~聴覚障害6級~

話せる。歌える。
聞こえているけど聞き取りにくい。
感音性難聴者が適当に呟きます。

いか八朗さん

2014年06月18日 | 雑記
映画「テルマエ・ロマエ」にて、平たい顔族で出演していたいか八朗さん。

知名度はさしてないけれど、味のある役者さんです。

最近は、CMに出演しているのを見掛けました。

私が応援しているタレントの主演ドラマ「ダークシステム恋の王座決定戦」にも、何話か出演していました。

144センチの小さくて可愛いおじいさんです。


ドラマを観ていて、気付いたことがありました。

いか八朗さんは演技中も補聴器をしているのです。

しかも、ちゃんとした補聴器ではなく、通信販売でよく販売されている集音器。

たぶん、オムロン。

80才とのことなので、加齢によるものかな~と憶測。

ドラマで補聴器をしたまま演技しているのを見たのは、
もしかしたら初めてかもしれません。

コメディで深夜ドラマのゆるーいストーリーだから、したままだったかもしれない。


で。

先日、いか八朗さんがバラエティ番組に出演していた時のこと。

スタジオだったので、補聴器ではなく、
片耳にイヤホン(イヤモニと呼ばれるものだと思う)をつけていました。

生放送のアナウンサーなどが付けているものだと思います。

アナウンサーは、そのイヤホンから指示も入ったりするのでしょうが、
いか八朗さんのイヤモニの役目は、
他の出演者の声が聞き取れるように配慮されたものなのかと思いました。


が。

芸人さんが話しを振ってくれるものの、「えっ?」と聞き返す、いか八朗さん。

聞き返した時の芸人さん達の反応は、私が聞き返した時の相手と本当に同じ。

聞き返した時の反応って、ホントにみんな同じなんです。

反応と言うか、空気と言うか。

「なんで聞こえないの?」「人の話しを聞いてないの?」
「もしかして話しが理解できないの?」「もしかして頭悪いの?」「馬鹿?」的な。

そんなこと思ってないと言うかもしれないけど、
一瞬の表情から相手の心理を瞬時に読み取るプロでもあるんです、
難聴者って。

振った話しに対して、機転ある受け答えをする人を「頭の回転がいい」と評価されるでしょ。

勿論、そういう人は本当に頭の回転がいいわけだけど、
聞き返す時点で、頭の回転が悪いと評価されるわけだからね。

難聴者は会話において、瞬発力がなさすぎだから、
頭の回転が悪い(頭が悪い)って解釈されてしまう。

日々、頑張ってきたことも、聞き返すことで、一瞬にして駄目になる場合もある。


何度か聞き返した時の、いか八朗さんに対しての周りの反応が、
自分が聞き返した時のそれとダブって見えて、少し切なかったです。

いか八朗さんのキャラで、振った話しにとんちんかんな受け答えをしても、
それがまた、いい感じになったり、テロップで補足してあったりしましたが。


補聴器を研究している会社でさえ、

「『えっ、えっ』と繰り返し尋ねられると、『あの人と話すのは面倒』と離れていく」。

なんて、説明がありますからね。


だから、聞き返すのが怖くて、聞き取れないままになってしまうことがあるわけで。

難聴者は、なまじ「聞こえている」側にいるので、
そのあたりのメンタルが、時々、きついこともあります。


手話などで聾の方を助けたいと言う気持ちを持つ人は多いと思うけど、
聞き返す人を助けたいと思う気持ちを持つ人は、ほとんどいないよね…。