作」に過ぎないから、「思想・良心への直接制約に当たらない」と言う(13年9月の第2次訴訟と16年7月の第3次訴訟の最高裁判決も同)。/これに対し、権威ある宗教学者がまとめた「儀式的行事での儀礼的所作が、思想・良心の自由を傷つける」という意見書を近く裁判所に提出し、違憲論を展開していく。
③12年の自民党改憲案3条第2項は「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と明記。これは、「人権」と「国権」との相克における、国権至上主義そのもの。「国家のために国民はある」とする人権なし崩し策動を絶対に許してはならない。
この後、大能清子・都立高校教諭が「自衛隊が戦車・戦闘機等のカラー写真満載(自衛官募集コールセンターの電話番号も明記)のカレンダーをクラス分、多くの高校(主に進路指導部宛)に持参している。軍事オタクの担任が教室に貼ってしまう恐れがある」と述べた。
元教科書編集者の池田剛さんは、関西地方で毎日放送が放映した番組で、育鵬社歴史"教科書"執筆者・伊藤隆東大名誉教授が同教科書の教育目的を「歴史教育なんてどうでもいい。左の方に行かない子どもを作るんだよ」と明言したと紹介。育鵬社"教科書"が教育目的でなく、特定の政治目的で執筆された事実が暴かれ、参加者からどよめきが起こった。
最後に五十嵐やす子板橋区議(生活者ネット)が14年5月、青少年健全育成地区委員会主催の「自衛隊横須賀基地でミサイル・魚雷・レーダー搭載、迫力ある護衛艦見学!」と題するバスハイクのビラを、板橋区のある地域センターの職員が作成し、館内掲示していた事案を紹介。参加者は地域への自衛隊浸透防止も大切だと語り合っていた。
『週刊新社会』2018年2月13日号6面掲載記事に、執筆者の永野厚男さんが加筆したもの。
~澤藤弁護士「自民改憲案は、国権至上主義」 (週刊新社会)
永野厚男・教育ジャーナリスト
講演する澤藤統一郎弁護士
東京都教育委員会は、卒業式等で"君が代"強制を強化する"10・23通達"(2003年)発出後、不起立・ピアノ不伴奏等教職員を延べ480人も懲戒処分にしてきている。
だが17年9月15日、処分取消第4次訴訟で田中聡史・都立特別支援学校教諭の「連続4・5回目の不起立」での減給処分取消判決を勝ち取り、「戒告→減給→停職」の機械的累積加重処分システムを、"減給超"については打ち崩している。
その原動力の1つになった「学校と地域をむすぶ板橋の会」が1月27日、東京・板橋区内で"君が代"強制反対集会を開いた(05年から毎年開催)。
始めに澤藤統一郎弁護士が、以下の3点を中心に講演した。
①安倍晋三首相の「第9条1項・2項を残し、3項に自衛隊を明記する加憲的改憲案」は、右翼のシンクタンク・日本政策研究センター代表の伊藤哲夫氏(改憲政治団体・日本会議常任理事)が機関誌『明日への選択』16年9月号で「(いわゆる加憲は)あくまでも現在の国民世論の現実を踏まえた苦肉の提案。まずはかかる道で『普通の国家』になることをめざし、その上でいつの日か、真の『日本』にもなっていくということだ」というのが種本。そして伊藤氏は、その狙いは護憲勢力の分断だ(自衛隊違憲論者と、専守防衛に徹する限り自衛隊は合憲と考える人たちとの間に、楔を打って分断する)と明言している。/安倍氏らは今国会中の改正原案発議を狙っており、勝負の年だ。
②都立学校教諭らへの減給以上の処分を「都教委は裁量権濫用で違法」と判じ取消した、12年1月の"君が代"第1次処分取消訴訟最高裁判決は、都教委・校長らによる起立強制は「教員の思想・良心を間接的に制約する」と認めつつ、「儀式的行事における儀礼的所作」に過ぎないから、「思想・良心への直接制約に当たらない」と言う(13年9月の第2次訴訟と16年7月の第3次訴訟の最高裁判決も同)。/これに対し、権威ある宗教学者がまとめた「儀式的行事での儀礼的所作が、思想・良心の自由を傷つける」という意見書を近く裁判所に提出し、違憲論を展開していく。
③12年の自民党改憲案3条第2項は「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と明記。これは、「人権」と「国権」との相克における、国権至上主義そのもの。「国家のために国民はある」とする人権なし崩し策動を絶対に許してはならない。
この後、大能清子・都立高校教諭が「自衛隊が戦車・戦闘機等のカラー写真満載(自衛官募集コールセンターの電話番号も明記)のカレンダーをクラス分、多くの高校(主に進路指導部宛)に持参している。軍事オタクの担任が教室に貼ってしまう恐れがある」と述べた。
元教科書編集者の池田剛さんは、関西地方で毎日放送が放映した番組で、育鵬社歴史"教科書"執筆者・伊藤隆東大名誉教授が同教科書の教育目的を「歴史教育なんてどうでもいい。左の方に行かない子どもを作るんだよ」と明言したと紹介。育鵬社"教科書"が教育目的でなく、特定の政治目的で執筆された事実が暴かれ、参加者からどよめきが起こった。
最後に五十嵐やす子板橋区議(生活者ネット)が14年5月、青少年健全育成地区委員会主催の「自衛隊横須賀基地でミサイル・魚雷・レーダー搭載、迫力ある護衛艦見学!」と題するバスハイクのビラを、板橋区のある地域センターの職員が作成し、館内掲示していた事案を紹介。参加者は地域への自衛隊浸透防止も大切だと語り合っていた。
『週刊新社会』2018年2月13日号6面掲載記事に、執筆者の永野厚男さんが加筆したもの。
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