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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

『産経』歪曲報道2連発(その2)

2017年07月21日 | 平和憲法
 ◆ 『産経』の報道で安倍官邸は窮地に追い込まれる!
   皆さま   高嶋伸欣です


 国会の閉会中審査における加戸守行・前愛媛県知事の発言報道を口実にした『朝日』叩きをめざす『産経』の歪曲報道の(その2)です。
 1.先の(その1)では、『産経』の扇動に同調する動きが拡散中、と説明しましたが、『産経』自身がさらに扇動継続のキャンペーンに着手しています。
 それにしても、わずかでも手掛かりにできそうなものを見つけると強引にそれを『朝日』叩きに結びつけるという『産経』の執念の深さを、今改めて確認させられています。
 そのように言いたくなる程に、今回の『朝日』叩きは粗雑で、浅薄さが見え見えなのです。
 2.『産経』の東京本社版は朝刊だけです。17日朝刊の第1面では「加計学園・行政は歪められたのか?」という連載(上)を掲載し、「オピニオン」の6面では大型コラム「視線」で阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員が「行政が歪められた実例とは」という見出しの長文コメントを、掲載しています。
 3.何としても前文部科学事務次官の前川氏の主張を切り崩そうという意図が丸見えです。
 4.その意図を達成するための手掛かりとして『産経』が重視しているのが、(その1)で明らかにしたように、加戸守行・前愛媛県知事の発言です。
 5.上記の阿比留記者の長文コラムのタイトルは、同紙独自のインタビュー(6月15・16日掲載)で加戸氏が「政治が行政をゆがめた実例として昭和57年夏の『教科書誤報事件』を挙げている」ことに由来しています。
 6.『教科書誤報事件』は35年も前の事ですが、加戸氏は当時の文部省幹部でしたから、当事者としての拘りがあるのは分かります。けれども、阿比留記者が加計問題の議論の場で同事件への拘りを示すのは、不自然です。
 7.けれども同事件について『産経』がやってのけた詐欺師的歪曲報道「大誤報説」キャンペーンで、『朝日』叩きに成功していたことを思い起こせば、不思議ではありません。
 8.それは、35年前の教科書検定に関する小さな誤報を、『産経』が詐欺師的手法を用いることで”大誤報”へのすり替えに成功し、以来35年間、何かというとこのねつ造された「大誤報説」を持ち出しては、『朝日』などの報道や文科省の慎重な検定ぶりを批判する根拠にしてきたということです。
 9.この「大誤報説」自体、『産経』が事実を歪め、世間を惑わせている犯罪的な論理です。ただし、その欠陥はすでに明らかになっています。今の時点では「産経」文化人や同シンパの類の、一部の軽薄な人々以外には説得力を喪失しているしろものです。
 10 そのようないわば”賞味期限切れ”の詭弁を、またもや阿比留記者は、上記の大型コラムの後半部分を費やして展開しているのです。
 さすがの『産経』も『朝日』叩きの材料不足に窮しているのでしょう。そうとでも解釈しなければ、すでに化けの皮がはげて、説得力を喪失している話題を持ち出す理由が浮かびません。
 11.もっとも、阿比留記者は『産経』の紙面でこそ、今や飛ぶ鳥を落とすかのような羽振りですが、失態を繰り返していることが社外に知られている存在です。
 今回も、実は新たな失態を演じているのですが、その指摘は(その3)以後の話題として残しておくことにします。楽しみにお待ち下さい。
 12.ところで、ここで言う「大誤報説」の犯罪性などの問題点についての説明も(その3)以後の先送りにしたいと思います。
 なにしろ「大誤報説」の反社会性について説明するには、かなりの手間が必要になのです。それだけ「大誤報説」を組み立てた『産経』の詐欺師的手法は手が混んでいるということなのです。
 13.ここでは、(その1)に続けて、加戸氏の参考人発言は『産経』・阿比留記者がが言うほどに重要で、影響力のあるまともなものなのか、という本題について考えます。
 14.『産経』・阿比留記者は、前川前次官「首相官邸の意向によって『行政がゆがめられた』」との発言に反する報道に熱中してきました。そこへ「『歪められてきた行政が正された』というのが正しい発言ではないか」という加戸発言が登場したのです。
 15.「これはしめた!」と、鬼の首をとったのような勢いで、加戸発言への賛意を表明し、その我田引水の解釈を自分の紙面で好きなように展開するのは『産経』の勝手です。
 16.けれども、図に乗り過ぎて他者攻撃に加戸氏の一連の発言を使うということになると、そのままに見過ごしはできません。
 17.理由は簡単です。加戸氏は県知事になる前のに文部省など官房長などであった時の体験について、次のように露骨な発言をしているのです(前出の『産経』6月16日掲載、インタビュー記事)。
 18 「無理無体であっても、政治が優位であって行政は下なんですよ。大臣の下に事務屋がいる。どんなに無理なことでも、大臣が言うことは従うべきだ。教科書騒動のときも悔し涙を流しましたよ。政治の思惑なんて見え見えだったが、行政の筋が曲げられたとは思っても言いませんでした。それが役人の矜持ですよ。
 『総理の意向』という言葉は事務方レベルでは使います。私なんか文部省の現役時代は『大臣の意向』とか、『事務次官がこう言っているぞ』とかハッタリをかませました。虎の威を借りないと役人は動かないのですよ」と。<加戸守行・前愛媛県知事>
 19.「語るに落ちる」とは正にこのことではないでしょうか。前川氏が言う「官邸筋」に当たる和泉補佐官や萩生田副官房長官などが「虎の威」を借りて「総理の意向」という言葉を使ったのではないか、という可能性が大いにあるとの『朝日』『毎日』『東京』などの」報道を、加戸氏さらに裏付けている発言にほかなりません。
 20.にもかかわらず、『産経』はとくとくとして、この「不都合であるはずの加戸発言」を紙面に掲載したのです。
 21.それだけではありません。加戸氏は10日の参考人発言で「私は霞が関で三十数年生活した。省庁間折衝では激しい言葉も使い、虎の威を借る狐のような発言もあった」と、明言しています。「虎の威を借るような発言」で、他省庁の行政をゆがめることを加戸氏自身がやってのけた、と自白しているのも同然です。
 閉会中審査の場でこのような発言をすれば、安倍首相など官邸筋を窮地に追い込むということに、まるで気づいていないのが、加戸氏です。
 22.それ以上に間抜けなのが、『産経』です。参考人発言の上記の部分を、『産経』は11日朝刊第3面の本記の記事と第5面の「詳報」欄の両方に、詳しく引用して掲載しているのです。
 『産経』にとって最も不都合な発言であると気づいていないのであるならば、それが現在の『産経』の知的レベルを示しているのだと思います。
 23、ちなみに『朝日』は、加戸発言のこの部分について全く関心を示していません。『朝日』の記者のレベルダウンも、つとに指摘されているところですから、「さもありなん」です。
 24、それにしても、『産経』や官邸にとって最も不都合な発言に『朝日』が気づいていないのですから、その状況がそのままに維持されることこそ『産経』には望ましいはずです。
 にもかかわらず、『朝日』に「加戸発言の重要性をもう一度見直せ!」とばかりにの喧嘩を、わざわざ仕掛けているのが『産経』の阿比留記者たちなのです。
 阿比留記者たちは、自ら墓穴を掘っていることに気付いているのでしょうか。

