英国的読書生活

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無敵艦隊!

2008-03-24 | イギリス

「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

公開終了間際、滑り込みセーフでした。観客は私を含めて4人だけ・・・。まさに王様のように席を占領し、足を投げ出しての鑑賞です。
前作「エリザベス」の続きを同スタッフ、同キャストで綴った作品です。奔放な愛人関係が大きく取り上げられていた前作に比べ、今回はかなり枯れた美しさが光る演出となっているようです。
カトリック教徒の統治は依然困難を極めており、スコットランド女王メアリー一派がめぐらす陰謀も、絶えず付きまとう暗殺の恐怖とあいまって、エリザベスの周囲で具体性を帯びてきます。そういった中、新大陸での利権に野望を懐くウォルター・ローリーとの出会いがあり、束の間の安らぎを見出そうとするエリザベス。このローリー卿との関係もひたすら控えめに描かれています。
そしてついに企みが露見して、メアリーは断頭台に・・・。絶好の口実を得たスペイン王フェリペ2世は無敵艦隊をイングランドに向わせます。この無敵艦隊を迎え撃つあたりは、ちょっと脚色がすぎる感じが・・・。ローリー卿が焼き討ち船を自ら仕向ける・・・なんてわけはない!なんか、一度の海戦で無敵艦隊が全滅しているように描かれていますが、アルマダ海戦としてしられるこの戦いは、小規模な海戦が断続的に続いた後、戦意を失ったスペイン艦隊がイングランド上陸を諦め、スコットランド周りで帰港しようとした途中、アイルランド沖での度重なる暴風雨と疫病の発生でボロボロになって壊滅したというのが史実です。火船を使っての攻撃は実際カレー沖海戦でイングランド軍(海賊、商船の寄せ集めですが)によって採られた作戦でした。当時の船は当然木製で、水漏れを防ぐためタールを塗りたくり、火薬を大量に積み込んでいるわけですから、まさに火気厳禁。風向きさえ味方につけれれば、焼き討ち船は有効な攻撃手段だったようです。
まあ、そんなことはどうでもよく、ひたすら美しさと強さを併せ持つエリザベスを堪能できる映画です。ケイト・ブランシェットは女王である孤独感と使命感をよく演じていたと思います。評判どおり衣装は素晴らしく、ロケセットと照明の演出も史実と伝説が織り成す物語をうまく引き立ててていました。

写真は一番気に入ったシーン。タイルで描かれた床のヨーロッパ地図の上で無敵艦隊を迎え撃つ覚悟を決めるエリザベスです。


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