学術会議任命拒否の「理由」
◆ 不開示は違法
6人ら審査請求 (週刊新社会)
日本学術会議の会員人事を巡り菅義偉首相が昨年10月1日に任命拒否した6人を含む学者や弁護士ら約480人は8月20日、任命拒否の理由を明らかにするよう求めた情報開示請求が認められなかったのは違法だとして、行政不服審査法に基づく国の処分の取り消しを求める不服審査請求を行った。
6人の学者と弁護士らは今年4月、内閣官房と内閣府にそれぞれ文書の開示を求めたが、「情報を保有していない」「人事に支障を及ぼす」などの理由で不開示とされた。
昨年12月、国会に出された杉田和博官房副長官と内閣府のやりとりの文書の一部には、「外すべき者(副長官から)」と書かれ、それ以外は黒塗りだった。
任命拒否に関し、6人は自身に関する個人情報の開示を、弁護士らのグループは行政文書の開示を求めている。
不開示決定が維持された場合、行政訴訟を起こす構えだ。
元裁判官や元検察官が入る総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」が、不開示が妥当かどうかを第三者的な立場から審議する。
学者・弁護士は審査請求書提出後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見、学者6人のうち岡田正則早稲田大学教授と小澤隆一東京慈恵会医科大学教授が会見に臨んだ。
岡田教授は、「国会に文書の一部が提出されているのに保有しないとするのは、廃棄したか隠しているのではないか」と指摘、「(不開示は)法的にも、社会常識からも許されないことで、この機会に是正しなければ大きな禍根を残す」と述べた。
小澤教授は、「違法な任命拒否の過程が明らかになることが、民主主義にとって極めて大事だ」と述べた。
憲法23条が規定する「学問の自由」は、日本学術会議法が担保し、そのことは、中曽根康弘首相(当時)の1983年の国会答弁「政府が行うのは形式的任命に過ぎない。学問の自由、独立はあくまで保障される」が端的に示す。
菅首相は6名の任命拒否について「総合的、俯瞰(ふかん)的判断」など意味不明の発言を繰り返した。
菅内閣が国民に説明できないこと、そして学術会議法の解釈を国会に諮らずに変える暴挙で人事権に踏み込んだのは、戦争協力した苦い反省に立つ学術会議設立の原点と、3度の「軍事研究はしない」との声明を破棄させ、学者・研究者を軍事研究に協力させる意図があるからだ。
そのことは、昨年11月17日の参院内閣委で井上信治・科学技術担当相が答弁で、「研究成果が民生と軍事の両面で使われるデュアルユース(軍民両用)について検討するよう学術会議の梶田隆章会長に伝えた」と述べたことからも明らかだ。
『週刊新社会』(2021年9月7日)
◆ 不開示は違法
6人ら審査請求 (週刊新社会)
日本学術会議の会員人事を巡り菅義偉首相が昨年10月1日に任命拒否した6人を含む学者や弁護士ら約480人は8月20日、任命拒否の理由を明らかにするよう求めた情報開示請求が認められなかったのは違法だとして、行政不服審査法に基づく国の処分の取り消しを求める不服審査請求を行った。
6人の学者と弁護士らは今年4月、内閣官房と内閣府にそれぞれ文書の開示を求めたが、「情報を保有していない」「人事に支障を及ぼす」などの理由で不開示とされた。
昨年12月、国会に出された杉田和博官房副長官と内閣府のやりとりの文書の一部には、「外すべき者(副長官から)」と書かれ、それ以外は黒塗りだった。
任命拒否に関し、6人は自身に関する個人情報の開示を、弁護士らのグループは行政文書の開示を求めている。
不開示決定が維持された場合、行政訴訟を起こす構えだ。
元裁判官や元検察官が入る総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」が、不開示が妥当かどうかを第三者的な立場から審議する。
学者・弁護士は審査請求書提出後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見、学者6人のうち岡田正則早稲田大学教授と小澤隆一東京慈恵会医科大学教授が会見に臨んだ。
岡田教授は、「国会に文書の一部が提出されているのに保有しないとするのは、廃棄したか隠しているのではないか」と指摘、「(不開示は)法的にも、社会常識からも許されないことで、この機会に是正しなければ大きな禍根を残す」と述べた。
小澤教授は、「違法な任命拒否の過程が明らかになることが、民主主義にとって極めて大事だ」と述べた。
憲法23条が規定する「学問の自由」は、日本学術会議法が担保し、そのことは、中曽根康弘首相(当時)の1983年の国会答弁「政府が行うのは形式的任命に過ぎない。学問の自由、独立はあくまで保障される」が端的に示す。
菅首相は6名の任命拒否について「総合的、俯瞰(ふかん)的判断」など意味不明の発言を繰り返した。
菅内閣が国民に説明できないこと、そして学術会議法の解釈を国会に諮らずに変える暴挙で人事権に踏み込んだのは、戦争協力した苦い反省に立つ学術会議設立の原点と、3度の「軍事研究はしない」との声明を破棄させ、学者・研究者を軍事研究に協力させる意図があるからだ。
そのことは、昨年11月17日の参院内閣委で井上信治・科学技術担当相が答弁で、「研究成果が民生と軍事の両面で使われるデュアルユース(軍民両用)について検討するよう学術会議の梶田隆章会長に伝えた」と述べたことからも明らかだ。
『週刊新社会』(2021年9月7日)
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