風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

大切なもの

2009年10月02日 06時29分35秒 | エッセイ、随筆、小説






当然だとは思ったが私の様子がおかしいことを察知したらしい。
君は僕といても幸せではない日々を過ごしているのだと感じたのだけど・・・・・とあるので、
そうよ、と思った。心の中で。

強い口調で何かを伝えたわけではない。
嫌いだとか、あなたとはやっていけないなどという本心にない言葉を発した覚えもない。
きっと、私が残したメッセージが留守番役のレコーダーに残っていたことに驚いたのだろう、
持ち主の声が吹き込まれたメッセージの電子音のあとに、短く、もしチャンスがあれば連絡を、と告げた。

電話ではなくメールが届いたのは、それから半日以上経過した後だった。
幸せな人生を・・・・とあった。
短い間だけど、僕は夢のような時間を過ごすことができた、と。
未熟な私の英文のせいか、
彼が宗教を持っていることに触れたのが私たちの温度差になったのかは不明だ。
でも、メールで、短く、一方的に。
私ははじめて彼に対して怒りを感じている。

歩み寄ればいいじゃない?
お互いの価値観や宗教観や人生観をとことん話し合って、歩み寄ればいい。
それができると思って信じていただけに、彼の弱さをみたような気がして、すこし私は動揺している。
それは彼との別れを望んではいないからだろう。

弱った身体を補うように、言葉だけは長け、強さを増したように自分をみていてそう思う。
だから罪悪感を持つ。
必要以上に感受する感情の渦にのみ込まれてしまうように、
相手の心が私の内側にやってきて、こんなに痛みを感じているのよ、と言ってるのだもの。

障害をもったことによって諦めてきた恋だったが、
そう思わなくていい、罪悪感に苛まれることなく恋をしてもいいんだと教えてくれたのは彼だった。
だから私は飛び込んだ、彼の胸に、腕の中に、心に、人生に、迷いなく飛び込むことができた。

終わってしまうのだろうか・・・・・という今朝の雨のように、窓に滴る雫が心の中に結露を滲ませていく。
きっと私のことだから、あなたに任せるわなどという言葉を言うのだろう。
でも、一生懸命やりつくしていないという思いが残っているために、
はじめての後悔を味わうのだろう、しかも、一生ものとして。