ドゥダメル指揮、ヨーテボリ交響楽団でマーラーの交響曲第9番を聴いた。
ドゥダメルが、なぜ、今マーラーの第9番なのか、とても気になっている。演奏会前に会った時に「後で教えてあげるよ」といわれたきり、結局聞けないままになってしまった。
始まる前は、とても心配だった。フルート、BPOのように上手く吹けるだろうか、とか、第1楽章はごちゃっ、としてしまわないだろうか、とか(ドゥダメルの場合、これは心配しなくてよいのだろうが)。
演奏が始まって、とにかく、ヴァイオリンの音が素直で揃っていることに感動した。勿論、ウィーンフィルの艶やかさはないのだけれど、どちらかというとすっきりとしていた。また、とても心配したフルートが、上手い。音自体も美しい上に、息の漏れる音も聴こえない。エキストラなのかと思ったが、後から聞いたところ、ヨーテボリ交響楽団のco-principal flutistなのだそうだ。なかなかの好演で、斜め前のおば様は泣いていた。
第2楽章はドゥダメル印の入った演奏。アーティキュレーションのつけ方が、ドゥダメル節である。ちょっとやりすぎかな、という気もしないでもないが。最後のクラリネットの音がもう少し透明に響いてくれると良かったか。予習のカラヤン、BPOの終わり方が素敵だったので、どうしても比較してしまう。
第3楽章。ロンド・ブルレスケ。残念ながら、ヴィオラのソロが。。。今日(26日)の演奏では、彼は間違いなくきちんと弾けていると思うので、その演奏を聴いてみたかった。
第4楽章。ヴァイオリンパートは素直に美しい。確かにマーラーにしてはシンプルなオーケストレーションかもしれないが、死を前にすると人間シンプルになるのかもしれない。残念ながらホルンは、音を間違えずに吹く、というレベルにとどまってしまっていた。きちんと歌わなければ、シンプルなだけに美しく聴こえない。この克服は、なかなか難しいか?
と、気になる部分を列挙したが、全体として、チーム・ヨーテボリ&ドゥダメルの素晴らしい演奏だったのではないかと思う。全員がドゥダメルを信頼して演奏しているのが見て取れた。演奏者が真剣な目で指揮者を見ているのって好きだ。また、特に管楽器など、自分が演奏していない時に他のパートをきちんと聴いている様子も好きだ(某オケのflutist、あなたに私は言いたい)。ヨーテボリ交響楽団はドゥダメルと共に、物凄く成長しているのではないか、と思うのだが、どうだろう。第1楽章が終わった時は「どうよ」と思わずDebora(LA PhilのCEO)を振り返って見てしまった私である(が、彼女は隣のLA Phil関係者としゃべっていた)。
レコーディングのマイクが多数下がっていたので、会場の方に伺ったところ、録音はされたが、契約の関係でCD化されるか否かは微妙、とのこと。CD化されたら、是非購入したい。前から7列目のほぼ中央、という位置ゆえに美しく聴こえたのか、確認してみたい。