Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

ジュリア・フィッシャー、バッハ無伴奏パルティータ@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-14 23:45:00 | コンサート

ジュリア・フィッシャーによるバッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全曲演奏会第2夜はパルティータ。3番、1番、2番の順で。

朝、ほぼ同じ席(朝B8、夜B12)でルノーの演奏を聴いたが、音が全く違う。物凄い煌びやかで輝かしい音。Wikiでガダニーニと読んでいるが、ガダニーニとは信じられない-聴けば聴くほど、まるでガルネリのように聴こえる。

松脂がつきすぎていたのか、ところどころ弦と弓が滑りすぎてしまって、音の出ない部分もあるなどしたが、気になる部分といえばそのくらいで、やはり彼女はヴァイオリニスト全体の中でも、相当上手い部類に入ると思う。聴きながら思わず頭の中で現役ヴァイオリニストの順位表を作ってしまう自分に気づく。

昨日同様、同じフレーズの繰り返しの表情付けやピアノ、フォルテの弾き分けなど、非常に工夫している。また、1番のDoubleなど、大変なスピードで弾き切る-素晴らしいテクニック。

そして勿論、2番-最後のシャコンヌは大変に素晴らしかった。先日のギル・シャハムは、演奏技術は素晴らしかったが、いまひとつ自分の中にあるシャコンヌと相容れない部分も多かったが、フィッシャーのシャコンヌは、自分がこう弾きたい、というものに近いものがあった気がして、大変楽しむことができた。

さて、恒例の写真。手の写真を、といったら、「どんなポーズが良いかしら?」といわれたので、お好きなポーズを、というと「では、ヴァイオリンを弾いている感じで」といって。

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カプソン兄弟&アンゲリッチ@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-14 16:30:00 | コンサート

カプソン兄弟による演奏会、第一回目は日曜のランチタイムコンサート。

ブラームスのチェロソナタ第二番、ヴァイオリンソナタ第二番、ピアノトリオ第三番の3曲、シェリー酒つき(私は飲めないけれど)で£12という大変お得な演奏会。

まずはゴーティエによるチェロソナタ。テクニック的には申し分なく思われた。ただ、個人的にはこの楽器の音がそれほど好きではない。ので、演奏会終了後、ストラドにしないの?と尋ねてみたところ、ストラドよりこちらのほうが気に入っている、とのこと。ガルネリのチェロってあまり聴いた経験がないけれど、どうなのだろう?

ルノーによるヴァイオリンソナタ。折角のPanetteがあまり鳴っていない気がする。ところどころ、Panetteの素晴らしい音はするが-(後方にいた友人によるとよく音が出ていた、とのことだが、夜のジュリア・フィッシャーと比べてもやはり音が出ていなかったように思う)。なぜブラームスを弾きたいのかしら?とちょっと疑問に思う。

最後のピアノトリオが今日の演奏では一番気に入った。さっきまでやる気のなさそうな音をしていたPanetteが今はチェロやピアノに負けじと鳴っている。この調子で火曜日、木曜日の演奏会を乗り切って欲しい。

日本の習慣に従ってヴァレンタインのチョコレートを持って楽屋へ。ゴーティエは、「お腹が出ちゃうよ」とおどけていた。


ジュリア・フィッシャー、バッハ無伴奏ソナタ@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-14 00:30:00 | コンサート

ジュリア・フィッシャーによるバッハ無伴奏ソナタとパルティータ全曲演奏会、第一夜はソナタ3曲。

本当に才能のある人なのだろう。丁寧に、乱れることなく、淡々と演奏してゆく。左手の動きは決して滑らかに見えないのだが(前日に見たウィーンフィルのコンマスの左指の優雅さとはちょっと対照的な気すらした)、音程のコントロールは完璧。和音の響きも美しい。弓による表情(音色の変え方)も豊かだ。

バッハの無伴奏ソナタ、ロマン派やそれ以降の曲のようにハイポジションや超絶技巧の嵐とは違うが、それだけに本当のヴァイオリンの音の美しさを味わうことができる。フィッシャーのE線の第3ポジションあたりの音は伸びやかで素晴らしく美しい。弦向きといわれるウィグモアホールでその美しさが更に際立つ。

Wikiによればフィッシャーが今使っている楽器はガダニーニ、とのこと。日曜日のパルティータの演奏会が終わったら、今回何を使ったのか尋ねてみようと思うが、確かに、ストラドの端正さとガルネリの煌びやかさの両方をバランスよく備えているように聴こえた。この出過ぎない感じが、バッハ向きなのかもしれない。

前半(ソナタ第1番、第2番)が終わったところで休憩。常連の会話がちょっと耳に入ったが、やはり皆昨年のギル・シャハムの演奏と比べている。確かにその気持ちわかる。そのくらい出来が良い、といってよいと思われた。

ただ、ソナタの2番になって、少し疲れが出てきたのか、弓が他の弦を擦ったり、多少弓のコントロールに欠けてきたように思われた。1曲ごとに短めの休憩、というのは難しいのだろうか?さらにソナタの3番のフーガは66小節目からのパートに入った後ちょっと迷宮に寄り道したように思われるが・・・私の聴き違いだろうか。

バッハの無伴奏ソナタ3曲の後だというのに、アンコール。なんと

「シャコンヌ」

とのたまう。ただ発音が「Ciaccona」で皆一瞬「?」

「冗談」

といわれて、理解。ちょっと笑いが漏れる。

すごい、こういうところで冗談が言える26歳(!!)。恐ろしい。