定年を機に海外で生活してみたいという人が増えている。年金不信もあって海外移住を夢見ている人は多い。近年は物価が安いマレーシアやタイ、フィリピンなど東南アジアが人気だ。
しかし、物価の違いだけで海外ロングステイを実行に移すのは極めて危険だ。詐欺や強盗などの犯罪に巻き込まれて懐がスッカラカンになり、生活に困る人が後を絶たない。数年前、フィリピン・セブ島を終の棲家にしようと移住した日本人たちが、海外移住をサポートする日本人業者に多額の分譲住宅購入費をだまし取られる事件も起きている。
生活に困ったあげく日本大使館に駆け込む人をフィリピンの邦人社会では「困窮邦人」と呼ぶ。昨年、フィリピンの「困窮邦人」をテーマに書いた水谷竹秀氏著の『日本を捨てた男たち』(集英社)が2011年の開高健ノンフィクション賞を受賞して話題になった。私も3年前に『お父さん! これが定年後の落とし穴』(講談社)で、海外で詐欺に遭う日本人の実態を書いた。
「困窮邦人」の問題は前から指摘されていたが、減少するどころか増加の一途をたどっている。外務省によると昨年の海外邦人援護件数は前年比5・51%増の1万9882人。なかでも多いのはフィリピンで、前年比46%増の1354件となり、過去10年間で2倍強に増えた。マニラの日本大使館には毎月60~80人のお金に困った「困窮邦人」が「金を貸してほしい」と駆け込んでくるという。
海外で困ったことがあると同胞の日本人を頼りたくなるが、海外には日本人をだます日本人がたくさんいる。東京とブラジル・サンパウロの両方に活動拠点を置き、日伯異文化交流の仕事もこなすアーティストの楠野裕司氏がこんなことを言う。
「日本人はカネを持っていると思われているからね。感じのいい現地の日本人とか日系二世にだまされる人が多い。相手が日本語を話せると気を許してしまうんです。イカサマ連中は心のマッサージがうまいから安心しちゃうんだろうね。こういう家を買ったらいいよ、不動産に投資したらもうかるよ、私が口を利いてあげるよなどとうまいこといって、預けた金を持ち逃げしちゃうとか。日本人は狭いムラ社会でいつも親しい仲間とだけしゃべって、異質な他人とぶつかる経験が乏しいから、いい人と悪い人を見極める能力がないんだよ」
年金だけで海外暮らしをするのは必ずしも不可能ではない。生活の仕方によっては日本以上に快適に暮らせるが、短期的な旅行とロングステイはまったく違う性質のものだ。犯罪に巻き込まれて現地の日本大使館へ行っても、帰国旅費を立て替えてくれるとか、被害回復を積極的に図ってくれるなどの効果的な支援は期待しないほうがいい。
もちろん現地の日本人にもいい人はたくさんいるし、私も海外で同胞に助けられた経験が何度かある。海外では相手が日本人だからといって無条件で信用せず、目を大きく見開いていい人かどうかをしっかり見極めることだ。
■大宮知信(おおみや・とものぶ) ノンフィクション・ライター。1948年、茨城県出身。中学卒業後、東京下町のネジ販売会社に集団就職。その後、調理師見習い、ギター流し、週刊誌編集者など20数回の転職を繰り返し、現在に至る。政治、教育、移民、社会問題など幅広い分野を執筆。近著に『部長が中国から来たらどうしよう』(徳間書店)。
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