マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ドビュッシーの前奏曲集第1集より

2024-01-25 00:50:23 | ラ・プロムナード・ミュジカル
28日の第67回プロムナード・コンサートで演奏する曲について、ショパンのワルツとグリーグのピアノ・ソナタについては、先日のミュジカポール・コンサートの曲目解説で記載したので、そのリンクを張っておきます。

さて、それ以外の曲ということで、ドビュッシーの前奏曲集第1集から2曲。
ドビュッシーの前奏曲集は1集、2集、合計で24曲ありますが、ショパンの前奏曲集のように、24調すべての調性で書かれているわけではありません。
ドビュッシーが、「印象主義」と呼ばれる作風をピアノで確立したのは「版画」でしたが、それをさらに発展させて、完成の域まで達したのが、この前奏曲集と言えるでしょう。
即興的性格を持ち、モティーフを展開しない前奏曲と言う形式は、ドビュッシーには好都合だったようです。
印象派の絵画を思い起こさせるような作品だと思います。
第1集は、1909年12月から10年2月にかけて作曲されています。
タイトルとして記載していますが、曲の終わりに記載されているので、タイトルにこだわらないで欲しいのか…であれば、なぜタイトルもどきを記載したのか…という疑問が残りますが、ドビュッシーのみぞ知る…ということで。

第6曲 雪の上の足跡
この曲の前の第5曲が明るく爽やかな曲なので、この第6曲はいっそう演奏しづらいというか、理解しにくいというか、そんな曲なのです。
開始部分に「悲しげに遅く」とあり、さらに「このリズムは、悲しく冷たい風景を背景に、よく響く音を持たなければならない」と書かれていて、よくわかったようなわからないような文ですが、雪景色の寒々とした何とも表現しがたい寂しさを感じさせる曲です。
強弱記号は、ほとんどp(ピアノ、弱く)とpp(ピアニシモ、とても弱く)です。

第7曲 西風の見たもの
アンデルセン童話「パラダイスの庭」による題名です。
西風が見た物を語る、という設定ですが、フランス人にとって、西風は激しい風の代名詞とも言えるもので、嵐を描いた風景画を思いこさせます。
第1集の中で、最も音響的に充実した曲で、技術的にも難しいです。


第67回プロムナード・コンサートのお知らせ

2023-12-16 17:43:09 | ラ・プロムナード・ミュジカル
1月は、ミュジカポールとプロムナードの開催月が重なってしまうので、ちょっと忙しくなります。
第67回プロムナード・コンサートは1月28日(日)10時からです。
姫路のホール予約開始は、アクリエに関しては13か月前で、他は11か月前なので、横浜の6か月前よりはるかに早く決定することになります。
曲目は、横浜で演奏するショパンのワルツと、グリーグのソナタに加えて、連弾とポピュラーな曲をプラスして。
今年は、名のあるアーティスト達が亡くなったので、そのオマージュとして、前2回は坂本龍一氏の曲を取り入れましたが、1月は谷村新司氏の「昴」を弾いてみようかと思っています。
まだ取り掛かれていませんが、ピアノ曲として盛り上がるようにしようと思っているところ…。
いずれにしろ、自分自身もいろんな曲を弾くということは楽しんでいますね。

第67回プロムナード・コンサート
2024年1月28日(日)10:00~11:30(開場9:45)
姫路市文化コンベンションセンターアクリエひめじ 小ホール
入場料無料




第66回プロムナード・コンサート終了しました

2023-10-23 02:06:39 | ラ・プロムナード・ミュジカル
お天気にも恵まれて、お出かけ日和になった日曜日、午前中に第66回プロムナード・コンサートは終了しました。
ご来場くださった方々、ありがとうございました。
姫路市の広報のインスタやXなども効果があったのか、たくさんの方にいらしていただいて、感謝です。
今回は、戦場のメリークリスマスやタイム・トゥ・セイ・グッバイなど少しポップス調の曲もあり、よりお楽しみいただけたかと思います。
演奏する方も、いい音響のホールでいいピアノで、気持ちよく演奏できました。
今回の出番は、連弾もあって3回。
ドレスは、連弾は昨年の2台ピアノのコンサートできた黒に花柄のオーバースカートので、その後のソロは、ゴールドのオーバースカートにしました。
 
