フィレンツェに来たのなら、此処へ行かずしてどこへ?とばかりミシュラン三ツ星、かの有名なエノテカ・ピンキオーリへ向かう。
一人フレンチには大分慣れたけれど(あ、イタリアンか、今回は)、夕食は初めてかしら?(単純に胃がもたれるので、出来るならランチの時間に行きたい、というだけ)
一番小さなデギュスタシオンコースを注文(品数の多いものと殆ど値段は変わらないが)。
程なくして、一人の男性が席を訪れ、「いらっしゃいませ」と挨拶。とても美しいピンクのネクタイをしていたので誉めると、「私はネクタイが綺麗だが、貴女は貴女が美しい」と言って手の甲にキス・・・流石イタリア人。で「私が、エノテカ・ピンキオーリです」というので、思わず「キッチンで働かないのですか?」と聞くと「それは、妻が」。
しかし、程なくして妻も単独で登場。彼女は実はフランス人で、40年前にイタリアに移った、とか。ロンドンから来た、というと彼女も1968年に1年間ロンドンに住んでいた、と言う。しかし、この人も厨房にいる格好ではないぞ。誰が3ツ星シェフなのだ?
と、こんなでいろいろ動揺(?)したため、アミューズブーシュは写真を撮り忘れ。小さなパンのようなもので、一つがアンチョビ&パルメザン、もう一つがトマト。どちらも美味しい。
飲めない、といったのに、ピンキオーリさんからシャンパン(正しくはシャンパンの製法で作られた、イタリア製発泡性白ワイン)が届く。流石イタリア人。
前菜1品目は野菜の盛り合わせ-アーティチョーク、人参、グリーンアスパラガス。アーティチョークが好きなので、嬉しい。
次にグリッシーニが出てくる。お塩の振ってあるものと無いもの、といわれ迷うと、両方くれた。振ってないほうが好みだった。
卵3種?と思いきや、モッツァレラに似たチーズ(と説明を受けた)の3変化。実は生のモッツァレラはあまり好きではなく、このお皿も温泉卵風とコロッケは美味しく頂いたが、本来一番風味を楽しめる生に近いものは半分程度でgive up。
魚をヒヨコマメのソース、オリーブオイルとレモンピール添えで。これは私の好きなものが1皿にのって出てきた、という感があり、一瞬にして完食!ヒヨコマメのソースなんて、ハモスとどう違うの?と思うが、これもフィレンツェの料理なのだそうな。ここで茄子入りのパンが届けられる。コースにあわせてパンも変わるのだそうだ。理には適っているが、胃には辛い。
次は本物の卵。ズッキーニとパルメザンチーズのソース。美味しいものの塊、という感じ。しかし、フィレンツェ料理、揚げ物は多いクリーム系ソースは多い、メタボ一直線、である。そういえば、メディチ家の当主の肖像画も、かなり顎のあたりがメタボだったような。。。
イタリアン、である。パスタ。これは本当に美しかった。ソースも美味しかったが(ウサギの肉と内臓のコロッケ-本当に揚げ物が好きである)、何よりパスタが素晴らしい。湯で具合といい、塩加減といい、これ以上のパスタはない、イデアのパスタであった。今度はアラカルトでパスタだけ注文したいくらいだ。
メインを控えてフォカッチャをいただく。ついでにオリーブオイルも。このオイル、取れたてらしい。エクストラバージン特有の香りと味。美味しい(が、カロリーを考えると気を失いそうになる)。
メインは羊。ソースはチョコレートのソース、といわれて、最初はすこし警戒したが、いやはや、参った。これが本当に美味しい。かなりツボにはまった。お肉は半分だけ(といっても1片は完食)頂いたが、ソースは2つ分使ってしまった。本当はもっと欲しかった。
相変わらず飲めないくせにワインリストを要求する私。とにかく、すごい。ものすごくミーハー対応なワインリストである。DRCに始まり、ボルドーの5大シャトー、その他総なめである。値段的には、ロンドンの半額くらいか。ちなみに、水も安い(水だけで1冊のリストがあるのがすごい)。シャテルドンは5ユーロ!!レストランとしては破格の安さ?一方、ペリエが10ユーロだから笑える。これでペリエを注文する人がいたら会いたい。
さて、プレデセールは人参のシャーベット。下にチョコレートのゼリーとホワイトチョコレートのソース。美味しい!!
デザートは、ココナツはいや、といったら、マンゴーに変えてくれた。でも、フレンチの中でも濃い目のデザートが好きな私にはこういうシャーベットのようなデザートでは物足りない。小さなデザートとして、ホワイトチョコレートのシャーベット、リンゴのムース、メレンゲ(これはクリームが濃く美味しかった)、最後に飲むデザートも供された。勿論デザートは別腹につき、完食。
最後にエスプレッソで締めて、満腹、260ユーロ。
帰る前に、ソムリエのおじさんに地下のワインセラーを案内してもらう。コートを着るように指示されて、地下へ向かう。入っていきなり、La Tacheの壁が迎えてくれる。その横には1990年だったか、Romanee-Conti通し番号00001が待ち受けている。Krugもピノノワールだけから作られたとかいう、特別なKrug-300,000ユーロ、と言っていたか-は黒い立派な箱に入っていた(ピノノワールだから黒箱?ブランドブランがシルバーの箱?)。
ソムリエのおじさんはボルドーが好き、と言っていた。私は誰がなんと言ってもブルゴーニュだ。おじさんとは喧嘩をせずにワインを山分けできるね!と笑ったが、しかし、シャンパーニュでは血を見ることになりそうだ。
帰りに、ピンキオーリ夫妻に見送られ、サイン入りの白ワインとRelais et Chateauxの本をもらって帰路につく。ワイン、持って帰ることはできないから、いろいろ無理をお願いした次のホテルのコンセルジュへのプレゼントにしよう。