茶々日和~まったりしましょ~

愛犬茶々(Mダックス・メス)とのまったりした暮らしと、趣味の観劇記です。よろしくお願いします。

クロの話

2006-09-14 08:19:57 | お気楽生活
むかしむかしのお話です。

クロという名前の雌犬がいました。
クロは名前どおり、頭のてっぺんからシッポの先まで真っ黒でした。
クロは雑種でしたが、しなやかな体つきで、真っ黒い短い毛はツヤツヤ。
トリミングもグルーミングも何のことだか知りません。
よごれたときは、お母さんがホースで水をかけるだけ。
お父さんが庭に作ってくれた犬小屋で暮らしていました。
ご飯はたいていご飯にみそ汁、残り物。
ドッグフードなんて知りません。
首輪はあるけど、鎖につながれる事もほとんどなく、
毎日、近所の犬たちと、そこいら中を駆け回っていました。
そんなのんびりした時代でした。

クロにはちょっぴり悲しいことがありました。
この家の二人の女の子は、真っ黒い犬が苦手で、怖がっていたのです。
クロは二人に遊んでもらいたかったのに、
女の子はクロがいると絶対庭に下りて来ません。

クロはお母さんになりました。
全部で8匹、黒に赤に白黒の斑、色んな毛色の赤ちゃんでした。
2匹は生まれてすぐに死んでしまい、お父さんが庭の隅に埋めました。
二人の女の子はお墓を作ってお花を飾りました。

二人の女の子は白黒の斑の子犬が気に入りました。
二人はそれにタロという名前をつけて可愛がりました。
しばらくして、他の子犬達はもらわれていなくなりました。
クロとタロは庭の小屋で仲良く暮らしていました。
二人は、タロと遊ぶために庭に下りてくるようになりました。
クロは少し離れてそれを見ていました。

ある日、クロは珍しく鎖をつけられました。
お散歩です。
お父さんが鎖を持ち、二人の女の子はタロを抱いてついてきます。
放飼いだから、こうしてお散歩に行くのはめったにありません。
どこまで行くのでしょう?
クロの縄張りからはとうにはずれています。
クロは不安になりました。

途中、とうふやさんでお父さんはちくわを買ってくれました。
ちくわはクロの大好物です。
でも、今日は食べたくありません。

目的地の公園には、たくさんの犬がいました。
クロはここで家族とさようならしました。
お父さんと二人の女の子はタロだけを連れて家にかえりました。

女の子たちはまだ小さくて、その公園に立てかけてあった看板の文字は読めません。
「不用犬交換所」

女の子は大きくなって、自分のしたことの意味を知りました。
ごめんなさい。
クロ。
あんなにきれいな犬だったから、
もしかしたら、新しい飼い主にもらわれていったかもしれないね。
そう思いたい。
でも、そうであって欲しいと思うのは、人間のエゴです。

茶々、
ママがあの本を読んで泣いたのは、だからなの。

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