カプソン兄弟らによるコンサート、最終回はブラームスのヴァイオリンソナタ第3番、ピアノトリオ第2番、ピアノ四重奏曲第2番となかなか渋い選曲。
ヴァイオリンソナタはこれまで3回の中で一番良く楽器が歌っていたように思われた。思わずサイン会で、「Panetteが要らなくなったら私が引き受けるので、連絡してくださいね」などといってしまう始末。低音は暖かく豊かで、高音は艶やかで煌びやか-本当に美しい音のする楽器である。
トリオは相変わらずカプソン兄弟の息がぴったりなところに、アンゲリッチが覗き込むような視線を送りながら合わせてゆく。
今日最も気に入った演奏はピアノ四重奏。第二楽章の最後のチェロの音が、今も頭の中で鳴っている様な気がして、思わず顔がほころんでしまう。ああ、やっぱりチェロを習いたい。昔、本当はヴァイオリンではなくてチェロを習いたかったのだった、ということを思い出す。
第四楽章は大変に歯切れの良い曲。思わず曲に合わせて体が動いてしまう。音楽って、本当に美しくて、楽しいものなのだ。今日の予習で聴いていたDomusのCDや今日の4人のCDでは、ちょっと冗長な気がしないでもないピアノ四重奏第2番だったが、ライブは本当に楽しい!
サイン会で、これまでもらっていなかったヴィオラのGerard Causseのサインをお願いしていたら、隣に居たゴーティエが、彼が最近リリースしたCDを一緒に持っているのを目ざとく見つけて、
「I will take care of it」と私の手からCDを持っていってサインをしていた。
Gerardにお礼をいい、ゴーティエと別の話を始めてしまい、彼がCD本体に書いてくれたメッセージに気がつかなかった。家に帰ってCDを聴こうとケースから取り出すと、
「Thank you for always be(ing) there」
と書かれていた。ファン冥利に尽きる、とても嬉しい言葉だった。