ステージの床が黒いので、黒いドレスはあまり目立ちませんが、引き締まって見えるのはいい…。

後半のドレスが、今回の新作。
古い着物をスカート部分にして、上は、夏物の白いレースのチュニックを使いました。
半袖だけど、生地が意外に暑く、着る機会がほとんどないので、そうだ!ドレスだ…と。
ファスナーをつけるために後ろの中心を切ったので、幅が狭くなるのを、着物地で足しました。
…で、後ろにリボンにしてみた…。
着物は、小学生の頃から母のお箏のコンサートに駆り出されて出る時に、多分母の若い頃のを着さされたような気がするので、それだったかも…。
でも、柄域や色合いが気に入ったので、虫食いやシミがあったけど、根気よく探してその部分は切って使いました。
柄がごちゃっとしているので、揃ってなくても問題なかったし。
オレンジ系は私に合ってるかも…。

ドリンクを飲んだり、痛み止めを飲んだりして頑張ったからか、さすがに午後は眠くなったりしましたが、やることがいろいろあるので、なんとか頑張って洗濯をしたり片付けをしたり荷物をまとめたり…。
母の病院に寄るため、明日帰るので、ちょうど分別ゴミの日になり、捨てるものをまとめたりもあって、気がつけば日付を越して…。




ドヴォルザークの連弾曲

2023-10-22 00:04:51 | ラ・プロムナード・ミュジカル
明日のプロムナード・コンサート、最初に演奏するのは連弾で、ドヴォルザークの曲から2曲です。

以前、ミュジカポール・コンサートのブログにアップしたもののほぼ転載です。

ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 第2集 第2番 ホ短調 作品72-2
ドヴォルザーク(1841~1904)は、ロマン派後期チェコの国民楽派の作曲家で、同時代の作曲家としては、1歳年上のチャイコフスキーや2歳年下のグリーグなどが有名です。
様々なジャンルの曲を作っていますが、ドヴォルザークと言って思い浮かぶのは、「遠き山に陽は落ちて~」と歌う「家路」ですね。
これは、交響曲第9番「新世界より」の第2楽章の主題で、ドヴォルザークの弟子のフィッシャーが、合唱曲に編曲したものです。
国民楽派というのは、19世紀後半になって、自国あるいは自分の民族の持つ特質や性格を尊重しようという作曲家たちのことで、音楽の中心地フランス、イタリア、ドイツ、オーストリアなどから、音楽後進国と言われるロシア、ボヘミア、スペイン、北欧諸国などの周辺の国へと広がって行ったことを表しています。
さて、ドヴォルザークは4手連弾曲もたくさん作っていて、36歳の時のスラブ舞曲集第1集は、ドヴォルザークの名を全世界に広め、チェコ舞曲の代表作として愛好されるようになりました。
第1集の成功に気を良くした出版社は、ドヴォルザークに第2集を作るよう働きかけ、初めは気乗りしなかったものの、1886年に意欲が沸き上がり、一気に書き上げたのでした。
第1集よりさらに表情豊かな作品となっています。
第1集、第2集ともに、管弦楽用にも編曲されています。
今回演奏する第2集作品72第2番ホ短調は、非常に優美な曲で、クライスラーのヴァイオリン独奏用にも編曲され親しまれています。
ほのかな憂愁と感傷の漂う甘美なメロディで始まり、途中にはマズルカ的な軽快な部分を含みつつ、複合3部形式でまとめられています。

ボヘミアの森より 第1曲 糸紡ぎ 作品68-1
1883~84の作曲。
ボヘミアとは、チェコの西部、中部地方を中心とするその周辺地域の歴史的地名です。
この曲についてのデータはあまりないのですが、6曲から成る曲集で、非常に詩的に作られていて、ボヘミアの森が想像できそうな音楽となっています。
今回演奏するのは第1曲糸紡ぎで、軽快に糸紡ぎをする様子を描いているのでは…と思います。
ドヴォルザークは、その当時の様々なピアノ技法を、非常に効果的に取り入れていて、演奏効果を上げています。
どの曲も素晴らしく、いずれ全曲弾いてみたいと思っています。


