ウィグモアホール、2週連続の「Sunday Morning Coffee Concert」。今日はDoric String Quartetの演奏でベートーベンの弦楽四重奏曲Op.18-4とブラームスのピアノ五重奏曲Op.34。
ブラームスは先日ベルリンのリハと同じ曲であり、特に好きな曲の一つ。
四重奏団で演奏を聴くと、「寄せ集め」にはない良さに気づく。特にフレーズの中の膨らめ方など、一朝一夕にはできない細部がきちんと詰められている感じがする。一方、「寄せ集め」の良さは、一人一人のテクニックの高さかもしれない。
ブラームスでは第一楽章の最初のテーマの膨らめ方が、こういう演奏聴いたことなかった、とまずはっとする。ファーストヴァイオリンの使用している楽器は1708年製のGallo Tanoniという楽器とのことだが、予習で聴いていたイタリア四重奏団の楽器と似たような、ちょっと金属がかったきらきらとした音がする。
ピアノがちょっといっぱいいっぱい気味で残念。ブラームスはピアノの名手だったというし、難しいのだろう。これまでポリーニの演奏で聴いていたので、普通に弾けるものだと思えていたけれど、やっぱりポリーニ、上手いのだわ。
チェロは、ベートーベンでエンドピンが2回ほど外れた。そのためブラームスで登場した時、必要以上にエンドピンを床に打ち付けて、聴衆の笑いを誘っていた。ホルダーを使わず許されるところが流石ロンドン。東京だったら、会場からダメだしが出るに決まっている。チェロは低音がとても美しい音-と酔いしれていたら、とちった。。。
第三楽章のスケルツォ、チェロの出だし(Cのピチカート)の速さに、目が丸くなる。が、その後主にヴィオラのもたつき気味(というより、チェロが速すぎだけれど)の演奏によって速度は修正される。演奏会後に楽屋で、ファーストヴァイオリンAlex Redingtonの知り合いの方と、この出だしの速さに驚いたことで盛り上がった。やはり、誰が聴いても速すぎだったらしい。
こんな感じで、実は第三楽章は相当崩壊気味の演奏だったのだが、それでも、このブラームスの名曲に本当に涙が出そうになる。なんと美しい曲なのだろう。いつかこの曲を自分で弾いてみたいものである。
帰りに、HMVに寄ってみたら、2,3人先客がいた。皆ブラームスのピアノ五重奏曲を買いに立ち寄ったらしい。Wigmore hallも演奏者やWigmore hallで出しているCDだけではなくて、プログラムで取り上げた曲のCDも揃えておけば売り上げが上がるのに!