リチャード・フラナガン「姿なきテロリスト」
うーん・・・・。久方ぶりに完全失敗の読書でした。
冒頭の一節で
「愛が十全ではないことを理解し、周囲の人々の未来を拓くために自らの命を犠牲にすることを受け入れた点において、イエスは歴史上初の、しかし最後ではない、自爆テロリストの一例なのだ。」
とくれば、タイトルからもテロの本源に踏み込む新たな世界観を与えてくれると期待したのですが・・・、違いました、私が悪うございました。
9.11以降、より日常のものとなったテロリズムの恐怖。いつ自分が、家族が巻きこまれるのかという不安感をもっと進めて、あるひ突然自分がテロリストとされてしまったら!というのが本書の筋書き。主人公はストリップバーで働くダンサー。夜を共にした男が、テロの容疑者だったもんだから・・・・。その日から始まる逃避行。追い討ちをかけるTVレポーター、責任を絶えず回避しそのくせ点数稼ぎがしたい治安当局・・・・・。唯一この事件に疑問を抱くギリシャ人警察官の声は無視され、彼女は最後の手段に出る・・・・。
あらすじだけ見ると、「逃亡者」や「二キータ」みたいな映像化が期待できそうなのですが、とにかくページを繰るのが億劫、億劫・・。風光明媚なシドニーの街の陰の部分や、今だはびこる人種差別などをまぶして単なるエンターテイメントじゃない!と言うのは分かるのですが・・・・。
面白くないから読了にやたら時間がかかってしまいました。なにか美味しいチラシ寿司に仁丹が入っているような読後感です。完敗!
そもそも帯びに入ってた「ロンドン」という文字に騙された私が悪いのです。
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