第66回プロムナード・コンサートの演奏曲について2

2023-10-22 00:01:01 | ラ・プロムナード・ミュジカル
前半のソロで演奏する3曲目は、ドビュッシー(1862〜1918)の小品です。
「燃える炭火に照らされた夕べ」という長いタイトルで、ドビュッシー死の前年の1917年の作です。
2001年に発見され、2003年に出版されました。
この曲がドビュッシー最期の作品。
タイトルは、ボードレーヌの詩「バルコニー」の中の一節です。
ボードレーヌの詩の一節を使ったタイトルは他にもあり、前奏曲集第1集の「音と香りは夕暮れの大気に漂う」もボードレーヌの「夕べのハーモニー」からの引用です。
詩の一節を引用したという共通点からか、炭火〜の曲の出だしは、音と香り〜の出だしと酷似しています。
他にも、モティーフを応用した曲があるという見方がありますが、私としては、好きなフレーズやモティーフを使っただけなのかもな…と思っています。
晩年、ドビュッシーは大腸がんを患い、体力の衰えがあり、金銭的にも、離婚した元妻への支払いとか苦労していたようで、なかなか厳しい生活だったようです。
炭を買うお金もなかったとか…。
炭屋が、お金の代わりに曲を作ってくれるようにと言い、そのために作った曲とのこと。
なので、私は、好きなフレーズや記憶に残っているモティーフを使って作ったのか…と思うわけです。
どんな想いを込めたのか…誰にもわかりません…。
曲は、静かな中にポッと炭火が明るくなったかのような、穏やかな気持ちになる優しい曲となっています。

ドビュッシーは1918年に亡くなったのですが、その翌年には2番目の妻との娘、クロード=エンマが髄膜炎で亡くなっています。
ドビュッシーの生家は、パリ郊外のサン=ジェルマン=アン=レーの小さい家で、現在はドビュッシー博物館となっています。
まぁ、小さい…ですね。
お父さんの陶器店の経営難で、2歳の時そこを離れています。

4曲目は、「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」です。
作曲は、フランチェスコ・サルトーリ(1957〜)で、アンドレア・ボッチェリの「君と旅立とう」という曲名で歌った曲です。
この曲が有名になったのは、イギリスのソプラノ歌手サラ・ブライトンがボッチェリとデュエットで歌ったことで、その際、歌詞の一部をイタリア語から英語の「タイム・トゥ・グッバイ」に変更したそうです。
グッバイとあると、お別れの曲のように思いますが、あなたと共に新しい世界で生きていこうという旅立ちの歌で、お別れの歌ではないです。
今回演奏するのは、イル・ディーヴォという4人組男性ヴォーカルグループが歌った演奏を参考にアレンジしました。
歌ものをピアノで演奏するには、歌詞がない分難しくなりますが、原曲の良さを損なわないように…と。


第66回プロムナード・コンサートの演奏曲について1

2023-10-21 12:04:01 | ラ・プロムナード・ミュジカル
ソロの最初に弾くのは、ロマン主義時代のドイツの作曲家ヘルマン・ネッケ(1850〜1912)のクシコス・ポスト。
ネッケは300曲くらい作曲したようですが、現在この曲以外は演奏される機会はないようです。
私が子供の頃、クシコスの郵便馬車として弾いていたので、今回のチラシにも疑いもなくそう記載しましたが、クシコスというのは、ハンガリー語で「馬に乗る人」を意味するので、ポストは郵便…ということで、クシコス・ポストで郵便馬車ということらしいです。
なので、タイトルとしては「クシコス・ポスト」とするのが正解。
曲は、馬車が疾走している様子を表しているのでしょう、なんか走りたくなるような曲。
運動会でよく使われるのも、さもありなん!ということです。

2曲目は、坂本龍一氏の戦場のメリークリスマス。
今年は坂本龍一氏がなくなったというので、前回もエナジー・フロウを演奏しましたが、今回も取り上げました。
坂本氏と言えば、この曲…というくらい有名ですし、今年は終戦記念日の前後、テレビでも良く聞こえてきました。
第二次世界大戦をテーマにしていながら、戦闘シーンがないという…。
原作が、南アフリカ共和国の作家、ローレンス・ヴァン・デル・ポストの短編集に基づいていて、作者自身のインドネシアのジャワ島での、日本軍俘虜収容所体験を描いたものです。
なので、曲のタイトルがMerry Christmas Mr. Lawrence なのでしょうか。
話の内容は、ご覧になった方はよくお分かりと思います。
曲は、同じフレーズの繰り返しですが、耳に残る印象深いものとなっています。

