カプソン兄弟らによるウィグモアホール演奏会。2日目の今日は、ブラームスのヴァイオリンソナタNo.1、ピアノトリオNo.1、ピアノ四重奏No.3。大好きな曲の詰め合わせ。
日曜日に比べてルノーのヴァイオリンも良い。日曜日はあまりに楽譜を見すぎていたように思う。今回も楽譜は置いていたが、日曜日に比べて、楽譜を離れて演奏していたように思う。ヴァイオリンソナタなんだから、暗譜して欲しいなぁ(と記憶力の足りない私が言ってよいのか?)。折角のPanetteをもっと歌わせてあげて。第二楽章の重音、特にG線が怪しい。聴いていると背筋がぞわぞわする。。。どうも今日はG線の調弦が安定しないようだった。
日曜日と同様、トリオはとても良かった。3人の息がぴったり。カプソン兄弟は、兄弟だけあって、笑ってしまうくらい呼吸法も同じなのだが(=生を聴かれたら意味が分かります)、それをピアノのアンゲリッチがきちんと読む、といったところ。第三楽章の最初のチェロのフレーズ、素敵だった。
そして、今日のメインイベントは勿論、ピアノ四重奏。ピアノ四重奏の中ではNo.1が最もポピュラリティが高いそうだが、個人的にはこのNo.3が一番好き。第三楽章など、絶対恋人と寄り添いながら聴きたい。残念ながら今日は一人だが。。。
しかし、今日は一人で聴いて正解だった。家でCDをだらだら聴くのならば、第三楽章を恋人と聴くのがロマンチックだろうが、こんなに濃密で美しい第三楽章を目の前で演奏されたら、隣の恋人を考える暇など絶対にない。いや、却って邪魔かもしれない。間違いなくブラームスへの、あるいは演奏家への愛の方が、どうしても強くなってしまう。
演奏会の後、花屋で一目惚れした薄紫の薔薇のブーケを持ってゴーティエを訪れた。小さなブーケだったのに、花の香りを嗅ぎ、とても喜んでくれた。ブラームスの第三楽章、素晴らしかった、と伝えると、素晴らしい曲だよね、というので、
You are the King of the 3rd movement.
といったら、とても嬉しそうに微笑んでいた。