アレクサンドル・デュマ「モンテクリスト伯」
ジェーン・オースティンの時代、対岸のフランスでは・・・と見てみると、そこにはナポレオンが君臨し、イギリスは彼の力を削ぐべく大陸封鎖を続ける日々。制海権を握るイギリス海軍はホーンブロワ艦長をはじめ封鎖任務を続けフランスへの物流を妨害・・・。こうした抵抗により皇帝となったナポレオンも次第と力を失いエルバ島に流されてしまうのですが・・・・・。ここでナポレオンはへこたれない。今一度権力を自分に委ねよとエルバ島を脱出しパリを目指すことに・・・・。
ここからがお話のスタートです。
「岩窟王」です。でも、最後まで読んだ記憶はないなあ・・・。
7分冊の岩波文庫版、ガッツリ系読書にぴったりな分量ですが、世の評判に違わず面白さ満点の物語ですね。
有能な船乗りダンテスは、その光ある前途に嫉妬する若者たちによって陰謀がでっち上げられ、そして保身に注力する検事によって冤罪を帰され監獄に入れられてしまう。そこを出る時は死んだ時だけだと言われる監獄からの決死の脱出、監獄で出合った司祭から教えられた財宝の発見・・・。大金持ちとなったダンテスはモンテ・クリスト伯と名乗り、かつて彼を陥れた輩に次々と復讐するためにパリの社交界に登場するのでした。と、誰でもが知っている展開ですが、ここまで多角的、重層的な復讐を行っていたとは初めて知りましたよ。いきなり本人の前に現れて、「はーい、僕ダンテス、仕返しだよ!バキューン!」ではないのだ。本人はもちろん、妻子や両親までも巻き込んでの復讐劇には、読者としてちょっと引いてしまう場面も・・・。でも、ダンテス自身もここでは引いてしまい(行き過ぎではないだろうかと自問するのですね・・)、かつて自分が受けた悲劇をあらためて検証し、復讐の正当性を評価するくだりはなかなかのもの。自殺に追いやる、発狂させる、恐怖に打ちのめす・・・。良い子のみんなは真似しちゃダメですよ。
ダンテスの見つけた財宝も超ド級ですが、そのお金の使い方も半端じゃない。復讐される側も皆さんとっても出世なさっている。戦争での功績で伯爵となった者、銀行家として大成功し男爵となった者、検事総長として上りつめた者。
かつての許嫁メルセデスと単純によりを戻さないところもいいよね。若く絶世の美女であるエダと遠く旅立つっても男のロマンだよね。
最後の言葉
「待て、しかして希望せよ!」
追い詰められた日本人にちょっと合う言葉か・・・。
くどくど考えず、今一度スケールの大きなこの作品を読んでみないか!
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