ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その2・ていねいで「熱い」子どもの精神科医に学ぶ

2024年09月20日 | 子どもの臨床に学ぶ

 たぶん2016年ころのブログです

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 小倉清さんの『子どもの精神科医50年』(2012・論創社)を再読しました。

 2012年11月のブログでもご紹介させてもらっていますが、かなり久しぶりです。

 じーじの場合、なぜかいい本は4~5年ごとに読みたくなるようです。

 前回もふれていますが、とにかく「熱い」です。

 その「熱さ」は本当にすごいです。

 熱いことで有名な山中康裕さんもびっくりかもしれません(山中さん、ごめんなさい)。

 特に、医学生時代の「熱さ」のエピソードは痛快です。

 こういう情熱があるからこそ、すばらしい実践ができるのかもしれません。

 今回、勉強になったのは、ひとつは、現場でのやりとりをていねいに検討することの大切さということ。

 じーじも2カ月に一回、新潟の研究会で事例をていねいに検討させてもらっていますが、ひとつの事例を深く検討するということは、本当の意味でエヴィデンスを高めることにつながるような気がします。

 もうひとつ勉強になったのは、現在の認識が変われば過去の認識や事実が変わる、ということ。

 心理臨床の実践の現場では時々出会う現象ですが、現在の時点での認識の変化によって、過去についての認識だけでなく、過去の記憶や過去の物語、あるいは、過去の事実そのものが変わるという不思議な現象が確かにあるような気がします。

 フロイトさんのいう事後性ということはこのことかな、と少しだけわかるような気もします。

 今後もていねいな臨床でクライエントさんにより添いたいと思いました。       (2016?記)

 

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伊坂幸太郎『砂漠』2017・実業之日本社文庫-伊坂ワールド全開の学生小説です!

2024年09月20日 | 小説を読む

 2022年8月のブログです

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 伊坂幸太郎『砂漠』(2017・実業之日本社文庫)を旭川の古本屋さんで買って読む。

 だいぶ前に単行本で読んだ記憶がうっすらとあったが、中身を忘れてしまっていて、旅先で本棚の確認もできず(かりに確認をしても見つけられるともかぎらず…)、古本のわりに少し高かったがつい買ってしまう(うちの奥さんには内緒)。

 これがいい小説。

 伊坂ワールド全開だ。

 例によって、あらすじは書かないが、盛岡から仙台の大学の法学部に進学した真面目な主人公が、友人とのつきあいの中でいろいろな経験をして、こころの幅を広げていくさまが、ユーモラスに描かれていて心地よい。

 もちろん、楽しいだけでなく、たくさんの哀しみや憤り、怒りなども丁寧に描かれていて、青春の苦しさも感じられる。

 真面目で少し堅苦しい主人公と好対照なのが、理屈より行動を重視する友人の西嶋。

 一見、はちゃめちゃな理屈と行動で回りを驚かすが、一本筋が通っていて、気持ちよい。

 彼らが、友人づきあいの中で、お互いに影響を与え合っていく様子は、読んでいてうらやましくなるような関係だ。

 西嶋が高校生の時に出会う家裁調査官は、『チルドレン』の陣内調査官を彷彿させるいい味の調査官。こういう調査官が増えてほしい。

 真面目だけではない、いろんな隠し味が散りばめられていて、それを味わうのも楽しい。

 旅先の木陰で、とても心地のよい物語を楽しめた。       (2022.8 記)

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 2024年9月の追記です

 その後、我が家の本箱周辺を捜索したところ、なんと本棚の横に単行本の『沙漠』を発見!

 じーじは単行本はほとんど買わないのだけれど、どうしたのだろう?

 当然、うちの奥さんには内緒!       (2024.9 記)

 

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