酒井治が描いたエメラルドグリーンを覚えていらっしゃるでしょうか。
彼が北欧に行って描いた作品の中にエメラルドグリーンを使用した絵が何枚かあります。あのエメラルドグリーンの風景に会いたくて遺作展の後、私も北欧に行ってきました。
深い緑の針葉樹と氷河の溶けた水が川をつくり海に流れる大自然の風景。美しかったです。でも、自然の色はエメラルドグリーンではなく、ダークグリーンでありダークブルーでした。自然は日によっても天候によっても日々色を変えていますから、一概には言えません。
しかし、酒井治は水の色をあえてエメラルドグリーンにしたように思えてなりません。美しいノルウェーの風景をエメラルドグリーンで表現したかったのでしょう。
話はそれますが、今、佐渡裕の「僕が大人になったら」の本を読んでいます。佐渡裕さんは世界で活躍している指揮者です。この本を読んでいるとクラシックの音楽が実に素晴らしく楽しいものであるか、クラシックに関心のない私でもクラシックを聴いてみたいなぁという気持ちになります。
酒井治はよく絵を描くときにクラシックのCDをかけながら絵を描いていました。あの北欧を描いた時にはどんなクラシックの曲を聴いて描いていたんだろうかと、作品を見ながら思いを馳せています。