第66回プロムナード・コンサートのお知らせ

2023-09-27 00:47:45 | ラ・プロムナード・ミュジカル
第66回プロムナード・コンサートは、10月22日(日)です。
10月と言えば、ひめじ地域はお祭りの季節ですが、以前は10月10日が体育の日だったので…今は第2週月曜日がスポーツの日ということになってますが…10月と言えば運動会というイメージがありますね。
姫路市内の小学校は以前は確か9月の終わりころの日曜日だったか23日だったか忘れましたが、最近は春にやったりいろいろのようですね。
気候も変化してますし…。
ということでなぜに運動会かと言えば、今回取り上げる曲にネッケのクシコスの郵便馬車(クシコスポスト)を入れたからです。
10月と言えば運動会だから運動会でよく使われる曲、ということです。
オッフェンバックの天国と地獄もよく使われますが、こちらはず~っと以前に連弾でしたことがあります。
他には、前回も取り上げましたが、坂本龍一氏の曲をということで、戦場のメリークリスマスなども。
メインで弾く曲は、先日ミュジカポール・コンサートで弾いたラフマニノフの前奏曲を3曲とドビュッシーの月の光。
久しぶりに守本さんとの連弾で、ドヴォルザークの曲を2曲弾きます。
青木さんは歌とリコーダーということで、たぶん楽しめるプログラムになっていると思います。
第66回プロムナード・コンサート
10月22日(日)10:00~11:30
アクリエひめじ小ホール
入場料無料





第65回プロムナード・コンサートは終了しました

2023-07-10 02:22:29 | ラ・プロムナード・ミュジカル
午前中は第65回プロムナード・コンサートでした。
いつものことながら、たくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました。
天気予報通りに雨模様でしたが、ひどく荒れることはなくホッとしました。
リコーダの演奏などもあり、全体としてお楽しみいただけたようでした。
私自身について言えば、曲目も多く大変でしたが、楽しんで演奏できたように思います。
ショパンのピアノ・ソナタはやはり難曲で、必死に弾かざるを得ませんでしたが、お客様の反応が良かったのは、よく知られたオー・シャンゼリゼとエナジー・フロウで、あぁやっぱり…と。

さて、ドレス、後半のは今回作ったのですが、母のコレクションの中からピンクの花柄の綿レースの布地で、レースの背景には若草色のサテンを使いましたが、ステージではほぼ白くなっていたようでした。
もう少し色が出るかなぁ…と思っていたのですけどね。
後半が白っぽい色だったので、前半はブルー系かな…と、以前にリメイクしたブルー系のドレスにしました。

終わってからはアクリエの喫茶コーナーで、反省会と次回の相談など。
選択の余地がないのでいつもナポリタンです。
毎回思うけど、1,210円のナポリタンって??です。
お昼時なのにお客さんがあまりいなくて、どうなのかなと思ったら、お弁当とか買って来て、ロビーのテーブルで食べている人がけっこういて、そうなんだ…と。

コンサートの後は、マンションに戻ってレッスンと洗濯片付けなどを。
母の病院に寄るため、今回はもう1泊しました。


ショパンのピアノ・ソナタ第3番2、3、4楽章について

2023-07-08 16:19:38 | ラ・プロムナード・ミュジカル
曲全体については、以前の記事で。

第2楽章はスケルツォです。
ショパンの4曲あるスケルツォは、3曲が短調で、重苦しくもあり、感情の起伏に富んだ速いテンポの曲…という感じですが、このスケルツォは明るく、玉を転がしているかのような音形の主部に対して、中間部はコラールかと思えるような穏やかで甘美な曲調となっています。
第3番のソナタはロ短調であり、変ホ長調という調性は遠隔調ではありますが、変ホ音を同じ鍵盤上の読み替えの嬰ニ音としてロ長調に転調するという手法を使って中間部を書いているので、ショパンにとっては全くの関係ない調性という認識はなかったのでしょう。
ロ長調は、1楽章でもロ短調で初めてロ長調で終わることで使われているし、4楽章も同様です。

第3楽章はラルゴで、夜想曲(ノクターン)を思わせるかのような甘く美しいメロディが連綿と続く中に、ふと心の揺れを表すかのようなフレーズが挿入されます。
ロ長調で、中間部はホ長調に転調します。

第4楽章はプレストで、簡単に言えば、ABABAコーダというロンド形式で作られています。
ただ、細かく見れば、単純なロンド形式ではなく、転調もし変奏もしという複雑な作りではあります。
情熱的に駆け抜けるとでも言いましょうか、6/8拍子独特の軽快なリズム感を持つ流れるようなメロディは、ドラマティックでもあり爽快感もあり‥と言ったところでしょうか。
転ばないよう駆け抜けたいと思ってますが…。