ジェーン・オースティン「説きふせられて」
とうとう「説得」です。
最後の長編です。
今回のヒロインは准男爵の娘アン・エリオット。アンは既に27歳という婚期を逃した少し幸薄い女性の印象ですが、そんな彼女にもかつては婚約者がいたのです。でもその時は周囲の反対にあって結婚を断念。以来、恋愛とは無縁の田舎暮らしを続けていました。そんな彼女の前にかつての婚約者であるウェントワーズ大佐が登場。元カレは海軍で拿捕賞金でかなり儲けているらしくずいぶんと立派な身になっているのですが、彼女への気持ちはどうなのでしょうか?
没落する貴族として描かれるエリオット准男爵が、屋敷を人に貸して(貸す相手というのが海軍提督でウェントワースの親戚というわけ)バースに引っ越さざるをえない状況と、「マンスフィールドパーク」ではあれだけ貧乏臭く書かれていた海軍さんが、ここではえらく羽振り良く書かれているのが面白いところ。
オースティン6長編の中で、アンは一番地味かな。物語りもさほど大きな展開も無く進むのですが、ちゃんと腹黒い奴も登場して退屈はさせません。
岩波文庫版の訳はちょっと古くて硬いぞ。
もっと読みたいな、オースティン。