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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「10・23通達」が国際社会で注目

2018年02月17日 | 人権
  《予防訴訟をひきつぐ会通信「いまこそ」から》
 ★ 国連自由権規約委員会の質問事項(List of Issues)で画期的成果
   ついに「10・23通達」が俎上に!


 国連自由権規約委員会は、昨年の11月24日に日本政府への質問事項(30パラグラフ)を発表しました。「日の丸・君が代」の強制に関わって注目されるのは、「10・23通達」が明記されたことで、これは画期的な成果です。
 国連自由権規約(別名・国際人権B規約)は、1966年の第21回国連総会において採択され、1976年に発効しました。この条約を日本が批准したのは1979年で、それ以来すでに6回の審査が行われ、現在7回目の審査にかかっています。
 その7回目の審査の質問事項のパラグラフ23(思想、良心および宗教的信念の自由、および表現の自由に関する一般的質問)とパラグラフ26(10.23通達に関わる質問)が特に注目される部分で、その内容は以下の通りです。
 (なお、パラグラフ23~26は思想・良心の自由等に関する1つのまとまりになっていて、24は慰安婦問題の報道などへの圧力、25は特定秘密保護法の問題が扱われています。)
 パラ23 前回の最終所見(パラ22)に関連し、あいまいで無制限な「公共の福祉」という概念を明らかにするために、及び、規約18条・19条の第3項で許容された限定された制限をこえて、思想・良心・宗教の自由、表現の自由の権利の制限に導かないことを保障するためにとられた方策に関して報告してください。
 パラ26 2003年の東京都教育委員会により発出された教員と生徒に対して10.23通達を強制するためにとられた措置と規約との整合性を説明してください。その措置には儀式において生徒の起立を強いているという申し立てと教員に対する経済的制裁も含まれています。」(下線は筆者。国連に障がい児の権利を訴える会・訳。)
 「日の丸・君が代」の問題は、前回の第6回審査(2014年)のリスト・オブ・イシューで初めて取り上げられました。しかし、以下のように、一般的な表現にとどまったため、政府や東京都が逃げる余地を残してしまいました。
 「教員及び学校教職員が、学校行事の際、国歌の起立斉唱を拒んだために、減給、停職及び解雇を含む制裁の対象となってきたという報告に関してコメントを願いたい。」
 今回は、東京の「10.23通達」を名指しで取り上げただけでなく、生徒の起立の強制や教員に対する経済的制裁についてクギをさしていることも重要です。
 第6回勧告以後、私たちは政府との1年に及ぶ対話における政府対応の問題点や子どもへの強制事実と言った情報提供を国連の関係機関に行ってきました。さらに、この質問事項を引き出すにあたって、「国際人権活動日本委員会」の果たした役割も大きいです。
 本委員会は、国連の人権条約に関わって活動を積み重ねてきたNGOで、この委員会を通して、JAL不当解雇撤回原告団・日本出版労連など9つの組織がレポートを国連の委員会に提出しました。「日の丸・君が代」関係では、東京から2団体・神奈川から1団体(注※)が参加しています。
 そのなかで、私たちの会は第6回勧告に対する政府対応の問題点と障がい児が「お尻を持ち上げるなど身体的暴力・心理的圧迫により起立を強要されている」実態を書き込みました。それらのことがパラグラフ26に反映されていると思われます。(なお、私たちの会は、「日の丸・君が代」の強制だけでなく、性教育の問題も訴えましたが、残念ながら、今回は取り上げられませんでした。)
 しかし、大きな前進ではありますが、たたかいはまだ端緒についたばかり、「10.23通達」がようやく土俵に載せられたという段階です。特に、私たちの主張について「申し立て」という表現を使っており、国連の委員会が、子どもへの起立の強制などを事実認定するにはいたっていません。
 委員会は、政府に報告を求めています。私たちの主張を事実と認定させ勧告をえる取り組みが求められています。さらなるたたかいに気を緩めてはなりません。
   (国連に障がい児の権利を訴える会・原田収)

 【編集者注※ 「東京・教育の自由裁判をすすめる会国際人権PT」、「国連障がい児の権利を訴える会」と、神奈川の「個人情報保護条例を生かす会」】
『いまこそ 15号』(2018年1月18日)

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