9月と言えば、十五夜やお月見、中秋の名月…などという言葉が思い浮かびます。
秋は空気が澄んでいて月も適度な高さがあるため、月がくっきりと夜空に映し出されるようです。
今年の中秋の名月は9月29日だとか…。
というわけで、9月のコンサートと言えば、月に関係する曲…ドビュッシー(1862~1918)の月の光…ということになってしまいます。
23日のミュジカポール・コンサート13では、ラフマニノフの前奏曲集から3曲弾くのですが、時間調整的な必要からもう1曲…と思ったら、月だなぁ…と選んだ曲。
という前置きはさておき、この月の光は、4曲から成るベルガマスク組曲の中の第3曲です。
ベルガマスクとは何ぞや…というのは、なかなか難しいところですが、ドビュッシーがイタリア留学時代に訪れたベルガモ地方の印象から作られたものということで、ベルガマスクだ…と。
ベルガモという町は、幻想的な雰囲気を持つ美しい町とのこと、月の光の曲に、特にそういう雰囲気が反映されているのかもしれません。
ヴェルレーヌの詩に「月の光」があって、この詩を元にドビュッシーも2度にわたって歌曲を作っています。
ベルガモの町はイタリア喜劇に登場する道化師の一つであるアルルカンを生んだ町であり、ヴェルレーヌの詩には、楽しげに歌い踊りながら仮面の下に悲しみや郷愁の念を隠している道化師の姿が映し出されています。
よって、ベルガマスク組曲の月の光にも、そういう情緒が含まれているのかも知れません。
この組曲は、1890年から書き始め、1905年に出版されるまで、詳細は分からないものの、かなり推敲されたようです。
月の光を浴びた幻想的な風景が思い浮かぶような、とても美しい曲です。
私の中のイメージとしては、ターナーの絵「ルツェルン湖の月明かり」のような風景か…。