徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

どぶろく

2019年10月19日 | 趣味

最近面白い本に出合った、著者:永田十蔵氏は同郷の福岡の人で麹屋(今は廃業)のご長男。

日本には悪名高い酒税法なる法律があって、先進国で唯一自家製酒を禁じている。最近は若干法律の緩和がありアルコール1%未満の果実酒や、どぶろく製造特区なども認められつつあるが、いまだに法律上は勝手に酒を造る密造は100万円以下の罰金か10年以下の禁固刑となっている。これは日露戦争の時に戦費を確保するために飲兵衛から金を徴収することで始まった法律で、当時は国家税収の三分の一を占めていたが、今では全税収の1%以下の比率になっているので消費税10%と引き換えに自家製酒を解禁しろって、誰か参議院に立候補しろよ(^ω^)/

ということで、本ブログで大っぴらに密造酒を作ってる、なんてことは書け無いわけだし、わたしゃそんな事は決して致しませんよ。とは言うものの、どぶろく造りってちゃんとした知識があれば簡単にうまい酒が出来る らしい...

どぶろく造りに必要な材料は米と水と酵母と麹。米と水は誰でもわかると思うけどさて、酵母と麹って何でしょう?酒には醸造酒と蒸留酒があるがワインやビールなどの醸造酒のアルコール度数はせいぜい10%くらいなのに対して、日本酒は蒸留酒並みの20%のアルコール度数を達成してる。この秘密が酵母と麹による並行複発酵と呼ばれる東アジア特有の醸造方法にある。

酒=エチルアルコールな訳ですが、すべての酒のアルコールは酵母が作る。酵母が糖をアルコールと水と炭酸ガスに分解する。世界中にいろんな酒があるがこの部分は全て同じです。違うのは糖化の過程。ワインは最初からぶとう果汁の糖分を発酵するから糖化過程は無い。ビールは麦芽のアミラーゼで糖化する。人類最初の酒は口噛みの酒といわれているが口で噛んで唾液のアミラーゼで糖化を進める。さて、日本酒はというと麹ですね。麹は米などに麹菌を付けて培養したもので産生物としてアミラーゼを含んでいる。ちなみにアミラーゼというのは酵素で澱粉を液化するαアミラーゼ、糖に分解するグリコアミラーゼ等があり麹はその両方を含んでいる。この麹さえあればどぶろくは簡単にできる。

まず米を蒸す。電気釜で炊かずに蒸すのは糖化速度を抑えてアルコール発酵を持続するためで、蒸すのと炊くのとでは出来上がりが全然違う。ただし、蒸すのに40分もかかるし蒸器もいるので僕の場合は圧力釜で蒸す。これだと加熱時間3分+余熱で完全に蒸しあがる。その蒸米(1.5kg)とミネラルウォーター(4L)とイースト(3g)と麹(500g)を滅菌したガラス瓶に入れるだけ。あとは2-3週間ほっておけば酵母と糖化酵素が働いて豊潤・端麗などぶろくが出来上がる らしい(´・ω・`)  この”ほっておく”というのが大事なところで、決してかき混ぜすぎてはいけないのです。先に書いた並行複発酵というのは糖化と発酵を同時並行的におこなう醸造法で糖化が進みすぎると糖濃度が上昇して高糖圧迫という状態になり発酵が止まってしまう。ゆっくり糖化を進め酵母に十分な時間を与えて発酵させるんですね。

よくどぶろく造りで失敗した、なんて話があるが安定した酒作りのキモは初期のアルコール濃度にある。アルコール消毒するように細菌はアルコールでリン脂質の細胞壁が解けてしまい死滅する。どぶろくも仕込んで素早くアルコール濃度が上がれば雑菌は繁殖する余地がない。このためには優良な酵母(イースト)を適量スターターとして投入することです。酒作りに凝りすぎて天然酵母を期待する、なんてことをすると失敗する。ただし、清酒酵母は素人には手に入らないので当面はパン用のイーストを使っている。

今後のテーマは酒蔵から吟醸酒の生酒粕を入手して吟醸酵母の純粋培養をする事と麹の自家製造です。麹は買うと1kg;1000円以上するが自分で麹菌を撒いて作れば米代で出来る。ちなみに、麹の自家製造は完全に合法ですぞ。幸いにも温調付き燻製箱があるので、あれを流用すれば麹培養に使えそう。

 

 

 


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