 25.なお本題に戻りますが、上記18と21にに引用した加戸知事の発言について言えば、前川氏は、加戸氏と異なり退官後になってからですが、ことの悪質さ、重大さを知るに及んで、加戸氏流の「矜持」をかなぐり捨てて、主権在民、三権分立の原点に立ち、官邸によって「行政がゆがめられた」事実の告発に踏み切ったことになります。
 26.加戸氏の発言は結局のところ、愛媛県の行政の立場からの要望を10年間拒否し続けられたという点で「ゆがめられた行政が正された」という、愛媛県知事としての評価に、問題を矮小化したものでしかありません。
 27.加計問題の焦点の一つは、首相の個人的な知人である私学の責任者に便宜を図ることで「行政がゆがめられた」のではないかということです。
 この点について、加戸氏「安倍晋三首相と加計学園の理事長が友達だったと知ってたら、直訴しても10年前に獣医学部を作っていますよ」云々と、臆面もなく語っています(『産経』6月15日)。
 安倍首相に直訴して、政治力で「行政をゆがめ」させたというに等しい暴言です。
 28.それに、安倍首相と加計学園の理事長が親友であることに気付くのが遅れたのは、その程度の情報収集能力でしかなかったと自ら明らかにしているにすぎません。
 このでも、それを自慢げに長々と語っているのが加戸氏で、それをそのまま紙面に掲載しているのが『産経』です。
 29.加戸守行氏の言動は、このように矛盾点だらけです。その上、暴言を繰り返しています。
 『産経』はこうした問題点に気付いていないとしか思えません。

 30.このままでは、7月24・25日に開催と言われている閉会中審査の予算委員会で、これらの『産経』記事を根拠に官邸側が苦しい立場に追い込まれるのは必至と思われます。
 31.ともあれ、『産経』の加戸発言翼賛報道の破綻は明らかです。にもかかわらず、『産経』はそうした矛盾点については知らぬふりをして、歪曲報道を演じていることになります。
 32.そのことに気付かせてくれたのが阿比留記者の前出コラム「視線」です。
 小細工の様子を明らかにするのには手間がかかりますが、『産経』ウォッチャーとしては、やはり「オモシロイ新聞」です。
 *(その3)では、阿比留記者が上記コラムで『朝日』叩きに再利用した「大誤報説」の詐欺師的手法についての説明を予定しています。
 *前出のように、加戸氏のインタビューの詳しい記事が『産経』の6月15・16日の紙面に掲載されていたと、私(高嶋)に思い出させてくれたのは、上記17日の阿比留記者の大型コラムの注記によってでした。
 そのおかげで、この(その2)の筋立てが可能になったという次第です。
 この点では、素直に阿比留記者に礼を述べておきたいと思います。
 「ありがとうございました」と。
 ついでにもう一言。「『産経』ウォッチャーにとって、『産経』はやはりオモシロイ新聞です。これからも楽しみにウォッチします」と。
   以上 今回も長くなりましたが  文責は高嶋伸欣です     
      拡散・転送は自由です

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